二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みっふー♪
みっふー♪
novelistID. 21864
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

かぐたんのよせなべ雑炊記

INDEX|20ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 

付録2・かぐたんのぷちぷち☆ふぁんたじぃ劇場おかわり



【4】かぐんツェル

昔々あるところに かぐんツェル というでろべっぴん☆な美少女姫がおりました。
姫は繁栄を誇る王国の歴史の裏に隠された何かしらの禍々しき因果を背負って生まれてきましたので、姫自身には何のつみもないにも関わらず、生まれてすぐにおしろの高い塔のてっぺんに幽閉されました。
つきひは流れ、とあるよく晴れた午後のひととき、すくすくと成長した姫はとうのまどべにぼんやりほおづえをついておもいました。
「……そろそろアキたアル、」
姫はよいしょとカンフーシューズでまどの縁にのぼりました。とうの足元に、ぽつんとまめつぶくらいの大きさで木のてっぺんがみえました。
「アイヤーーーーーっっっ!!!」
――ばりーーーん!!!! 姫はクロスした腕でガラスを突き破り、まどわくを蹴って外へ飛び出しました。姫のからだはぐんぐんとかそくをつけて地面にちかづいていきます。
――くるくるしゅたっ!
10てんまんてんの着地をきめると、ぽけっとからとりだしたすこんぶをかじりつつ、姫はすたすたふりかえりもせず城を囲む森の向こうへ歩いていきました。
そのご、みすみす姫を逃したけいび体制を問われ、塔を管轄していた何人もの役人たちが重いつみに処せられましたが、そんなこととはつゆしらず、ゆうゆうじてきに姫はあたらしい土地であたらしいくらしをまんきつしましたとさ、おしまい♪


【5】かぐデレラ

昔々あるところに かぐデレラ というでろべっぴん☆な美少女がおりました。
少女のマミィははやくに亡くなり、出張で家を空けがちのパピィが迎えたあたらしいつま(天パ)とその連れ子のメガネっ子とロンゲっ子のふたりの姉たちは、セオリー通り、かぐデレラにたいそうつらくあたりました。
もちろんかぐデレラはまけません。いつもその何倍何十倍にもして、ときには精神的苦痛もがっつり加味してしかえししてやりました。
やられっぱなしのまま母と姉たちは、そのうちなるべくかぐデレラにはかかわりをもたないようになりました。
おしろのぶとうかいへいくときも、この日のために新調したドレスやくつをいちいちみせびらかしてじまんしたりなぞせず、そそくさと逃げるように出かけてゆきました。
だれもいないおやしきで、だんろの灰の上に座り込み、かぐデレラはひとりでおすなばあそびをしていました。
(……。)
――このままじゃあの子は、だれにも心をひらかないひとりじょうずになってしまう、
見かねたまほうつかいの先生が、まじかるぱわーでかぐデレラのまえに姿を見せていいました。
「どうです、君もきれいなドレスを着ておしろのぶとうかいに行きたいでしょう? まずはここへカボチャとネズミと、それからトカゲをつかまえて持ってきてください、」
「えーそれ何てゲテモノなべ?」
かぐデレラがいいました。先生は苦笑いしました。
「ちがいます、たべるんじゃありません」
「じゃあキョーミないアル、」
かぐデレラはふいとよこを向き、得体のしれない造形物のつづきをつくりはじめました。
「……」
先生はため息をつきました。
「おしろに行けば、たべものがたくさんあ――」
「行くアル!」
がぜんかぐデレラが食いつきました。先生はまほうのステッキで、とりあえずかぐデレラの灰まみれのチャイナ服をスパンコールビカビカのイカすデザインに変えてやりました。
「いいですか、おしろに着いたら……」
「行ってきまーっすっ!」
先生の注意事項などまったく聞かず、かぐデレラはげんきにおもてへ飛び出していきました。先生はどっと疲れがでました。
やがて出かけて小一時間もしないうちに、ソースまみれの口をまいちもんじに結んで、かぐデレラがどんより戻ってきました。
「どうしたのですかっ」
もしやドレスコードに不備が、先生はあわてました。ふるふる首を振って、かなしそうにかぐデレラがいいました。
「ゴハン、すぐなくなったアル……」
おしろの立食パーティで饗されるていどの食事では、かぐデレラのむげんのいぶくろはとうてい満足するどころではありませんでした。
「……え」
先生はあぜんとしました。
コミュ能力いぜんにまずはそのべらぼうな食欲をどーにかしてやらないと、先生はぶあついいがくしょをめくってすぐさま脳の研究をはじめました。ふむ、ナントカ中枢のなんたらをどーにかこーにか、ちょいとイジってロボトミー施術を行えばうまいことイケそうです。
――しかし、
「……」
ページを繰る先生の手がはたと止まりました。あの子からでたらめな食欲を奪うことは果たして正義か、尋常ならざる食への執着こそあの子の個性、
「君は、そのままの君でいいんです、」
先生はぱたりといがくしょを閉じました。
「んあ?」
おしろのだがしコーナーからごっそりもってきたすこんぶをかじりながら、かぐデレラが振り向きました。くちもとからぽろぽろしろいこながこぼれているのを見て、――コレだ、先生はぽんと手を打ちました。
先生はあつめたしろいこなの上に、小刀で傷つけた指から一滴の血をしたたらせ、気合のこもったじゅもんをとなえました。なんと、すこんぶのこなからもふもふまっしろのわんこがうまれました。
「わぁ!」
かぐデレラはびみょーにすこんぶくさいもふもふわんこをだきしめてうっとりすりすりしました。たべものいがい(?)のものに、かぐデレラがこんなにもきょうみをしめしたのはうまれてはじめてのことでした。
「……、」
じゃれあうふたりを見て、先生はまんぞくげにうなずきました。
かぐデレラとわんこは大のなかよしになりました。かぐデレラにおとらずガンガン食って寝て、わんこはたちまちありえないサイズに育ちました。
ただでさえデラ強のかぐデレラに巨大な白犬の無敵タッグ、まま母とまま姉たちは家の中でいよいよ小さく縮こまり、びくびく怯えてくらしました。
(……。)
――あれ? なんかまたちょっと思ってたのと違うなー、先生は首を傾げましたが、思わぬところですれ違う、その予測のつかなさも含めて人生なのだ、ものごとを大局的に捉えることで自身を納得させましたとさ、おしまい♪