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【リリなの】Nameless Ghost

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 そして、クロノはアリシアの顔を見、その頭上にぶら下がっている点滴パックに目をやり、そして、爆発した。

「馬鹿か、君は!! そんなもの、医者の許可がなければいけないに決まっているだろう!!」

 クロノの言い分はもっともなことだったが、アリシアにとってはそんなものどうでもよかった。自分の事に他人の許可を必要とするなどくだらない。
 そして、取得した相手の弱みを最大活用する思想をレイジングハートに教えたのは、何よりベルディナだった。
 そして、ベルディナの意志を受け継ぐアリシアならば言わずもがなな事だった。

「そうか、それもそうだね。なあ、レイジングハート、リミエッタ補佐官の所に行こう。手土産を持参すれば何とかなるだろう」

《Let's do so,Ms.Alicia.》(そうしましょう、アリシア嬢)

「ま、待ってくれ!!」

 クロノは、去っていこうとするアリシアの車椅子を掴み取り、懇願するようにそれを引き留めた。

「分かった、料理長と医務員には僕から話をつける。だから、それだけは勘弁してくれ」

 まるで、ニヤッと言う音が聞こえるような勢いでアリシアとレイジングハートは自らの勝利を確信した。

「そこまで頼まれては仕方がないね、レイジングハート」

《Let's do so, Ms.Alicia Now, let's stand the face of Low enforcement officer beforehand.》(そうですね、アリシア嬢。ここは執務官の顔を立てておきましょう)

 クロノは自らのプライドを犬に食わせた。
 後に彼は述する。「あれが僕にとってケチの付き始めだった」と。

*****

「あ、アリシアちゃん、おはよう」

 さんざん朝食の席でクロノをからかい続けたアリシアとレイジングハートは実に満足し、とりあえず確認できることを確認しようと艦内をうろついていた。
 その途中、アリシアは自分を呼ぶ声に気がつき、後ろを振り向いた。

「高町か。今起きたのか?」

 先日の戦闘が過酷だった様子で、なのはは少し気怠そうに廊下を歩いている様子だったが、全体的に気力は十分の様子に見えた。

「あははは、朝はちょっと弱いのです」

 なのはは照れくさそうに笑いながら後頭部をポリポリとかき、アリシアの首にレイジングハートがかけられていることに気がついた。

「あ、レイジングハート。おはよう、昨日はごめんね」

《Good morning, master.Were you pleasant Last night?》(おはようございます、マスター。昨晩はお楽しみでしたか?)

「ええっと? お楽しみって?」

《Never mind. Please forget.》(いえ、忘れてください)

「ユーノとは仲直りできたかってことだよ。そうだね? レイジングハート」

《Yes,of course. I wanted to say so, Ms.Alicia》(ええ、もちろん。その通りですよ、アリシア嬢)

「うん! ちゃんと仲直りできたよ。ちょっと泣いちゃったけど、ユーノ君優しかったし」

 そう言ってなのはは、アリシアが聞いてもいないのに、昨日の自分とユーノがどのようにして仲直りをしたのかを事細かに説明し始めた。
 本当に嬉しそうに語るなのはは弾けんばかりの笑みと、僅かに染めた頬を撫でながら、幸せいっぱいのため息をついて話を終えた。

『これは、惚気ってやつだよねぇ?』

『《It seems only so.It is origin Master indeed.He had gotten Maste excellently.》(そうとしか思えませんね。流石元マスター、見事マスターをゲットなさってしまいました)』

『とりあえず今日は、テアント(日本で言う赤飯のような意味を持つ食べ物)か?』

『《Let's reserve it until the time when the master reaches to be the first time.》(それは、マスターの初めての時まで取っておきましょう)』

 アリシアとレイジングハートがそんな会話を交わしていることなどつゆ知らず、なのははニコニコとユーノはいかに頑張り屋で、頼りになって格好良くて……などという、他人が聞いていれば一日中蒸し続けたエスプレッソをがぶ飲みしたくなるような話を延々と続けていた。

 テアントを食うのもそれほど遠い未来ではなさそうだ、とその話を耳から耳に流していたアリシアは、ふと気がついてなのはの話を止めた。
 なのははそれに少し頬を膨らませ、アリシアにジト目を向けるが、アリシアは素知らぬ様子で首をかしげた。

「今の内に、レイジングハートを返しておこうと思ってね。いつまでも借りてるわけにもいかないだろうし」

「あ、そうか。ありがとうアリシアちゃん」

 ようやく戻ってくる自らの相棒に相好を崩し、なのははそれを受け取ろうとした。

「すまないけど、まだ腕が動きにくいんだ。首から外してもらえるかな?」

 医務室では担当医から首に通されたのだが、アリシアの腕はまだそれほど自由に動くわけではない。
 なのはは、あっと声を上げばつの悪そうな表情を浮かべると、一言「ごめんね」と誤り、レイジングハートをアリシアの首から引き抜いた。

《It is approximately a half day way that meets you in this way,master.Can you have slept at one last night?Can you have gone to the restroom neatly at one last night?》(およそ半日ぶりですねマスター。昨晩は一人で眠れましたか? ちゃんとトイレには一人で行けましたか?)

 ようやく定位置に帰ってこれたと安心したように明滅するレイジングハートは、まるで幼子に気遣う母親のような様子でなのはに問いかけた。

「だ、大丈夫だよ。私、そんなに子供じゃないもん」

 少しだけ狼狽した様子のなのはだったが、レイジングハートはそれ以上追求せず、ただ「そうですか、何よりです」と返しただけだった。
 もしも、これが例の執務官であったり今までレイジングハートに泣かされてきた魔導師達であったのなら、レイジングハートは嬉々として品のないジョークを連発してその様子を楽しむだろうが、流石に彼女もそれをする相手をわきまえているようだ。

(と、言うよりは、基本的に過保護なんだよねぇ)

 その傾向はユーノの時にもあったが、なのはに対するレイジングハートの対応はまるで母親か小うるさい姉のようなものだ。
 今更だが、これほどまでにレイジングハートが心を開く相手というのも珍しいとアリシアは感じていた。

「ねえ、アリシアちゃんはこれから何か用事?」

 一通りレイジングハートと報告をし終えたなのはは、それをただ見守っていたアリシアに水を向けた。