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【リリなの】Nameless Ghost

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 アリシアの雰囲気に流され、なのはが少し気落ちしている様子にようやく気がついたフェイトは心配げになのはの顔をのぞき込む。

「あ、えへへ。ちょっと疲れちゃったかも」

 なのはは友人達からこぞって鈍いと言われているユーノでさえも分かるような、無理をしている笑みを浮かべ、運ばれてきた追加の飲み物を口にした。

「あの、気分が悪いなら……」

 ちょっと看ようか? というユーノの言葉を遮るようになのはは両手をパンと打ち鳴らし、

「そう言えば、クロノ君達にちょっと聞きたいことがあったんだった!」

 と叫び、慌てて席を立ち上がった。

「えっと、なのは?」

 なのはの突然の行動に面食らい、フェイトはどうにも行動がとれなくなってしまう。

「ゴメンね、二人とも。ちょっと、行ってくるね。あ、お金は後でちゃんと払うから」

 なのはは拝むように合掌して二人に詫び、

「あ、別にそんなこと気にしないで良いんだけど」

 というユーノの言葉に、最後に「ゴメン!」と謝りながら何をそんなに急ぐのか、まるで何かから逃げる課のような足取りでラウンジを後にした。

 アリシアの言葉によって変わってしまったなのはの様子。
 よく冷静に見ていれば簡単に気がつくことを、アリシアの話術に陥った二人では気がつくことが出来なかった。

 理由も分からず姿を消してしまったなのはの跡を目で追いながら、二人は呆然とその場にたたずむ。
 人が引き始めてもなお賑わいを残すラウンジの喧噪がどこか白々しい雑音のように二人には感じられた。