リオ・ナユ
仲間…ティント編
一同が街の入り口まで来ると、そこにはグスタフをはじめ、たくさんの人が立っていた。
「お父さーん!!!」
リリィが駆けだし、グスタフに抱きつく。
「リリィ、無事だったか!!」
「ああ、リリィさん、ご無事で何よりです。」
横でマルロもホッとしたように言っている。
「おぉ、無事だったか、ロウエン。」
「ロウエンのアネキ!!」
リリィに追いついたロウエンに、ギジムとコウユウが声をかけた。
「てめぇら!!野郎2人がそろって何してやがったんだ、灯竜山の名折れだぜ!!!」
「め、面目ねぇ・・・。」
その光景を見ながら、ナユ達も近づいてきた。
「あのぅ・・・。」
不意にナユに、男が声をかけてきた。ナユは、ん?とそちらを見る。幾人かの男がいた。
「この間は猫耳ッ子とか言って、すまなん・・・すみませんでした・・・。いやぁ、俺ら、見る目、ねえな。あなたの方が俺らよりよっぽど男らしい。」
どうやらこの間落盤があった坑道前にいた人達のようであった。
「俺らの暴言にもかかわらず、あなたは何も文句も言わず黙って、そして俺らですら腰がひけちまった、あの中に入っていった。それにこうやって俺らの街を救って下さった。ほんとうに、なんて言っていいのやら・・・。」
「ああ・・・。いえ、僕一人で出来た事ではありませんし。気にしないで下さい。」
恐縮しまくっている男たちに、ナユはニッコリとして言った。
内心では嬉しかった。
自分でもこうして誰かに認めてもらえるんだと思える事があると、ナユはとても嬉しくなった。
「ナユ殿!!」
そこにグスタフが声をかけてきた。
ふとそちらを見ると、カイリ、テッドが手を振っていた。そしてジェスにハウザー達がいる。
「ナユ・・・おまえはネクロードを倒し、ティントを解放した。・・・なぜだ?おまえがそれをする理由はなんだ?」
ジェスがナユに声をかけてきた。
なぜ・・・?理由なんか、いるの・・・?そう、だな、あえて言うなら・・・。
「・・・もう、逃げたくはないから・・・。」
「そうか・・・。・・・ハウザー、俺は自分の判断ミスで多くの兵を失った。アナベル様の願いはミューズ、そして同盟の地を守る事だった。そして、その任は俺ではまっとう出来ぬ事が分かった。俺はミューズ市市長代行の座を降りる。ミューズの法では、次の代行者はフィッチャーになる。フィッチャーはナユ殿の軍にいると聞く。お前もこちらの軍に入るがよい。」
「ジェス殿、あなたは?」
ハウザーが聞いた。
「俺はここには残れないよ。」
「ともに戦った友として、言おう。あなたも、またナユ殿の軍のもとで戦うべきだ。ナユ殿も、あなたも目指したものは同じだ。つまらぬ理由で袂をわかつべきではない。」
確かにジェスは色々と納得いかない事を言ってくれたが、だがそれも街を思っての事。
彼はまじめすぎるくらいまじめなんだろう。
ナユはふう、とため息をついてから言った。
「一緒に・・・戦いましょう。」
「・・・・・・ナユ殿・・・。」
ジェスは下を向いたかと思うと、ナユに向き合った。
「ひとつだけ聞こう。あの時のことを・・・・・・アナベル様はお前の事を気に入っていた。ゲンカクの息子が現れた事を喜んでいた。お前はその気持ちを裏切ってはいないのか?」
ナユはまっすぐにジェスの目を見て言った。
「僕は裏切ってなど、いない。」
「・・・・・・・・・。アナベル様を信じ、ミューズ市、都市同盟の為、今日まで戦ってきた俺は・・・、アナベル様を失った怒りを、お前にぶつけていたのかもしれないな。アナベル様亡き今、俺は俺の良心に従って生きるべきなのだろう。」
そしてジェスは頭を下げた。
「ナユ殿。今までの非礼はお詫びする。俺も一緒に戦わせてくれないか?」
・・・ジェスがデレました。