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ルック・湊(ルク主)

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決意6



ここは・・・ミューズの執務室・・・?ジョウイ・・・ジョウイがいる・・・。

「く・・・う・・ぅ。また・・・力が・・・。急が・・・ないと・・・」

・・・ジョウイ・・・?苦しい、の?辛い、の・・・?
何を・・・急ぐ、の・・・?

「・・・と、・・・なと・・・」

ん・・・?

「湊・・・。」

・・・ナナ、ミ・・・。ナナミが呼んでる・・・起きな、きゃ・・・。起き・・・。

「っ・・・ん・・・。」
「湊っ。・・・目が、覚めた?」

目を開け、起き上がるとナナミがいた。うなづいて周りを見ると、どこかの納屋のようなところだった。ルックと詩遠も少し離れたところに座っていて、湊を見てホッとしているようであった。そんな光景をぼんやり見ていると、ナナミが言った。

「湊・・・。やっぱり・・・戻ろうか?こんなんじゃあ・・・どこにも行けないよ・・・。」

そして俯いた。

「ナ、ナミ・・・?」
「・・・・・・。ごめんね。わたしが・・・わたしが言いだしたわがままだったね・・・。みんな、何もかも捨て去って・・・逃げるなんて・・・わがまま・・・だったね・・・。」
「ナナミ・・・違う・・・違うよ、ナナミはわがままなんて・・・」

その時、表で何やら戦っているような音が聞こえた。
ルックと詩遠が立ちあがる。

「な、何!?また・・・ゾンビ・・・?っ来るなら来てごらん。湊のことだけは・・・あたしが絶対守ってみせるんだから・・・」

そう言うと、ナナミは様子をうかがおうとしたルックや詩遠の制止も聞かず、外へ飛び出して行った。
その瞬間ナナミの意識が一瞬フェイドアウトした。

「脅かすんじゃねぇ!あやうく、斬っちまうところだったぞ!」

外の壁に寄り掛かったナナミが目を覚ますと、フリックが横に立って怒っていた。

「え・・・?フリック・・・さん。それに、シュウさん、アップルちゃん。」

周りを見渡すと、フリックだけではなく、シュウとアップルもいた。倒れているゾンビは恐らく、先ほどフリックが倒したのであろう。
そして納屋の中からルックと詩遠に付き添われ、湊が出てきた。
湊はシュウの目の前まで歩いた。周りは黙ってその様子を見る。

「湊殿。もう良いでしょう。あなたにも分かったはずだ。あなたが多くの人に必要とされていることを・・・。どうか同盟軍におもどり下さい。」
「・・・僕は・・・戻ら、な・・・い。」
「あなたは見たはずだ。多くの村が、そこに住む人々がどうなったか。それでも行くとおっしゃるのですか?あなたを信じた人々はどうなる?」
「・・・でも・・・僕は・・・」
「何を言ってるの!あなたのせいで・・・あなたのせいでリドリーさんが!!」

アップルが叫ぶように言った。湊は青い顔をしてアップルを見た。

「・・・リドリー将軍・・・ど、うした、の・・・?」

するとシュウが答えた。

「リドリー殿は戦死なされた。湊殿、あなたが逃げ出した次の朝。ネクロードがティントに奇襲をかけました。市民達が逃げ惑う中、クラウス、リドリー殿、皆があなたを探して戦いました。ビクトールはどうやらあなたが抜け出したのを知っていたようですが。その戦いのさなか・・・」
「っ」

リドリー将軍が・・・あの威厳たっぷりで、いつも正しくて、そしてそれでもとても優しかった・・・あの・・・。
湊が茫然としているところにシュウが近づいてきた。

“パァンッ”

乾いた音が響いた。

「湊殿。私は主君に手をあげました。その罰は受けさせてもらいます。しかし、その痛み、それはあなたを信じていた人々の受けた痛みと思って欲しい。」
「・・・シュウさん・・・」
「もう一度言います。同盟軍にお戻りください。」
「・・・。」

湊がはたかれた頬を押さえて黙っていると、ずっと壁際に立っていたナナミが壁に向き、そして崩れ落ちた。

「・・・・・・湊・・・ごめんね。湊が戦って、ジョウイを失って、多くの人の死を見て・・・とっても、とっても苦しそうだったから・・・・・・。でも、でも、でも・・・わたし、湊を余計苦しめただけだったね。っく・・・。ごめんね。ごめんね。ごめんね。じいちゃんに誓ったのに。お姉ちゃんなのに・・・。もう・・・いいの。好きにしていいよ湊。」
「ナナ・・・ミ・・・。」

ナナミが・・・泣いてる。結局自分はナナミを泣かせただけだったの・・・?多くの人を犠牲にして、裏切って・・・そしてした事といえば・・・ナナミを泣かせる事だったの・・・?

「ビクトール達がクロムの村でティントに潜り込む作戦を立てています。再び戦う意志があるなら。同盟軍のリーダーとなる意志があるなら、お戻り下さい。」

シュウはそう言うと踵を返し歩き出した。

「なんだよ、戻るのかよ、シュウ。」
「後は、湊殿の考え次第だ。俺達がいても、仕方ない。」
「まぁ・・・そうだな。・・・詩遠、ルック・・・後は頼む。」

フリックも歩き出した。

「湊さん・・・」

アップルが湊の名前を呟いた後、同じように立ち去っていった。
詩遠がルックに目配せをし、湊の頭をポン、と撫でたあとで、何も言わず立ち去る。

「逃げるのもいいんじゃないか・・・。湊。僕は君が本当に望むとおりにして欲しいと思っている。誰の為でもなく、君がしたいと思う事をするんだ。」

ルックはそう言って叩かれた湊を頬を撫で、そして歩いて行った。
ナナミが立ちあがり、湊を見る。

「湊・・・。どっちに行ってもいいんだよ。お姉ちゃんは、どこにでもついていって・・・絶対守ってあげるから・・・。」

赤い目をしたナナミ。
僕は・・・。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ