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りりなの midnight Circus

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第十五話 届かぬ想い


 帰投するヘリの中で、再びモニターに顔を見せた機動中隊の副部隊長、アグリゲット・シェイカーは、今回の作戦の報告を行っていた。
「公安の狙撃部隊が事態の収拾を行い、結果的に立て籠もり犯二名の命を犠牲にすることで本件は収束した。諸君等にとってはいささか納得のいかないところもあっただろうが、君たちの収集した情報は問題なく本件の解決に貢献したと言える。よくやったと言っておく。連中の所持していたロストロギアは既に古代遺物管理部に送られ現在解析中だ。生き残った立て籠もり犯の一人も現在問題なく司法裁判所へと送られている。まあ、おそらく終身刑は確実だろう。報告は以上、全員直ちに帰投せよ。隊長達は本日中に報告書を提出のこと」
 報告書と聞いて朱鷺守が嫌な顔を浮かべたのではないかとエルンストは予想したが、情報収集はやめておいた。
(それにしても、公安が解決したか。情報の偽造か、いや、隠匿と言うべきだな)
 しかし、公安はけっして嘘は言っていないとエルンストは知っていた。あの二人、レイザとホムと言った二人を殺した時エルンストは確かに(名目上とはいえ)公安の所属であったし、機動中隊が収集した現場付近の情報がなければ彼の狙撃は失敗していた可能性も否定できないのだ。
 機動中隊に復帰したエルンストに同乗しているなのはとヴィータは、彼が何をしていたのかを聞き出そうとしていた。
「ただビルの上に這い蹲って、無駄な情報を収集していただけです。気がついたら事件が解決していてむしろ困惑しているところですよ」
 彼はそういって話をはぐらかせた。公安は嘘を言っていないが、エルンストは明らかな嘘をついていた。
 もしも、なのはとヴィータがエルンストの射撃スキルを知らないままでいたのなら、それであっさりと騙されていたことだろうが、彼女たちは彼の嘘を何となく見破っていた。
 怪訝な様子でエルンストを見る二人の視線に、エルンストはこの二人はおそらく知っているのだとほぼ確信に近い形で感じていた。
 しかし、エルンストは思う。別に隠しているわけではないと。
 ただ、機動中隊の性質上、自分のようなワンマンオペレーションに特化したスキルはむしろ余計だと感じているだけに過ぎない。事実、これまで中隊で行ってきた模擬戦においても、同乗する二人の陰に隠れて何度か長距離における狙撃を行ったこともあるのだ。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪