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きくちしげか
きくちしげか
novelistID. 8592
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鬼の腕

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新八が道場から出て行った後、銀時はすぐに後を追った。気圧される様に新八を行かせてしまったが、一人にするのは危険だと慌てて後を追ったのだった。袴をはいた少年がまっすぐな道を走っていく姿が見えた。見えるうちは大丈夫、今ならまだ間に合うと銀時は冷静になるようつとめた。
しかし、その後を若い男がつけるように走っていくのも見えた。
(どこかで)
普段と違う格好をしているのですぐには気がつかなかったが、袴をはいたその若い男は確実に新八の後を追っていた。
「真選組!」
思わず声を上げた。
(ちっくしょう!あいつらぁ!)
銀時は外に留めてあったバイクにまたがろうとして違和感に気がついた。
タイヤがパンクしている。
(こんな時にっ)
「ちきしょう!」
銀時はまだうっすらと見える少年と追跡者を追いかけた。新八が3つ目の交差点で角を曲がった。
追跡者もそこを曲がった。
(どこ行くつもりだよ)
銀時が同じ交差点に差しかかった時だった。
ドスン
チャリン、チャリン
「す、すいません!」
若い男が銀時とぶつかった。男はひっくり返った銀時の方へ向いて手を出した。
「大丈夫ですかぁ」
派手な着流しを着ているが、顔は平凡で気の弱そうな感じだった。どこかで見たような気もしたが、あまりに平凡な顔と地味な雰囲気だったのでたまに行くコンビニの店員かとも思った。
「どっこ見てんだ!邪魔だ!どけ」
銀時は手を払い男を押しのけ怒鳴りつけた。
「す、すいません」
男は頭をペコッとさげて小銭を拾い始めた。
(しまった)
男に気を取られて新八を見失った。行ったと思われる方向へ走ってみたが、もうどこにも見当たらなかった。
(ちきしょう!ちきしょう!)
銀時は自分に対して腹を立てていた。新八のこの所の変化は激しすぎてとても自分の手に負えなかった。
時が解決する。
自分の時もそうだった。初めて生きた者を手にかけて正気でいられる人間は少ない。しかし、時間と経験が解決する。今はそういう時代でもないが、剣の道を志す者なら一生誰も斬らずとも、一度は通らねばならない道だった。
(似蔵をやらなかったら、やられてたんだ)
今の自分だからそう言えるのだ。しかし昔の自分はどうだったかと聞かれれば、新八よりひどかったかもしれない、と思った。そしてあの男達の訪問が新八を狂わせていった。銀時は今更ながら後悔していた。
(どれもこれも護れるもんじゃねえのは分かってる。でも)
桂や高杉を切って捨てられるほど自分は強くないという事をまず始めに分かっておくべきだった。
(俺はガキ一人護れねえ)
お登勢に心配するなと言った。
(何が心配するな、だ)
「ちくしょう!」
考えながら銀時はある場所へと走っていた。
作品名:鬼の腕 作家名:きくちしげか