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ルック・湊(ルク主)

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決意7



「おはよう湊!!ビクトールさんが出発だって!!ネクロードを倒しに行くよ!!」
「ふぁ?あ、ん・・・。」
「?どうしたの?寝足りない感じ?」
「え?いや、ううん!ぜ、全然!ばっちり!!」


実は昨夜、ビクトールが階段を降りて行ったあと、湊はしばらく窓を見た後で外に出た。

「・・・どうしたのさ。眠れないの?」

外に出て屋敷の裏手の小山を登ったところでたたずんでいると、声がした。

「ルック。ううん。今日は月がぼんやりとしてて・・・外に出たらもう少し見えるかなって思って。」
「・・・ジョウイ?」
「ん・・・。」

ルックはため息をついた後で、座ろう、と促してきた。

「・・・会いたい?」
「ん・・・。そりゃあ、ね。ジョウイも大切な人だから。」
「・・・。」
「あ、でも、でもね。ルック。僕は、僕の意志でこの戦いに勝つと改めて月に誓いにきたの。このままだと・・・もちろんいずれジョウイとの衝突は避けられないけど・・・そして、結果どうなるかなんて今の僕には分からないけれど。だけどね、ルック。僕はこの戦いを終わらせる。僕が、そうしたいと思ったから。」
「・・・そう、か。分かった。」
「ほんとに、ごめんね、色々。そしてありがとう、ルック。」
「わびも礼もいらない。僕は君の望むとおりに、と前にも、そして数日前にもここで言ったろ。ああ、だけども1つだけ。」

ルックが前を見たまま言った。湊はルックを見るが、かすんだような月の放つ光では、あまり表情がよく見えない。

「・・・君は、僕ともさよならするつもりだった?」
「っ。ち、違・・・いや、違わない、ね・・・。だって誰にも告げずに去るつもりだったもの・・・。僕はあの時ナナミの事が一番でした。他の事・・・実は深く考えていた訳じゃない・・・。ただ、逃げる事にごめんなさい、と、そう思っていただけで・・・誰とも2度と会えないんだ、とかまで考えてなかったの。で、ルックと詩遠さんがグスタフさんの玄関のところにいてくれて・・・そして4人で歩きながら、改めて実感した。僕は、ナナミを取ったんだな、て。」
「そう。」
「ルック・・・嫌いに、なった、よ、ね?こんなヤツなんだもの・・・仕方ないけど・・・でも、都合の良い事なんだけど、でも僕はルックの事はっ」

と、その時、ルックの唇が湊の唇に触れた。軽く触れた後、ルックはそっと離し、人差し指で湊の唇をなぞる。

「いい。それは分かってる。正直に言ってくれてありがとう。ナナミは君の家族だ。何もおかしな事なんてない。」
「ルック・・・。」
「それに・・・」

ルックがまた軽くキスをした後で囁くように言った。

「どのみち、僕が君を離さないから、ね。同じ事だ。」

そのあまりにも妖艶で男前なルックの顔とセリフを間近で聞いて、湊は顔を真っ赤にした。

「・・・ルック・・・。・・・・。って、ルック、ちょ、あのっ、な、何をっ!?」
「ん・・・?大丈夫、挿れはしないから。明日の戦いに差し支える。」
「っは!?いや、そういう問題じゃなくてっ、や・・・、あのっ、ここっ、外っっ。」
「ああ、知ってるけど?いいじゃないか、月に見せつけてやりなよ・・・。」

湊は二度とルックの前で月について語るまいと激しく思った。


「・・・って。」
「・・・。」
「・・・?湊?聞いてる?」
「っえ?あ、う、うん、いや、ううん、ごめん、ナナミ!ちょっとボーっとしてた。」
「大丈夫ー?今からネクロード倒しに行くんだよ?」
「うん、大丈夫!ごめんね。」

もう考えないようにしよう、と湊はぶるぶると頭を振った。
そうして1階に降りると、既にグスタフ、クラウス、ビクトール、詩遠、ルックが集まっていた。
湊はルックを見た瞬間顔を赤らめ、そらしてしまった。それに気づいた詩遠がジロッとルックを見て小声で話す。

「・・・お前、昨夜いないと思ったら・・・。このエロ魔法使い。」
「・・・そのろくでもない呼び方、やめてくれる?変なとこ察しいいあたり、あんたこそ、このむっつり英雄。」

そして2人してにらみ合っているのをビクトールは呆れたように見た後、湊らに声をかけた。

「起きたか!後はカーンとシエラが来たら、すぐにでも出発だ。」
「カーン?カーンさん、来てるの?」

本拠地を手に入れる前に、カーンというヴァンパイアハンターに会い、ネクロードと一度やり合おうとした事があったのを思い出し、湊がビクトールに聞いた。

「ああ。ネクロードをやるにはヤツの力がいるからな。あとは・・・」
「おはようございます、わたしは準備OKですが、シエラさんが・・・」

ビクトールが言いかけていると、カーンが降りてきた。そして少しすると、何やら青白い顔色をした美少女が降りてくる。

「集まっておるな。感心であるぞ。おんしらも、わらわの従者としての自覚がもてるようになったようじゃのぉ。」
「おはようございます、シエラさん。」

クラウスがシエラにも挨拶をする。と。

「あ、あら。おはようございます、クラウスさん。あの・・・わたし、喉が渇いています。何かいただけないかしら。」

先ほどの言葉とは雲泥の差でシエラという少女は何やらしおらしく言った。

「え・・・良いですけど・・・」

そう言うと、クラウスは席を外した。行ってしまうのを見届けてから、シエラがまたあの口調で口を開いた。

「さぁ、行くぞよ。」
「だ、誰????」

ナナミが不思議そうにビクトールに聞いた。

「あぁ、吸血鬼のおばば・・・」
「うるさいぞよ、ビクトール!」
「・・・湊殿。シエラさんには、ネクロードを倒す手助けをしてもらいます。さて、ティントに忍び込む方法ですが・・・」

カーンが代わりに簡単に説明してきた。
ティントには、クロムの村の東にある洞窟から忍び込む事になった。坑道がティントに繋がっているらしい。
湊ら少数でそこから忍び込み、ネクロードを倒し、捕まっているグスタフの娘リリィと、コウユウの姉貴分のロウエンを助ける事になった。グスタフやクラウスらは時を見計らってティントに攻め込む手筈だ。
そうして皆は出発する事になった。
その後誰もいなくなった広間に、鼻歌を歌いながらクラウスが水を持ってやってきて、誰もいない事に『あれ・・・水?』と言いながら首を傾げていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ