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赤いマントと青い鳥

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知っていた


「な、ななな、なんで源田と寺門までそっちにいるんだよ」
 佐久間、と呼ばれた眼帯の生徒は、約束どおり三人を連れて体育館裏に戻るなりそう言った。源田が連れてきたもう一人の、万丈、という生徒には特に突っかからないが、彼も同じチームメイトならしい。
「寺門…だったか。わるかったな、むりにさそって。チームメイトなんだろう」
「いや、かまわないさ」
 廊下でたまたま見かけ、体つきがサッカー向きだと思って声を掛けた。巻き込んでしまった気がして後ろめたかったが、源田といい、この男といい、笑ってそれを微塵も責めない。ひょっとしたらこいつらは、佐久間の考えていることを、分かっていて協力してくれているのかもしれない。羨ましいようで、どこか、心強くもあった。
「じゃあ大野キーパーな。あっち寺門もいるから、油断して点入れられんなよ」
「良かったな鬼道。あっちのチーム、バランス悪いぞ。ディフェンダーいないし」
「源田!余計なこと言うな!」
 仲が良いんだなと思った。純粋に、それがとても、眩しかった。
「鬼道のポジションは?」
「ミッドフィルダーだ」
「ああ、丁度良いな」
 組み立て式の少し小さなゴールを引きずってきた佐久間が、ぶつぶつと口の中で何か言いながら睨んでくる。なんだろう。慣れてきて分かったのだが、見た目に似合わずこの男は、どうやらとてつもなく、素直ならしい。きっと付き合いの長いほかの奴らには、この不器用さもおせっかいも優しさも、手に取るように分かってしまっているのだろう。その輪に、自分も入れたら、どんなにいいだろう。
「おい、お前」
 まだ名前を呼んではくれない佐久間は、指を突きつけて少しだけ小さな声で言う。
「負けた方が、勝った方の言うことなんでも一つ聞くんだぜ。分かったな」
 後になって思えば、このとき自分にしか聞こえないような低い声でわざわざ言ってきたのは、この男なりの気遣いだったのだろう。お互い鈍くて、そして色々と、下手くそだった。後になって考えてみて分かることばかりだ。そんな分かりにくくお節介なところが、とても好きだと言ったら、少しはこの感謝を伝えられただろうか。
「ああ。わかった」
 試合が始まる。口笛のホイッスル。寺門のパスで、自分の中のスイッチが入る。
 佐久間をすり抜けてシュートを決めると、背後から、何ともいえない戸惑った視線と、熱いものが込み上げるような、息を深く吸う音が伝わってきた。

作品名:赤いマントと青い鳥 作家名:あつき