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【リリなの】Nameless Ghost

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 それをどこか遠目で眺めるクロノは『体格的にユーノの勝ちは確実だ』と考え、その隣でまだお茶(フルシュガー=りんでぃ・すぺしゃる)を飲むリンディはユーノに賭けながらも『それでも勝つのはアリシアさんでしょうね』と細く微笑んでいた。

「なのはちゃん、フェイトちゃん、ちょっと良いかな?」

 勝負の行く末を見守れないのは残念だが、証拠となる動画はそのまま二人にフォーカスしたまま置いてあるので、エイミィは安心して二人に話しかけた。

「あ、はい。なんですか?」
「なに? エイミィ」

 呼ばれた二人は仲良く振り向き、その手に自身のパートナーであるデバイスが手渡された。

「レイジングハート! メンテナンスは終わったの?」

《Because it ended I was here , my little lady. Did you cry that I was not? 》(終わったからここにいるのですよ、私の小さなレディ。私がいないといって泣いていませんでしたか?)

「な、泣いてなんかいないもん」

《That's so. Master is OK even if I am not? Should it grieve for that it should be glad about the growth of the master or not relying? One cup associate in Balldish, tonight. Let's drink for the master which was made adult.》(そうですか、マスターは私がいなくても大丈夫なのですね? ああ、マスターの成長を喜ぶべきか、頼りにされないことを悲しむべきか。バルディッシュ、今夜は一杯付き合ってください。オトナになったマスターのために乾杯をしましょう)

 大げさに声を上げるレイジングハートに呆れるバルディッシュは金色のエンブレムの表面を一瞬光らせる。

《But the mouth which drinks alcohol should not exist at us? Lord Rasingheart》(我々には酒を飲む口は存在しないはずですが? レイジングハート卿)

《You can not understand humor》(ノリの悪いデバイスですね、貴方は)

《The feature isn't loaded into me》(私にノリという機能は搭載されておりません)

 しきりに表面を点灯させながら会話をする二機のデバイスにフェイトは少し驚いた。

「バルディッシュ、良く喋るようになったんだね」

 これも改造された影響なのだろうかとフェイトは思う。正直なところ、フェイトはなのはとレイジングハートが互いに気の置けない友人のように会話を交わすのを少し羨ましく思っていたため、バルディッシュのこの変化を嬉しく思っていた。

《Excuse me , Sir》(申し訳ありません、サー)

 フェイトへの返答は今までと変わりのないものだったが、フェイトはバルディッシュの表面を慈しむようになで、

「いいんだよ、バルディッシュ。これからいっぱいお話ししよう。私はバルディッシュがもっといろんな事を話してくれると嬉しい」

 と暖かな笑みを浮かべる。

《I try so》(善処します)

「うん」

 エイミィはそんなフェイト達を見て、「いいなぁ」と頬を緩めた。すぐ側でバカみたいな熱戦を繰り広げているまるで可愛げのない年下の姉に比べれば、フェイトの浮かべる笑みがどれほど子供らしい暖かなものか。

(やっぱり、フェイトちゃんがリンディ提督の養子になるのはすっごくいいね)

 この空気がハラオウン家に満ちあふれ、クロノも同じように笑っていてくれるならそれはなんと幸せな世界なんだろうかとエイミィはそんな未来を幻視し、そんな中に自分も一緒にいられればと希望を持った。断じてそこにいるのは、姉の方に弄り倒されてハンカチを涙で染める自分ではない。
 エイミィは「よし! 頑張ろう」とガッツを入れて二人に話を続けた。

「まずはフェイトちゃんのバルディッシュから」

「はい」

《Sir》

「基本フォームはアサルトで、接近戦特化のハーケン、そしてフルドライブのザンバーの三つね。一番の変更点は、もう知ってると思うけどカートリッジシステムって呼ばれるもの。本当だったらインテリジェントデバイスに組み込むようなものじゃないけど、バルディッシュの要求で取り付けることになったんだ」

「そうなの? バルディッシュ」

《All right , Sir. I judged that I must become strong for you to defeat them too.》(その通りです、サー。貴女があの者達に勝つためには私も強くならなければならないと判断しました。そのために求めた力です)

「そういうこと。だけど、カートリッジはまだまだ不安定で危険がない訳じゃないんだ。だから、あんまり乱発しないように。これだけは約束してね」

「分かりました」

 フェイトは決意を新たにバルディッシュをキュッと握りしめた。フェイトの小さな手の平の中でバルディッシュも誇らしげに輝く。

「あの、レイジングハートはどうなっちゃったんですか?」

 フェイトの話しが一段落したのを見計らい、なのははそうおずおずと口を開いた。

《You are discourteous. Do you think that I was crazy?》(失敬な。それではまるで、私がおかしくなったようではありませんかマスター)

「そ、そんなこと、………ないよ?」

 アリシアならさしずめ「おかしいのは元からだから気にしなくてもいいよ」と言いそうだなとなのはは予想しつつレイジングハートを宥めた。

《I feel that blank but it is OK. Well, Please explain to master about me,Limietta the leader of operater》(間の空白が気になりますが、まあ良いでしょう。リミエッタ管制主任。説明をお願いします)

「あ、そうだね。えーっと、レイジングハートに関しては実際手がけた一に聞くのが良いんだけど……」

 「やりにくいなぁ」と感じながらエイミィはふとソファに目をやるが、そこでは未だアリシアとユーノがデットヒートを繰り広げている最中だった。

 まだ勝負が付いていなかったのかとエイミィはため息を吐き、

「あのー、二人とも。そろそろ決めてくれない?」

 と声を掛けた。

「ならば、奥の手だ!」

 というアリシアの雄叫び。
 その瞬間、均衡を保っていたフォークははじけ飛び、その隙を狙ってアリシアはテーブルの下に潜めていたナイフを一閃させ宙に浮いたミートボールめがけて一直線に王手を掛けようとする。

「それぐらい予想の範囲内だよ!」

 返す刀とまでは言わないが、ユーノも空いた手になのはが使っていたフォークを掴み、アリシアの一閃に滑り込ませるようにそれを振るった。