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ハガレン短編集【ロイエド前提】

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昼下がり








久し振りに。

司令部を訪れたエドは、早速目的の人物が居る筈の場所に向かっていた。

今回は・・・いや、今回も、自分がここに来る事を告げていない。

突然訪れた時の、ロイの一瞬驚いた顔。

そうしてそれが、嬉しそうな笑みに変わって行くのを見るのが、エドは好きだった。

自分が必要とされているのだと言う事が、再認識出来るから。

「やぁ、鋼の。」と、エドの姿を認めた瞬間、にこやかに紡がれる言葉が、ふわりと心を軽くするのだ。

ふふ、と、思わず笑みを零しながら、エドは漸く辿り着いた部屋のドアを、ゆっくりと開けた。


キイィ、と、ドアが軋み、部屋の奥に視線を送る。


が。


そこに居る筈の姿が見当たらない。


「あれ?」


そうしてふと、手前のソファーを見ると。

3人掛けの広い方のソファーに横になったロイが、気持ち良さそうに寝息を立てていた。


「大佐?」


そっと近寄って声を掛けてみる。

が、ロイは気付く様子も無く。

試しに頬を軽く突付いてみたが、特に何の反応も帰って来ない。


「珍しいなぁ・・・」


ぽつり、とエドは呟いた。

仮眠室で無く、執務室でこうして転寝するロイを見るのは初めてだ。

しかもこの上無く気持ち良さそうで。

余りにも珍しいので、エドは暫らくこのままにしておいてやる事にした。

向い側のソファーに腰を降ろそうとしたが、ふと開いているデスクに視線を移し、あっちに座ろうと
エドはデスクの方に向かった。


「よっと。」


いつもロイが腰掛けている椅子。

深く腰掛け、背凭れに背を預けてみれば、何と無くロイの気分になったような気がした。


「やぁ、鋼の。」


軽く手を挙げ、ロイがいつも言うように言ってみれば、何だか物凄く照れてしまった。


「・・・何やってんだ・・・俺・・・」


ぽつりと言葉を零し、エドはくるりと椅子を回した。

窓の外を見詰め、いい天気だなとぼんやりと考える。

開いた窓から流れ込んでくる初夏の風が、エドの頬と髪をゆるやかに撫でた。


「芝生の上で寝転んだら気持ちいいだろうなぁ・・・」


小さく呟き、瞳を閉じる。

何時の間にか、エドの意識は眠りの中に落ちて行った。




ふと。

ゆっくりと瞼を開けたロイは、視線を彷徨わせ、ソファーに沈めていた身体を起こした。

大きく伸びをし、首を回しながら窓に目をやる。

ほんの少し、太陽の位置が変わっていた。


「・・・結構眠っていたようだな・・・」


まだ重たく感じられる瞼を擦り、ふと椅子の向きが変わっているのに気付く。

確かこちら側を向いて立ち上がった筈だがと思い、ロイはソファーから立ち上がりデスクに向かう。

何気無く椅子の背に手を掛けかけて、ロイはその手を止めた。

そこには、気持ち良さそうに眠っているエドの姿が、あった。

規則正しい寝息が、口から漏れている。

自分が眠っていたので、起きるのを待つつもりで眠ってしまったのだろうと把握し、くす、とロイは笑みを漏らした。


「今度は、私が待つ番か。」


ぽつりと呟き、ロイは窓枠に肘を付いた。


「散歩日和だな。」


晴れ渡った空が、気持ち良さそうだ。

エドが起きたら散歩に誘ってみようと、ロイはぼんやりと思った。





Fin.