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コードギアスログまとめ(スザク受け中心)

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履き違いのロマンス(ルルーシュとスザク)



 いくら睨み付けても、教科書の文字の配置が変わることはない。
 どうにか自分が読める範囲の単語でいいから、と願うようにスザクは一度瞳を閉じて、再度開いた。
 当たり前のように内容は変わらない。
 強いて上げるとすれば、睨み続けて目が乾いていたらしく、閉じたことにより水分が眼球に巡って、読めない文字列がよりクリアになったくらいだ。

 ブリタニア語で書かれているから、スザクにとってある意味では外国語。
 しかしここはそのブリタニアの植民地・エリア11。つまりスザクが睨み付けている教科書は国語の教本だ。
 区切りを入れて並び替えて、を何度繰り返しても理解できる語順にはならない。そもそも文を構成する単語の意味がさっぱり頭に入っていないので、文の構成を理解しても本来の母国語とイコールで結び付かない。

 そんなことをスザクはランスロットの起動テストの休憩中にぼやいたら、セシルが贈ってくれたのが、彼の手元にある電子手帳だ。
 ブリタニア語から日本語へ、日本語からブリタニア語へと変換できるこの端末のお陰で、どうにかスザクは日々の授業を乗り切っている。

「え、っと……これは、ロマン、ス?」

 教科書と睨み合いを続け、どうにか四行目。カタカナ表記されれば、割と馴染みのあるブリタニア語が出てきた。
 そのままの意味で訳していいものか、とスザクは躊躇した。
 こんな簡単と思われる単語で辞書を引くなんて。情けないやら悔しいやら、マイナスに傾きつつあるスザクは、不慣れな動きでスペルを打ち込んでいく。
 一文字一文字打ち込んでいく段階で、どんどん候補は絞られていく。全ての文字を入力し、楕円形の決定キーを押した。画面一杯にその単語の意味、用例、解説が表示される。
 ペンを握り直し、ノートの欄外に単語の意味を書き写そうとした。

「……一般に通じ合わない恋?」

 補足として掛かれた言葉に、スザクは首を傾げた。
 恋愛沙汰に疎いスザクでも、ロマンスとは輝かしくて激しくて、それでいて幸せな笑顔に溢れた、そんなものだと思っていた。

「ああ」

 スザクは小さく笑った。

「君との恋は、まさに“ロマンス”だったね。ルルーシュ」


080524