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コードギアスログまとめ(スザク受け中心)

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今の愛し方(ぬるえろ注意・ジノとスザク)


 今、自分を愛撫する手には優しさしかない。俺よりも節がしっかりしていて、それでいて優美さを失わない指。
 過去がフラッシュバック/残像が重なる/実像と虚像が拮抗/再構築=まだ“今”が優勢。気品溢れる指の腹が身体の筋を辿っていった。

「っ、ん……」
「気持ちいい?」
「じれったいし、くすぐったい」

 そう、この男との情事に気に食わないことがあるとすれば、“相手を優先する”ということだ。
 今の愛撫も色を含んだ交わりというよりは、犬が飼い主の頬を舐めるような動きに近い。劣情などなく、スキンシップの一環のようだ。
 ああ、とまだぼやけることなくしっかりと働く視界で天井を見た。
 こういった行為も、スキンシップの一環なんだっけ。当時は友情か愛情か、傷の舐め合いか押し付け合いか――今となっては歪んだ憎悪に隠されて、正しく判断できそうにもない彼の詭弁を思い出した。

「考え事?」
「そんなところ」
「随分余裕だね」
「ジノがぐちゃぐちゃにしてくれないからだよ」

 ベッドに雪崩込んでから、初めて名前を呼んだ。普段は三つ編みを結わえている少し長めの金糸に指を絡めた。
 挑発するように笑ってやれば、相手は真っ赤な舌で唇をぺろりと舐めた。忠実な犬が、獣に見えた。
 その仕草に、自分の中の何かがぞくりと反応する。一瞬で背筋を駆け抜けて、脳をあっという間に麻痺させた。

「ジノ」
「なに?」

 胸への愛撫も程々に、ジノは鋭い犬歯で俺の首筋を甘噛みし始める。唾液で濡れた首に吐息がかかって、くすぐったくて少し冷たい。

「今日は“俺”が上」
「へっ?」

 反論させる隙なんか与えない。トン、と相手の厚い胸板を押して、彼をベッドに組敷いた。
 鼻先が触れるか触れないか、ぎりぎりの位置まで顔を近付ける。絶対俺からは触れてやらない。耐え切れなくなった彼が動くまで、待つ。
 指先で厚い胸板から、鍛え抜かれた腹筋まで、焦れったくなるような速さでゆっくり撫でていく。目の前の彼とは違う。相手にゆったりとした快楽を与えるのが目的ではない。きちんと明確に行為の示す先を身体が連想するように、ゆっくり、ゆっくり。

 焦燥の炎が、青い瞳に見て取れた。

「んっ……!」

 噛み付くように口付けられ、薄く開いていた隙間に舌が捩込まれる。
 この辺は記憶の中の彼と何ら変わりなくて、色も体格も囁く睦言も違うというのに、本能は誰でも同じなんだなと思った。

「んぅ、ふ、はぁ……」

 主導権ぐらいいくらでもあげるよ。いくらでも取り返してやるから。
 どちらからともなく唇を離して、唾液の糸が俺達の間を繋いだ。

「上って、なに? 今日は俺が女役?」
「まさか。自分より体格のいい相手を組み敷いて何が楽しいんだい」

 ああ、でも、と思い返せば記憶の中の彼は常に僕を組み敷いていたっけ。彼の方が華奢で色も白かったのに。よく分からなくなってきた。

「とにかく、俺は君相手には女役に徹するから安心していいよ」
「君相手には、ねー」

「おりゃっ」と気合いが入っているのかいないのか、非常に微妙な声でジノは上半身を起こした。
 そこまで含みを持たせたつもりはなかったのだけれど、なるほど、繰り返してみると何か裏があるようにも思える。

「じゃあ、君相手じゃなきゃあ――こんなこと、しないよ」

 これで満足?
 言い直して対面の男の唇を一舐めしてやった。

「うーん、八十六点ぐらい」
「残り十四点は?」
「こっちが満足してない」
「あっ」

 にやりと実に男らしく笑ってみせて、ジノは軽く腰を揺らした。思わず熱っぽい吐息が口から零れた。これじゃあ俺が待ち切れないみたいだ。

「お釣りが貰えるぐらい満足させてあげようか」
「言うねぇ」

 熱を持ち始めたジノの中心に指を絡めて、軽く撫でた。手の中でぴくりと小さく反応が返ってきて、その素直さに小さく笑ってしまう。
 馬乗りになっていた彼から降りて、中心に顔を埋める。
 舌先で先端を舐める。そのまま全体を舐めて、歯を立てないように口に咥えた。
 毎回頭を掠めることだけれど、これ、歯を立てたら相手はどうするのだろう。記憶の中では、毎回「下手だな」なんて困ったように笑われていたような気がする。過去は通り過ぎて、今の男は上手いとも下手とも言わない。それもそうか、貴族の出なら夜のお相手にも困らないだろうし、もっと彼を満足させるような相手だっていただろう。
 そう考えれば、今のこの状況がおかしいのか。笑いを飲み込むように、肉棒を喉の奥へ。男が小さく呻いた。

「スザク」
「ふぁに?」
「咥えたまま話すの禁止ッ……」

 乱暴に中心から顔を剥がされた。引っ張られた髪が痛い。
 じと、と睨み付ければ相手は「悪い」とキスの嵐。額に頬に鼻先に。親愛を示すかのようなキスに、複雑な気分になる。彼が望む睦事と、俺が望むものは全く違う。熱が上がる身体とは対称的に、こそりと吐き出した溜息はとても冷たかった。

「挿れたい」
「直接的だね」
「だってなんか今日のスザク、やけに乗り気だし。下手に俺が主導権握ったら怒りそうだし。ダメ?」

 お預けを言い渡された犬みたいだ。でも犬は飼い主にそんなことを言われても、表情を変化させずに不動だから、この比喩の意味はどこにもない。ものの例えとして用いるには、その実例が存在しないんだから。

「ジノは動いちゃダメだよ」
「指は?」
「ダメ」

 ジノは不満げに唇を尖らせた。鍛え抜かれた四肢、低い声、表情のアンバランスさ。可愛いなあ。口にする代わりに口付けた。
 ジノの唇に自分の唇を押し当てて、左手は彼の胸板へ。ジノに重なるようにして、四つん這いの体勢になった。
 自分で指を突っ込んで中を解かす。本当はこんなことしないで貫かれても、さして苦痛ではないけれど、相手を視覚的に煽るという目的は果たせる。声も殺さず、相手の鼓膜を震わせる。

「あっ、あ……っん」

 一本入れて、すぐ二本目。
 足りない、物凄く。俺の指じゃ奥まで届かない。太さも物足りない。それでも懸命に拡げて、もどかしくて腰が揺れた。
 ごくり、と唾液を飲み込む音がした。
 ぼやける視界で、どうにかジノを捉える。彼は俺から視線を外せずにいる。
 舌を出してちらつかせれば、すぐに相手の頭が起き上がって舌を絡められた。粘着質な水音が更に重なる。
 耐え切れなくなって、三本で掻き混ぜる前に二本の指を引き抜いた。ひくり、と自分の指にまで絡み付く入口に、浅ましいと自分で嗤った。

 顔を浮かせていた彼を、再びキスでベッドに沈ませる。俺も上半身を起こして、彼を解かしていた入口に宛がった。

「っ、ぁあん! あ、あっ、ああ、ふっ……!」

 一気に沈めると、奥まで拡げられる。待ち望んだ快楽に、背筋がぶるりと震えた。
 ぎゅう、と閉じていた瞼を開いて、ジノを見下ろした。彼も眉間に皺を寄せて快楽に堪えている。悪戯心が湧いて、軽く彼を締め付けてみた。

「ッ、スザク!!」
「気持ち、いい?」
「いいけど……! 挿れた瞬間にイッたら恰好悪いだろ! こう、男としてのプライドとかその辺が!」
「きゃんきゃんうるさい」