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りりなの midnight Circus

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第十一話 特務機動中隊


 特務機動中隊の面々は、さすが特殊部隊に抜擢されただけのことはあり、その練度は相当なものだとエルンストは感じていた。それでもどうしても越えられない壁というものは存在するのだと実感していた。
「後方、7時の方向に敵の出現を確認。距離、34。総数6接近、相対距離50……オープン・エンゲージ」
 エルンストは一等小高いビルの頂上に立ち、そのフィールドを俯瞰するように眺め回していた。オレンジの光点の総数は大小会わせてその数が既に30を超えていたが、追加配備されるターゲットが現れる瞬間から一方的な速度でそれが減少していく様を彼はつぶさに観測していた。
 彼は【クリミナル・エア】を短銃身の連射型カービン銃のスタイルで脇に抱え、本人はあくまでチームメイトをサポートする観測士と情報士に徹するのみだった。
 チームメイトは自身を除けば僅か2名。一個分隊として最小構成とも言える小規模戦闘部隊であるはずのこのチームは、先程まで戦場を支配していたチームと比べ圧倒的な戦力を誇っていた。
「D(デルタ)2に警告、敵6時方向より接近。距離20、仰角15、相対速度32。小型機と確認、総数3」
 その言葉と共にD2(ヴィータ)の光点は急速反転の後上昇し、その目標を空から迎撃した。赤色のスカートの裾が靡き、その手に持たれた巨槌【グラーフ・アイゼン】が振りきられ、その先に浮遊する三つの鉄球を恐ろしい勢いで打ち付けた。
 十分な速度と重量、そして僅かに与えられた追尾機能を持ってその鉄球は美しい弧を描き敵をなぎ払い、打ち砕き、押しつぶす。
 それだけ大きなモーションを必要とするその攻撃においても彼女の動きにはまったく無駄がなく、正に敵の光点は瞬く間に消去されてしまった。
「D1へ、進路変更を要求する。その先に敵の包囲網が作成されつつある。そのまま10時方向へ120進み、それより9時方向へ反転せよ。なお、現在、敵レーダー照射を受けている。乱数回避運動と共に低空飛行を推奨する」
 D1(なのは)の了解という声に呼応して、D1は不規則な軌道を描きつつその高度を上下させながらも徐々にその硬度を下げ、エルンストが警告した敵の包囲網から距離をとりつつあった。
「D1からD3へ。先程3時方向、距離およそ80に敵の機影が肉眼で確認できた。情報を求む」
 D2の監視に戻ろうとしたエルンストに彼女の声が響いた。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪