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一日一ミハエルチャレンジ

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2/7 シュミエリ



ミハさんへ「失恋」「朝焼け」「ビスケット」で明るいお話を書いてね。
http://shindanmaker.com/50113 #lovenobel ということで^^





「どーぶつビスケット、」

ビクトリーズのお気に入りのレーサーであるかっとび少年のお宅訪問をしてきたのだと喜んで話していたミハエルが、唐突にそんな単語を口にした。

「何です?」

聞いていた二人のどちらもが、意味をとらえ損ねて首を傾げた。

「素朴な味だったけど、甘くておいしかったなあ」

あんなの初めて食べた、と、にこにこしている。
察するに、星馬家で出されたお茶菓子か何かなのだろう。

「ねえ、エーリッヒ、明日のおやつあれがいいなあ」

「ドウブツビスケット、ですか?」

「うん! いろんな動物のイラストがプリントされてて可愛かったんだ」

「ああ、そういうお菓子なんですね、わかりました、探してみます」

「やったあ!」

ご機嫌で部屋に戻るミハエルの背中が飛び跳ねるようなのを笑顔で見送ったのだが、

「………シュミット?」

先程からあまり会話に加わってこなかった幼なじみが、隣でいたく不機嫌な顔をしている。

「何を怒ってるんです」

「……………気に入らん」

「は?」

「日本の駄菓子ごときが、お前のクッキーよりおいしいはずがない」

確かに、明日のお茶には今日焼いたクッキーを出そうとは思っていたが。

「僕は別に、」

構いませんけどと続けようとしたのだが、

「気に入らん」

「………」

たぶん、言いながらシュミットもわかっている。
味そのものよりも、そこに付随する出来事や気持ちがミハエルにそれをおいしいと感じさせたのだろう。
つまり、星馬家での時間が、とてもよいものだったということだ。

「気に入らん」

三度繰り返したシュミット。
それが気に入らないということは、だ。
くすり、笑いが漏れた。

「じゃあ、対抗してみますか?」
「対抗?」

「シュミットも 作ってみますか、クッキー。動物の」

手伝いますから、と提案。

「負けたままでは悔しいんでしょう?」

負けるという行為が大嫌いなシュミットだから、こう言えば自尊心を刺激されて、おそらく、

「……どうやって作るんだ」

乗ってくるに決まっているのだ。



「ミハエル、お茶にしましょうか」

声をかけると弾んだ足取りがこちらに駆けてくる。

「どうぞ」

紅茶と共に差し出した皿の上には

「…あれえ、」

昨日のと違うなあと、不思議そうな顔をした。
多少歪な、それでも懸命に形を整えた跡の見られるそれが、ミハエルの求める本物とどれくらい違うのはわからない。
しかし、

「誰かさんの手作りなんですよ」

こっそりと耳打ちをすると、緑の目が丸くなる。

「シュミット? なんで?」

「ミハエルに喜んでもらうために」

ふうん、とよくわからないながらも、自分のために、というのは嬉しかったのだろう。

「おいしそう、ありがとうシュミット!」

「………朝焼けの時間まで頑張った甲斐がありましたね」

「……当たり前だ」

駄菓子ごときに負けてたまるかと鼻を鳴らしたシュミットもまた、嬉しそうではある。
どうやら、シュミットの思いは無事成就したようだ。