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【リリなの】Nameless Ghost

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 両民族の交流が盛んになり融合が進んだ現在においてはその違いは顕著に見られるものではない。しかし、古代ベルカ出身のベルディナはその違いが顕著に表れる時に生まれているため、どうしてもリンカーコアの性能が悪くなってしまう。
 特にベルディナはその中においても特に魔法適性が低かったためミッドチルダ式の魔法やベルカ式の魔法を習得することが不可能だった。

 アリシアは純粋なミッドチルダの人間であり、母は希代の大魔導師といわれるほど偉大な魔導師だったが、その性質をこれでもかと言うほど受け継がなかったらしい。
 つまり、アリシアも魔法適性に関していえばベルディナと五十歩百歩といったところだ。よって、アリシアとしてはミッドチルダの魔法に関しては殆ど諦めていたのだが、デバイスさえも起動させることが出来ないとなると少し残念な気分になってしまう。

(そう考えると、レイジングハートは良くついてきてくれたものだね)

 アリシアは元相棒にして家族のようなものだった赤い宝玉を思い出し、いずれ今渡されたデバイスともそういった関係が築ければいいと思った。

(そういえば、レイジングハートが初めて口をきいたのも手に入れて数年後だったな。まあ、気長にやっていくか)

 それまではとりあえず肌身離さず持っていればいいとアリシアは思うことにした。
 そして、珈琲の最後の一口を飲み干し、食後の祈りを聖王に捧げた。