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ナターリヤさんが家出してきました。

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第6話



■前回までのあらすじ■
全く覚えていないのですが、私は寝ぼけてナターリヤさんの身体をげふんげふんしたり、ナターリヤさんの着物をごほんごほんしてしまったようです・・・・。あのやわらかい感触は、・・・・こほん。・・・さあ、買い物に出掛けましょうか。


例えばそれを依存関係と呼ぶのなら、私はその関係に甘えているのだろうか。それとも、甘んじてその関係に流されているだけなのだろうか。私は恐れているのだ。彼女を受け入れることを。私の中に、彼女を許してしまうことを。私は、私が彼女に支配されることを、ひどく恐れているのだ。

朝食をすませ、身支度を終えると本田とナターリヤは大型ショッピングセンターへ向かった。本田の家はそれほど都会と近くはなかったが、遠くもない距離にあった。電車で一駅ほど行けば、にぎわう商店のある町に行くことができる。電車に乗るまでに少し歩かなければいけないのだが。ナターリヤは見慣れないものを見てきょろきょろと目を動かした。
「おや、地下鉄は初めてでしたか?」
「ああ、地面の下を電車が走るなんて信じられない・・・」
「東京アンダーグラウンドですねえ。人がたくさんいるので、はぐれないようにしてくださいね。」
「え、あ、ああ。」
きょろきょろするナターリヤは通行人にぶつからないように歩いたが、行く手を阻まれて身動きがとれなくなってしまう。
(しまった!このままでは迷子になってしまう!)
「本田!ちょっと!待て!!」
ナターリヤの声に気付き後ろを振り返る本田。今まで確かにそこにあったはずのナターリヤの姿がない。
「ナターリヤさん!?」
「ここ、だ!!」
通行人を押しのけて本田の腕を掴むナターリヤ。本田はほっと一息つくと、ナターリヤの手をとった。このままでは目的地につくまでに日が暮れてしまう。
「手、離さないでくださいね。」
「あ、ああ。」
「迷子になったらナターリヤさんはきっと家まで帰ってこれませんから。」
にっこり笑う本田にナターリヤは少しむっとした。しかしもっともなので何も言い返すことができない。
「子供じゃないんだから、迷子になったりしない!・・・でも、お前がそうしたいなら、手を繋いでやっていてもいいぞ。」
「はいはい。電車に乗りますよ。」
休日の電車は混んでいた。皆、都会へ買い物に行くのだろうか。本田とナターリヤは電車に乗って扉の近くに立つ。
「一駅ですから、少し我慢してくださいね。」
「ああ。」
後から乗ってくる人の多さで、どんどん電車の奥のほうへ詰めていき、もう行く場所がなくなってしまう。
「混んでますねえ・・・。」
「せまいぞ・・・。」
「あ、ナターリヤさん、こっちに。」
本田はナターリヤの腕をひっぱり、空間のあいているところに誘導する。ちょうど顔の横に手をついて、ナターリヤが人ごみにつぶされないように向きあった。
「つぶされたら大変ですからね。」
「・・・顔が近い。」
「しょうがないですよ。すぐですから。」
「・・・・」
ナターリヤはなんだかいたたまれなくなって下を向いた。本田はナターリヤの顔をまじまじと見つめる。長い睫毛。白い肌。
(ああ・・・きれいだなあ・・・。)
まるで人形のような美しさ。人形のようにおとなしくしてくれることは絶対にないけれど。
しばらくしていると目的の駅に着き、電車を降りた。はぐれると困るのでまた手を繋ぐ。ナターリヤは大きな建物を見て興奮していた。
「本田!本田!あれなんだ!?」
「大型ショッピングセンターですよ。とりあえずここでなんでもそろうと思います。なにか欲しいものとか、必要なものはありますか?」
「服だな!」
「そうですね。そうおっしゃると思いました。」
二人は店に入ると女性用の洋服店に向かう。きらびやかな内装。マネキンが着ている服はひらひらのフリルがついたワンピースだ。
「私は女性の服とかよくわからないのですが・・・。せめて和服なら何かアドバイスできると思いますが、洋服は・・・。」
「服なんて着らればいいんだ。適当にその辺のものでいいだろう?」
「それはなんだか勿体ないですよ・・・。せっかく、美人なのに・・・。」
「・・・・じゃあ、お前はどんな服を着て欲しいんだ?」
「ええと・・・。では、こんなものはどうですか?」
本田が持ってきたのは、襟のついたワンピースだった。真ん中のところにネクタイがついている。
「・・・かわいいな・・・。」
「気にいっていただけてよかったです。なんかミクの服に似てますよね!」
「ミク・・・?誰だ・・・?」
「あ、いえなんでもありません!それより試着してみてはどうですか?」
「着ていいのか?」
「ええ、お店の人に頼めば試着室を貸してくれると思いますよ。」
服を持ってうろうろしているナターリヤを見て、店員が話しかけてくる。
「ご試着なさいますかー?」
「え、あ、ああ。」
「ではこちらへどうぞー。彼氏さんはちょっと待っててくださいねー。」
「え、あ、いや私たちはそういう関係ではなくてですね!!」
試着室に通されるナターリヤ。本田は少し火照った頬に触れた。
(私たちは他の人から見たら、その・・・そういう風に見えるのでしょうか・・・。)
そういう風というのは恋人同士ということだろう。外見年齢でいえば本田とナターリヤは同じくらいの歳に見える。恋人同士に見られても仕方がないのかもしれない。
(ということは今日の買い物は、デートということでしょうか・・・。)
言葉にしてみるとなんだかとても恥ずかしい。ナターリヤと本田は恋人ではない。ただの・・・。ただのなんなのだろう?友達?そういう関係ではない気がする。そもそも友達がどういうものだかわからない。仲間?なんの仲間だろう。もちろん家族になったつもりはないし、国という同じものであるだけ。ただの、同居人。いきなり訪ねてきた少女。
国という概念。同じもの。悶々と考えているとナターリヤの着替えが終わったようだった。カーテンが開いて、ナターリヤの姿が見える。
「わあ!すごくよくお似合いですよー!」
店員の高い声はよく通った。
ナタ―リヤはどうしていいかわからず、ただ本田を見る。
「ど、どうだ・・・?」
「すごく・・・かわいいですよ・・・。お似合いです。」
思わず言葉に詰まった。言葉を探すのに時間がかかるほど、よく似合っていたのだ。いつもの服ではない服を着るナターリヤはとても新鮮だった。
「あの、もしよかったらこちらも着てみませんか?絶対お似合いだと思うんです!」
店員が他の場所から持ってきた服を薦める。
「本田、あと2・3着買っておこうと思うんだが・・・。」
「そうですね。たくさん買っておいたほうが後々楽でしょうし。」
「他の店を見ていてもいいぞ。多分、時間がかかる。」
「・・・わかりました。では、近くの本屋にいますから、終わったら来てください。」
「ああ。」
その後、ナターリヤは文字通り着せ替え人形になって店員が薦めてくる服を次から次へと試着した。ナターリヤほどの美人に服を着てもらうのはとても楽しかったのだろうか、店員は店にある服をかたっぱしから持ってきたのだった。さすがに全てを買うわけにはいかないので、気にいった数着を買うことにする。
「じゃあ、これを買う・・・。」