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caramel

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第5話





「・・・将、おいエド!!!!!」

「うわっ!!」


後ろからいきなり肩をつかまれた。
いつの間にか俺は廊下でしゃがみこんでいたらしい。
後ろを振り返ると心配そうに覗き込む少尉が居た。


「どうした?大丈夫か?」

「う、うん、平気。」

「・・・本当に大丈夫か?」

「寝不足なだけだよ。」

「出た!!本の虫だろ、ったく、相変わらずだな。」

「・・・・・まあね。」

「ちゃんと寝ろ。出ないと一生チ・・・体に悪い。」

「今何か言いかけなかったか?」

「いいや、気のせいだ。おっそうだ!!クッキーあるぞ食うか?」

「話逸らしただろ。」

「いいからほら、食え。」

「・・・・さんきゅ。」

少尉のくれたクッキーはどうやら手作りで、形が不揃いだった。
それでも味は美味しかった。

「俺、フラれたんだよ・・・」

「ゴフッ!!・・・・え、何?」

「このクッキーくれた娘にさ、フラれたんだ。」

「・・はぁ?」

「ったく俺は人生で何度フラれるんだっつの。」

「てか、なんでクッキー?」

「あぁ、優しさなんじゃねぇか。」

「・・・は?・・・んなの、」

「ん?」

「そんなの優しさじゃねぇよっっ!!!!!!!」

「おっおい大将!?」

「・・・余計辛いだけじゃん、」

「・・・・エド。」

「そんなのは優しさじゃない。」

「・・・まぁ、そうだな。」

「・・・・っ・・」

「来い、大将。」



俺が声を張り上げたから少し周りがざわつき始めて、少尉は俺の腕を引いて歩き出した。
俺はなんだか自分と重ねてしまって混乱していた。
少尉に黙ってついていくと、そこは司令部の屋上だった。
初めて来た司令部の屋上には一つのベンチと一つの灰皿があった。

「ここは俺の特等席。」

「・・・・・へぇ。」

「お前の侵入を許可する。」

「・・・・は?」

「まぁ、ゆっくりしてけ。」

「寒ぃし、」

「泣きたいとき、」

「・・ぇ・・?」

「・・・泣きたいとき、大声だしたいとき、一人になりたいとき、どんな時でもここはお前の場所だ。」

「・・少尉?」

「二人の秘密基地な。」


屋上にポツンと置かれた灰皿とベンチ。
少尉は灰皿がある側に、俺はその隣に座った。
少尉は銜えるだけで我慢していたタバコに「悪ぃな」と言いつつ火をつけた。
俺は「背が伸びなかったら少尉のせい。」と言ったが、笑って返された。
それからはお互い黙っていた。

目の前をタバコの煙が通り過ぎていく。
煙が消えるように嫌な気分がゆっくりと消えていくようだった。
今まで少尉は俺の前でタバコを吸うことが無かったから、初めてその香りを知った。
なんだか気分が落ち着いた。

作品名:caramel 作家名:おこた