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【土沖】「さらば惑星」同人誌サンプル

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※サンプルはWEB用に改行を入れています













「俺は本当は地球の人間じゃあなくて、いつか故郷の星に帰るんです」と、ふとしたときに沖田は言う。






土方に思い出させるように、あるいは、自分自身に確かめるように繰り返す。どこからどう見ても地球人と変わらない姿をして、変わらないまなざしで、こちらの目を見て真摯にそう口にするのだった。



宇宙人や幽霊など死んでも信じたくないと思っている土方からすると、正気の沙汰ではない話だ。

土方のような一介の大学生にとって、星や宇宙とはテレビの向こうで流れるニュースの世界の話であり、星座に関する知識というと高校の授業までに習ったものがほんのひとさじと、生まれた日によって決まる星のこと。それだって、占いの類になるとまったく信じていない。

要するに土方の目に、沖田はまったく理解できないことを本気で言う、想像の範疇を超えた未知の人間として映るのだった。どこかから電波を受信したり発信したり、こちらから見て沖田が宇宙人に映ることがあるとすれば、そういう要素だ。


そんな自称宇宙人と面識を持ってしまったことはもう諦めるよりほかにないから、なるべくなら関わり合いにならずに生きていこうと決めていたはずなのに、ふとしたときに弱みを握られ、うっかりお近付きになってしまった。

その上、今現在に至っては、とうとう恋人と呼ばれるべき近しさになっている。つくづく、どうしようもない。

「惚れた弱み」というものがものすごい効力を持っていることは聞き及んでいたが、それにしたってこれは、同じ大学の友人である近藤が恋にのめり込むのを咎めることもできない体たらくなのだった。