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【リリなの】Nameless Ghost

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「この後は、少し艦内を動き回ってみようかと思ってね。暫く世話になるわけだし、中の様子ぐらいは確認したい」

 アースラの艦内は、人や物が行き来するために最適な作りをしており、車椅子というハンデを背負ったアリシアでもまったく問題なく移動が出来る構造となっている。
 アリシアは本当なら、フェイトが閉じこめられている営巣に足を運ぼうかと思ってもいたが、朝食の席でそれを聞いたクロノから、今はやめておいてくれと言われたためそれを断念せざるを得なかったのだ。

「そうなんだ、どうせだったらユーノ君を誘って一緒に行きたいけど……」

 正直なのはは心配だった。アリシアは、その人柄から子供のように感情を上手く扱えない様子は感じられず、何処か人生に慣れた大人の雰囲気を持っているが、それでもなのはの目の前にいるのはまともに身体も動かせない、母親が他界してしまった小さな女の子なのだ。
 しかし、と、なのははため息をついた。

「ごめんね、アリシアちゃん。私、荷物をまとめないといけないから」

 なのはは、今日でアースラを降りることとなっていた。時の庭園の崩壊の原因となった次元震が巻き起こした影響は消して小さくなく、時空間の海に若干の歪みを残すこととなった。
 故に、アースラはしばらくの停泊を余儀なくされ、つい先日まで地球への転送も不可能というわけではないものの、それには多少の危険があったのだ。
 それが先日になり海もようやく凪ぎ、なのは達は実家への帰省を行うこととなったわけだ。
 ただし、凪ぎという言葉から分かるように、この状況はそれほど長く続かないらしく、今日を逃せば次は一週間後と言うことになりそうだった。
 故に、なのはは起きてから向こうずっと荷物整理とアースラクルーへの挨拶回りに忙殺されているというわけだ。

「そうか、なら今日でお別れという事になるね」

 アリシアとなのはは出会って日が浅い、というより実際には半日強ほどの時間しか経っていなかったため、お互いにこれと言った感傷はない。
 しかし、彼女と別れるのなら、今となっては彼女の持ち物となっているレイジングハートと、高町家に居候しているらしいユーノとはしばらくの別れとなる。それを思うと、僅かながら寂寞の思いも湧いてくる様子だった。
 アリシアは思わず、ユーノとレイジングハートをよろしく頼むと言いそうになってその言葉を飲み込んだ。
 ベルディナであったのなら問題はない、しかし、ここにいるアリシアの口から出される言葉としては不適切に違いない。

(やはり、家族と別れるのは寂しいものだな)

 自分らしくもないと思いつつアリシアは頭を振った。

『《The previous owner,I didn't notice boredom in this about 40 year time which lived with you.I appreciate you who gave me consciousness.》(元所有者、貴方と共にあった40年あまりの時は退屈ではなかった。私に感情を与えてくださった貴方には感謝しています)』

 そろそろお互いの行動に戻ろうとした時、レイジングハートからの秘匿念話がアリシアに届けられた。

『そうか、ありがとうよ。新しいマスターと仲良くな。それと、ユーノのことも頼んだよ』

『《Entrust,The previous owner. I keep original master YU-NO with my master even if I make my body sacrifice.》(お任せください、元所有者。元マスター、ユーノの事はマスターと共に私の身に代えても守ります)』

『お前が言うなら安心だ』

 それは、ベルディナとレイジングハートの最後の別れの言葉だったのだろう。別れ、決別、新たな関係。
 これからの互いの関係は、アリシアとレイジングハートだという互いの確認だった。

「あれ? ねえ、レイジングハート。いま、アリシアちゃんと何か話してた?」

 レイジングハートの光の明滅と僅かな魔力の揺らぎを感じ取ったなのははレイジングハートにそう問いかけた。

《It makes a confidential talk Ms.Alicia only.Probably, because Ms.Alicia was to do the state being original master YU-NO which has a feeling, it thought that I would give her an encouragement.》(アリシア嬢と内緒話をしただけです。どうも、アリシア嬢は元マスター、ユーノを気にかけている様子でしたので、せめて激励をと……)

 おいおい、とアリシアは胸の内で毒づいた。確かにレイジングハートの言葉には何の間違いもない。しかし、それを聞いた第三者が、それもユーノに対して通常ではない感情を抱いている少女がそれを聞いたらどうなるか。

「えぇぇぇぇーーーーーー!!!!! ア、アリシアちゃんがユーノ君を? 何で? だって、出会ったの昨日だよ?」

 火を見るよりも明らかな事だった。アリシアは、額に手を当てて嘆きたかったが、いかんせん腕が動かないためそれも叶わなかった。

《Master,The relations of the man and the woman don't need time.It is as hasty as saying that there are two man and women together only for only 10 minutes and that the love sprouts up among two.Like just like vaporized gasoline, it kindles the world more instantly, it is the huger one.》(マスター、男と女の仲には時間など無用なのです。10分間二人きりでいるだけで恋心が芽生えると言うほど性急なものなのです。さながら気化したガソリンのごとく、一瞬にして世界を燃え上がらせるほど莫大なものなのです)

「そ、そんな……」

《However, a victory is given to us.The master.The master anyhow lives together with the original master YU-NO.Because moreover, you live at the room which is the same as YU-NO》(しかし、勝利は我にありですよマスター。何せマスターは元マスター、ユーノと同居しているのです。しかも、同じ部屋で寝食を共にしているのですから)

「そ、そうだよね! 勝算は我にありだよね!!」