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【リリなの】Nameless Ghost

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 なのはは兄から手渡されたエアメールの梱包紙を胸に抱き、「わぁ……」と歓声を上げ頬を染めた。

「そういえば、その文通もかれこれ半年以上か。結構長く続いているんだな」

 席に着きながら新聞を読んでいた士郎は毎月の終わり頃かはじめの頃に送られてくるそれに喜ぶ娘を見て頬をゆるませた。

「フェイトちゃん、今度会えるんですってね。それにフェイトちゃんと一緒にユーノ君も帰ってくるんでしょう? お母さん、目一杯歓迎しちゃう」

「うん、アリサちゃんとすずかちゃんも歓迎パーティーをしようって言ってくれてるの」

「ほう、そうか。だったら家の店でやったらどうだ? 一日ぐらいは貸し切りにしても良いよな? 桃子」

 士郎は、なのはの母桃子にそう目を向けた。

「もちろんよぉ。ぱーっとやりましょう」

 家族みんなが笑顔でいられる。なのはも、部屋でゆっくり自己メンテナンスをしているレイジングハートも、皆この幸せをかみしめている。


――そして、なのはは振り向いた。

 リビングの日だまりの一角。ただぼんやりと妙に明るい木目調のフロアになぜかヒタと一粒の水滴が落ちる音がした。