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【リリなの】Nameless Ghost

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 プレシードとの決別はアリシアにとってけじめでもあったのだ。

「それに……」

 アリシアはさらに言葉を続ける。
 プレシードを有効活用する、けじめを付ける。しかし、それは最優先される理由ではない。

「それに?」

 フェイトの問い返しにアリシアはフッと微笑み、腕をいっぱいに伸ばしてフェイトの髪にふれた。

「速度を重視するあまり守ることを捨てようとする馬鹿な妹を側で守って欲しかったからね。それが一番の理由だよ」

「あっ……」

 アリシアは知っていたのだとフェイトは気がついた。

「確かに、敵は強い。フェイトがこだわっているあの剣士。シグナムだったかな? 確かに強い彼女に勝つためにはそれも必要なんだと思う。だけどね、フェイト」

 アリシアはフェイトの髪から手を離し、微笑みを消し、表情を引き締めた。

「はい……」

 怖いとフェイトは思った。しかし、恐怖は浮かんでこない。

「いくら勝つためだといっても、命を賭けちゃダメだ。フェイトの命だけで物事が解決するわけじゃないし、誰もそんなことをフェイトに求めてない。自己犠牲精神は時には賞賛されるけど、そんなことでフェイトが命を落としたら私はフェイトを軽蔑する。絶対に許さない。戦場で死んじゃダメ。これだけは覚えておいて」

 我ながら過保護だとアリシアは思う。しかし、彼、ベルディナはそれを望みながらかなえることが出来なかった。
 同じことは繰り返さない。戦場で守ることが出来ないのなら、せめてそれが出来る物を与えておきたい。

 身内を失う覚悟は出来ている。彼らが自ら望んで戦場に赴き、誇りを持って命を捨てたのなら、おそらく自分はそれを賞賛するだろうとアリシアは自覚している。
 そういって多くの者を死地に追いやり、そして自分も多くの者を手にかけてきた自分が今更こんなことを思うのは傲慢なのだろうとアリシアも理解していた。

 それでも、とアリシアは思う。

「私は、みんなに生きていて欲しい」

(誰よりも先に死ぬのは、私の仕事のはずだから)

 アリシアはフェイトの手を取った。

「うん……私は、絶対に死なない。生きて帰ってくるよ」

 自分は守られている。フェイトはそれをしっかりと心に刻みつけ、アリシアの小さな手を両手で強く握りしめた。

「痛いよ、フェイト」

「ごめん、お姉ちゃん。だけど、もうちょっとだけ……」

「仕方がないね」

 誓いは立てられた、そしてそれは伝わった。

(後は、訪れる結果を受け入れるだけ)

 アリシアは終わる世界に思いをはせ、無限書庫のすべての機能を眠りにつかせた。