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【リリなの】Nameless Ghost

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「こんなはずじゃなかったことだらけだな。まったく、執務官のおっしゃったことは真実を投影しているよ」

 もちろん、そのさらに復讐としてアースラの監視カメラに残された艦長と執務官補佐の丸秘お宝映像がばらまかれたのはアリシアの仕業だ。
 復讐はさらなる復讐を呼び込み、悲劇は繰り返される。
 アリシアは実際、リンディとエイミィからのさらなる復讐に戦々恐々と毎日を過ごしているのは、彼女だけの秘密だった。
 この一連の騒ぎにより、アリシアを初めいくつかの人間はその懐を大いに暖めたと言うが、それは別の話である。

「だが、まあ、フェイトに対する同情……というよりも、フェイトの有用さは管理局にも納得させることが出来たことだしね。後は、そのあたりをどうまとめていくかが問題だ」

 アリシアはその管理局局員らしいクロノの言葉に大げさにため息をついた。

「まったく、管理局というのはいつになっても節操無しだね。私は、フェイトを管理局の犬にはさせたくないんだけど」

 時空管理局、次元世界をとりまとめそれを統括し運営する統合組織は、その莫大な規模を運営するために常に人材を欠いている状態だ。
 アリシアにしてみれば、優秀でない人材を上手く運用できない管理局のシステム自体に問題があると思うのだが、それを言っても所詮は無駄に終わることを良く理解していた。

「それは、僕も艦長も思っているさ。だけど、管理局はあれだけの魔法資質を持った人間を野放しにはしておかない」

 どちらにせよ、管理局がフェイトを釣り上げるのも時間の問題ということだ。ならば、せめて目の届くところに置いておきたいというのが、リンディとクロノ共通見解である。

「まあ、私が文句をいう筋合いではないか」

 アリシアはそう言って肩をすくめるが、クロノは眉をひそめてアリシアに視線を送った。

「君以上に筋合いを持つ人間はいないはずだが、アリシア。自分の妹の人生が勝手に決められる事を良しとする姉はいないはずだ」

 フム、といいながらアリシアはフェイトをユーノに置き換えて考えてみた。

「確かに、家族が勝手に連れ去られていくのは面白くないね」

「君が守っていくべきだ」

「こんな身体でどうやって守っていけばいいのか聞きたいところだね。今はどっちかというと私の方が守られてるって感じだしな」

 まったくこの身を呪うよとアリシアは呟き、珈琲のお代わりを注文した。

「だったら、今は身体を治すことに専念した方が良い。リハビリの方は進んでいるのか?」

「経過は上々だね。後、一ヶ月もすれば歩き回る程度には回復するだろうと言われているよ」

 実際、アリシアは無理をすれば今でも歩き回ることは可能なのだ。その無理というのは、他でもない、魔術神経を利用した身体強化によるものであり、彼女が目覚めた早々に時の庭園を歩き回れた理由にもなっている。
 そう言えば、と、ユーノのことを思い浮かべた際にアリシアはずっと相談しようと思っていたことを思い出した。

「なあ、執務官。やっぱりユーノはあっちで過ごすつもりなのかな」

 なのはとユーノがお互いただならぬ関係であることは、既にアースラ内では有名になっていることだ。
 本人同士がどう考えているかはアリシアには分からなかったが、少なくともなのははこれからずっとユーノと過ごしていくつもりなのだろうということは想像に難くはなかった。
 だったら、ユーノはどうするのだろうか?
 あの調子でなのはの家に居候を続けるのなら、どうしても彼はフェレットの姿をしている必要があるが、本来なら人間である身の上ではいつまでもそれを続けていくことなど出来るはずがない。
 本来の姿ではない形で生活するのは精神的に辛いものだ。

「なのはと一緒にいたいって呟いていたな。色ぼけフェレットめ」

 クロノはなのはとユーノのことに関する話題には終始面白くなさそうな感情をあらわにする。
 おそらく一目惚れだったんだろうなとアリシアは予想するが、終わってしまったことをあれこれほじくり返すのも面倒なので、それは保留とした。
 アリシアは、そうか……、と呟き、それまでに考えていたアイディアをクロノに提案することとした。
 話を終えた時、クロノはその案に目を丸くしていたが、アリシアが至って真剣な表情だったため、クロノは、艦長に相談してみると言って食堂を後にした。

「まあ、暇つぶしにはちょうど良いしね」

 アリシアは夕食後に予定されている検査の事を思い、少し憂鬱気味に息を吐いた。