二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

リオ・ナユ

INDEX|55ページ/65ページ|

次のページ前のページ
 

勝算…ティント編



カーン曰く、ネクロードの魂を封じる事が必要、とのことであった。
カーンが結界を作り、星辰剣でネクロードの体を砕いても、魂を封じなければ再生するかもしれない、と。
そしてその封じる力を持っている相手もネクロードをずっと追っていたらしく、今は虎口の村にいる、と。
カーンはティントがネクロードに落とされたと聞いて、ビクトール達がいるかもしれないと思ってこのクロムの村まで来たらしい。

「じゃあさっそく会いにいこうぜ?」

ビクトールが言った。

「えぇ。・・・た・だ・し。気難しい相手らしいから、くれぐれも怒らせないで下さい。」

その時ナユとビクトールは一斉にリオを見た。

「・・・ほんとに失礼な奴らだね?安心しなよ、僕は今眠いから何もする気になれない。」

ナユ達はそのまま虎口の村まで向かった。
村に入ると、何やら男どもが誰かを囲うようにして立っている。どうやらあまりいい雰囲気ではなさそうだ。

「・・・で、ティントの村がゾンビの手に落ちたっていうじゃねぇか!!お前も奴らの仲間なんだろ!?」
「そうだっ、だいたい、ここで何してるんだ!?一日中宿の部屋にこもりっきりで!!」

見ると小柄な少女が中にいた。その少女は何を言われても黙っていた。

「やい!!なんとかいいやがれ!!」

ナユが中に入ろうとすると、ビクトールがそれを押しとどめ、そのまま中に入っていった。

「おい。待て待て、何だってんだ?」
「どきやがれ!!このアマはやつらの仲間なんだよ!!」

その時、今まで黙っていた(だがあきらかにめんどくさげな顔をしていた、とナユは思った)少女はピクリ、と体を動かし、口をきいた。

「!・・・・・・アマ?」

それには気づかずに別の男が言う。

「そうだっ、この青白い顔の女は怪しすぎるぜ!!」
「・・・・・・青白い顔の女?」

少女がまた呟くように言った。
ビクトールが皆を見渡して知らないうちに引導を渡した。

「やめろ、大人げないぞ。こんな少女・・・・・・」
「少女・・・・・・」

ビクトールに少女呼ばわりされるとあきらかに体を震わせてからすこし俯き加減だった顔をあげ、言った。

「わらわを誰だと思っておるのじゃ!!!おんしらなど、わらわから見ればひよっこ同然じゃ!!!!」
「は・・・?」

ビクトールがその少女を見る。
少女はまた顔を俯き加減にしてから言った。

「おんしらが騒ぐから眠りをさまたげられたわっ。・・・そのつぐないはしてもらうぞ。」

そして手を上に上げると、稲光がして雷があたりに落ちた。
とたん、周りを囲っていた男どもは蜘蛛の子を散らすように逃げていく。少女はそんな様子をさもくだらないような目でみながらあくびをした。

「まったく・・・ただでさえ寝不足だというのに。」

ビクトールはすすっとカーンのところまで歩いてからカーンに聞いた。

「カ、カーン。もしかして、こいつが?」

カーンは、ええそうです、とニコリと答えると、少女のもとまで行った。

「シエラ様ですね?」
「・・・なんじゃ、おんしらは?わらわは眠いのじゃ、用なら手短にな。」
「わたしはネクロードを追っているマリィ家のものです。」
「ほぉ、バンパイアハンターか。人間のくせに物好きな奴らじゃ。」
「シエラ様もネクロードを追っておられるのでしょう?」
「あやつめの盗み去った“月の紋章”を取り戻さねばならぬからのぉ。しかし力を合わせるという訳にはいかぬ。人間なぞ、ただの足手まといじゃ。」
「・・・よく言うものだ吸血鬼」

その時ふいに声が聞こえた。
いままで沈黙していた星辰剣であった。

「・・・おんしは星辰剣・・・。なぜこのようなところに・・・?」
「何、腐れ縁があってな。しかしお前まで人の里におりているとはな。すでに隠居したと思っていたぞ。」
「人に使われる剣などに身をやつしているおんしに言われとうないわ。」

そこに、またカーンが口をはさんだ。

「シエラ様。ぜひ我々に手を貸して下さい。」
「・・・ふむ・・・。ならばためしてくれよう。おんしらが足手まといにならぬと分かれば供につれていってやるぞよ。」

フ・・・と微笑むようにシエラは言った。
ビクトールはナユにどうする?と聞いた。

「・・・わかりました、やります。」
「ほほう。勇気のある子供じゃな。」

そしてしばらくの間、ナユやビクトール達はシエラと戦い続けた。
リオは何もする気になれない、と言ったとおり、つまらなさげにそれらを見ていた。
しばらくするとシエラは白いコウモリの姿となり、またそこから少女の姿になった。

「・・・ほぅ。人間のくせにここまでやるとはのぉ。おんし、名前は?」
「え?僕ですか?ナユ、ですが・・・。」
「ナユ。よろしい。おんしをわらわの第一の従者にしてやろう。」
「え・・・。あ、ありがとうございます・・・?」
「ほほほ、さあ、ネクロードのもとへ案内せい。」
「く・・・・。と、とにかく一旦クロムの村にもどろう。」

ビクトールが言った。
また皆で歩き出す。

「ところで・・・。」

シエラが今まで黙っていたリオに声をかけた。
作品名:リオ・ナユ 作家名:かなみ