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幼馴染パロ 短編集

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恥ずかしいけど、大切な思い出・全部がね、怖く見えるんだ


<恥ずかしいけど、大切な思い出>

「だからちゃん付けすんなっつってんだろぉぉぉーーっ!!」
「あはははシズちゃんシズちゃんシズちゃーんっ!!あっははははぁ!」
「てめぇ殺す殺すマジで殺す絶対殺す何が何でも殺す!!」

例によって例のごとく、飽きもせず戦争を繰り広げる2人を見ながら、帝人は少し温くなったミルクティーを飲み込む。
静雄が投げた自販機から零れ落ちた缶だったので、すみませんと一礼して拾った。

(後で自販機元のところに置いたらお金入れておかないと)

なんて目の前の戦いが見えてないのかと思われるぐらいに、穏やかな思考で帝人は少し首を傾げた。
まだ静雄が茶色っぽい地毛だったころ、臨也は今も昔も髪も腹も真っ黒だったけれど。
中学よりも前、小学校の低学年ぐらいまでだった。
ぽつりと小さな声で呟いた。

「シーズーくん。いーっちゃん。あーそびーましょー」

引っ込み思案だった帝人が、唯一話しかけることができたのがこの2人だった。
当時から彼らは問題児で、1人きりでいることが多かった。
大勢の人間のところに突っ込んでいく勇気のなかった帝人は、今となってはなぜだろうと自問自答してしまうが、1人で遊んでいる臨也と静雄にだけは声をかけることができた。
小学校に入るころには臨也の臨也たる根幹は出来上がっていたし、静雄の静雄たる怪力は発動していた。
普通に考えれば大勢のありきたりな、あたりまえの、普通の子供たちに話しかけた方が楽だったはずだけれど、帝人は根気よく臨也と静雄に話しかけた。
そのうち今ではもう思い出せないけれど、3人でいることが多くなって、笑いあえるようになって、友情なのか愛情なのかよくわからないつながりが出来ている。
あの頃よく喧嘩をしていた・・今もしているけれど、2人に向かって帝人がこう言えば、ぴたりと喧嘩をやめて「何して遊ぶ?」と聞いてきてくれたものだ。

(懐かしいなぁ・・・)

と小さいころを思い出していた帝人は、戦争の音が聞こえなくなっていることに気付かなかった。
ふと頭の上に落ちた影に顔を上げれば、いつの間にやら臨也と静雄が立っていて、臨也は満面の笑みで、静雄は恥ずかしそうに

「みぃくん!何して遊ぶ?」
「あ゛ー・・・何して遊びたいんだよ・・・みぃ」

か、か、か、と帝人の顔が段階を上げるように赤く染まっていく。
元から同じような赤さだった静雄はともかく、2人に釣られるようにその様子を見た臨也も照れて口をつぐんでしまう。
数分が経過して、ようやく顔から赤さの引いた臨也が深呼吸を繰り返して

「く、暗くなるから、かえろー・・か、み、みぃくん、シズちゃん」
「おぉぉ、そ、そうだな・・・帰るぞ、その・・・みぃ・・と、い、いっちゃん・・・」
「かっ、帰ろう!うん、かえろ・・えっと、シズくん、いっちゃん」

ぎくしゃくとした3人が家にたどりつくまでに、顔の赤みが引いたかどうかは3人にしかわからない。


(自分で言っておいて・・・不覚!今さらだけど静雄の「いっちゃん」呼びは心臓に悪いし!)



<全部がね、怖く見えるんだ>

「・・・なに、その体勢」
「うわぁぁぁぁっ!!」
「おわぁぁぁっ!て、敵か!?人間か!?ゾンビか幽霊か!!?」

静雄の体でも十分に座れるようにと大きめのソファが用意されている竜ヶ峰邸のリビングにて。
電気の消された真っ暗な部屋の中で、一際輝いているのがテレビだった。
画面を見れば「ぎゃぁー」だの「うわぁぁ」だのと喚いている人々と、それを追いかける超足の速いゾンビ。
どう見ても全力疾走だ。

「え、ゾンビってもっとゆっくりフラフラ歩くやつじゃないの」
「そそそれは昔の知識ですよ臨也さん!?最近のゾンビはものすごく速いのでございますことよ!?」
「そそそそうだぞ臨也!しかも地底とか湖にもいるんだぞ!おおお俺でも倒せるかどうか・・・っ!」
「えぇぇ!?静雄が倒せなかったら誰にも倒せないよ!どうしよう僕ゾンビになっちゃうっ!」
「うっ、お、お前をゾンビになんてさせねぇ・・・!やってやる、俺は絶対に全部倒して、お前を守ってやるからな・・・っ!」
「静雄・・っ!!」

ひしっ、とソファの上で抱き合う2人。
そもそも静雄が膝の上に乗せた帝人を後ろから抱きしめる形でテレビを見ていたのだ。
帝人が体を反転さえさせたら簡単に抱きしめあえる。

(たかが映画でここまで盛り上がれるとか・・・えー、何この疎外感)

呆れた表情を隠そうともせず2人へ近づくと、横に転がっていたリモコンの電源を押す。
ぷつんと音を立ててテレビが消えて真っ暗闇に包まれた。

「「うわぁぁぁぁっ!!!」」
「あはははっ!」

突然の暗闇に絶叫する2人に、いたずらっ子の気持ちになって臨也は笑った。
そのあとは2人が落ち着くのを待って、「面白い話があるんだよ」と怪談モードへ移行した。
臨也の語り口調は、それはそれは臨場感あふれている。
もともと口から生まれただろうと言われるほどに口のまわる男である。
怪談をさせればこれほど怖いものはない。

(帝人君が怯えて怖がってる姿可愛いなぁ可愛いなぁー)

なんて考えでべらべらと喋っていた臨也が、思わず舌打ちしてしまうのはこの1時間後。
憔悴しきった帝人と静雄が「怖すぎて一人で風呂に入れない」と言い始めてからだった。


(怖すぎて一人で寝ることもできない・・・とりあえず静雄のパジャマだけは絶対に離さない。絶対に離すもんか)

作品名:幼馴染パロ 短編集 作家名:ジグ