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【リリなの】Nameless Ghost

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 エイミィは一瞬だけ悩んでしまった。現状、なのはを出さないことには目標を補足することは出来ないことは確定事項だ。フェイトとアルフだけで先の目標の対処を任せたのも、こういった事態を想定してのことのはずだ。
 ならば、その事態が引き起こされてしまった今となっては、なのはをここに置いておく事に何の意味があり、それを納得させる道理があるのか。

「分かった、行って、なのはちゃん」

 今、なのはを出撃させるのはまずいと思う。しかし、エイミィはそれを押さえつけるだけの建前と余裕を持ち合わせていなかった。

「じゃあ、僕も一緒に……」

 そして、エイミィにとってもユーノにとってもあの手合いに対して二人で対処することは確認するまでもないことだった。

「ユーノ君は……いいよ、ここで待機していて……。私一人でも大丈夫だから……」

 しかし、なのはの言葉はそれを超越する。ユーノが味わったもの、かつてヴィータに食らわせられたあらゆる攻撃を凌駕する衝撃に違いない。

「なのは、何を言って……」

「敵は……まだいるかも知れないんだよ? もう一人、あのときアリシアちゃんを蒐集した人が残ってる……今はクロノ君がいないんだから、ユーノ君が対応するべきだよ」

 なのははユーノに背を向け、胸の奥からわき上がる不快感に奥歯を噛みしめ、呪詛のように言葉を紡いだ。

「………」

 なのはの言うことは、正論に違いなかった。シグナムにはフェイトが、ザフィーラにはアルフが対応している。故に、ヴィータに対してなのはが、シャマルに対してはユーノが対応するという図式には何ら不自然な点は存在しない。
 実際、エイミィもそれを聞かされては頷くしかなく、結局その空白はなのはの行動を抑制するタイミングを逃した。

「それじゃあ、行ってきます……」

 何も答えないユーノに最後まで顔を合わせることなく、なのはは俯きレイジングハートを握る手を振るわせながらトランスポーターへとかけだした。

******

 バサリという音をエイミィは背中越しに聞いた。

 そして、その気持ちは痛いほどに理解できた。

 必要とされたいのに必要とされなかった。助けたい人にいらないと言われた。もしも、自分も彼にその言葉を投げられたら、おそらく自分では立ち上がることは出来ないだろうと思う。

「なのは……どうして……僕たちはいつだって一緒に……」

 一緒にいたいと思った。そばで守りたいと思った。いつまでもパートナーとして彼女を支えたいとそう思っていた。
 しかし、それは所詮は自分だけだったのだろうか。彼女はあのとき確かに言ってくれた『背中が温かい』と。

 自分は所詮ここにいられる人間ではなかったのだろうか。そばで戦うなんて身に余るような行為だったのだろうか。

「ユーノ君は、それでいいの?」

 レンタル武装隊への指示と現地観測隊への要請の合間にただ一言エイミィはそうつぶやいた。

「―――!!」

 そして、その声は確かにユーノの元に届いた。