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りりなの midnight Circus

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第十三話 クリミナル・エア〈前〉


 朱鷺守達A分隊とB分隊が現場に到着したのは、なのは達が下りたって10分程経過した後だった。
「ようやくお出ましか。遅かったな朱鷺守」
 ヴィータは【グラーフ・アイゼン】を肩に背負いながらそんな彼らをにらみつけた。
 無難にタッチダウンした輸送機から、朱鷺守棋理を筆頭にA部隊の面々とシグナムをリーダーとしたB分隊の要員が顔を見せた。
「済まんな、ヴィータ副隊長に高町隊長。双子のリーファを回収するのに手間取った」
 そういう棋理の後ろには、少し頬をぬらしている双子、エリオンとリーファが居心地が悪そうに顔を見せている。
「まったく、自由待機にもかかわらず街に遊びに行くなど、気がゆるんでいる証拠だ」
 怒りと呆れをない交ぜにした表情を浮かべるシグナムは、溜息をつきつつ二人を見下ろした。
「すみません」
「ごめんなさい」
 輸送機の中でこっぴどく叱られたのだろうか、双子のリーファは姉弟ともに瞳に涙を携えていた。
 普段は気が強く、何かと突っかかってくるような様子の姉アリシアも今では、理知的で冷静な弟エリオンの影にひっそりと隠れてしまっている。
 その様子を気の毒に思いながらも、なのはは腰に片手を当て残ったほうの手で上を指差しながら、説教をした。
「いい、ふたりとも。もう散々いわれたかもしれないけど、私たちは人の命を預かる大切なお仕事をしてるんだよ。そんな人間が、こんな風じゃいけないことはわかってるよね」
 二人はまるで母親にしかられた子供のようにしゅんとなって下を向いた。その瞳やしぐさは、双子らしくまったくよく似ている。
「今度からはこんなこと、みんなを困らせるような勝手な行動をしないって約束できる?」
 なのはは、膝を折り二人に視線を合わせてじっと覗き込んだ。
「はい、約束します。なのはさん」
 その言葉を聴き、なのははまたにっこりと笑うと二人の頭をなでた。
「さすが高町一尉。子供の扱いをよく心得ている」
 はその様子を感心して眺めた。なにぶん家族を持たない彼は、ただ二人を罵倒することしかできなかったが、二人に反省を促しそして最後には優しく許すという彼女のやり方に母の様子を見た。
「話は一段楽したか?」
 双子のリーファが普段の調子を取り戻したところで、彼らの後ろから一人の若い女性が姿を現した。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪