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【リリなの】Nameless Ghost

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「ああ、得難い者達だ。このような出会い方をしていなければ、どれほどの友と成れただろうか。残念でならない」

 シャマルもフェイトの指示に従い、指輪をおろし甲冑を元に戻した。

「まだ、間に合いますよ。これから、です。ヴィータちゃんもシグナムさんもシャマルさんもこれから友達になっていきましょう」

「お前は勇敢だった。お前の言葉が世界を変え、戦うことなく我らを負かした。私が知る騎士よりもなお誇り高く。まさにお前は勇者と言うべきものだろう」

「そんなことありません。みんながいてくれたから。私に考える機会を与えてくれた人がいたから。私はこうなれたんです。その人達がいなかったら、きっと私はここまで覚悟して言葉をかけようとは思わなかったと思います。きっと、話を聞いてもらうために同じこと――戦うことを選んでいたと思いますから」

 なのはは恥ずかしそうに頬を染め、うつむいた。
 圧倒的に身の丈が勝るシグナムからは彼女の頭蓋の頂点が伺える。
 そして、シグナムはそっとつぶやいた。

「だから――許せ――高町なのは」

「えっ―――――」

 ドスっという音が響いた。

「なのは?」

 妙に重く響き渡る音。ユーノは振り向いた。

「シグナム?」

 それは、まるですべての破滅を呼び込むような響き。フェイトも振り向いた。

「―――あ――――」

 なぜだろうとなのはは思った。
 なぜ、こんなにも胸が痛いのだろうと思った。
 そして、どうして見上げたシグナムは、身を切るほどの悔やみに彩られているのだろうと思った。

「なのはぁ!!!」

 ユーノの叫び声が遠い。自分はどこにいるのだろう。

「シグナム!!!」

 フェイトの悲鳴が遠い。自分は何をされているのだろうか。

「シグナム! いったい何を?」

 シャマルの声が遠い。どうして? 自分たちはわかり合えたのではなかったのか。

「何でだよ!? 何でだぁ、シグナム!!」

 ヴィータの声が遠い。どうして、自分はシグナムの腕に胸を貫かれているのだろうか。

 そして、なのはは気がついた。
 自分の身体から何か大切なものが奪われている。胸を貫く腕が背中から外へ出ているはずなのに、全く鮮血があふれ出ない。
 そして、感じるものはその掌に捕まれた力の脈動。

 そうか、となのはは気がつく。これがリンカーコアを蒐集される痛みなんだと。

 どさりと地に伏す音が夜の闇に響き渡った。