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ルック・湊(ルク主)

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決意8



ネクロードはティント市内の北にある教会にいた。

「俺、あいつやるの楽しみなんだよねー。」

詩遠がこの場にそぐわない事を移動中に言う。ルックがジロリ、と詩遠を見た。

「は?頭でも打った訳?何訳のわからない事言ってんのさ。」
「ほんと可愛くない言い方するよね、ルック。これこれ。これをさー、使ってみたかったんだよね。俺の時はなかった。」

そう言って、詩遠はニッコリと左腕を見せてきた。のぞきこんできた湊が聞いた。

「詩遠さん、いつの間に破魔の紋章宿してたんですか?」
「ん?ちょっとね。これ、アンデットに効果大なんだろ?あいつに小言を言うとか、笑えるじゃない。」
「笑えないし。ていうかなんで第一魔法なんだよ。いくらあんたが魔力高くて、アンデットには効果二倍だっていっても第一魔法なんだからね。普通に第三魔法の破魔使うか、もしくはあんたが直接攻撃したほうがよっぽど効果あるだろ。」
「えー。」
「えー、じゃないよ、このバカ。だいたい効果なら、多分あんたや僕より湊の方があるよ。」

呆れたようにルックが言った。湊は首を傾げる。

「え?なんで?僕、そんなに魔力高くないけど?」
「僕やこいつはどちらかというと闇の力との相性がいいんだ。君は盾を宿しているだけあるのか、破魔の紋章との相性が普通よりいい。他の魔法に対しては君はほんっっとに普通だけどね。」
「・・・微妙にバカにされたような気分になるのはなぜだろ。」
「こっちおいでー、湊。そんな人を小馬鹿にするような意地悪魔法使いなんかやめちゃって、俺にしときなさい。」
「・・・なんで途中から関係ない話になってるんだよ。」
「・・・ほんにこやつら、緊張感というものがないのぉ。ビクトール、ちゃんと躾くらいせんか。」

今まで湊らのやりとりを黙ってみていたシエラがビクトールに言った。

「は?なんで俺がこいつらの躾までせにゃならんのだ。湊やナナミの保護者くらいならなってもいいが、このこまっしゃくれたガキとろくでもねぇ事しか考えてなさそうな男の面倒までとうてい見れるかよ。」
「・・・へぇ。まあいいけどね?俺だってお前に教育なんてされたくないしね?せいぜい二日酔いの治し方くらいだろ?むしろ俺がお前にもう一度教育的指導してあげてもいいしね?」
「いい大人がそのガキとやらに対してムキになって、恥ずかしいよ、まったく。」

ビクトールがシエラに言い返した途端、詩遠にはニッコリと、ルックには小馬鹿にされるように見られながら速攻で言い返されていた。
とりあえずそんなビクトールには湊がよしよし、と慰めておく。
そんなくだらないやりとりをしながら教会にたどり着いた。
どうやらリリィとロウエンを人質にとっているようだった。

「あいつやっぱキモぃね。あんな小さな子まで花嫁候補とか、ほんとキモぃ。」
「ていうか、あの勇ましい女性は、なんだかついで扱いというか、むしろ扱いに困ってる感じですねぇ。」
「詩遠も湊も。つまらない事言ってないで、いくよ。」

ルックがそう言い、皆は中に入って行った。ただ、カーンは結界の準備を、シエラは紋章を封じる為の隙を窺う為その場に残ったが。
中に入ると、丁度その時にリリィ、ロウエンの後ろの出入り口からコウユウとマルロが現れた。

「アネキ!助けにきやしたぜ!!」
「コウユウ!」
「リリィ様、グスタフ様の配下、このマルロがお嬢様をお助けに参りました。」
「・・・??・・・誰・・・???」
「え・・・えっと・・・。あ!あなたの騎士でございます。今、お助けします、我がレディ。」

とりあえずコウユウとマルロが生きていて元気そうなのにホッとした後で、そんな光景を黙ってみているネクロードがなんだか笑える、と湊が思っていると、ビクトールが言ってきた。

「なんか、やってやがるぞ。どうする、湊?」
「んー、ちょっと見てようか?」

おい、とルックが突っ込む中、皆が黙ってなりゆきを見続けた。

「・・・・・・。もしかして、この私を退治しにきたのですか?」

ネクロードが口を開くと、コウユウとマルロは顔を合わせる。マルロがリリィの前に立ちはだかった。

「えっと・・・『その通り、覚悟しろ吸血鬼!!今こそ魔の滅びる時だ!!』って・・・ははは」

“ははは”じゃねぇし!!と多分ネクロードをも含むほとんどのこの場にいる者は内心で突っ込んでいたであろうが、リリィがニッコリとした。

「わぁぁぁぁ!がんばってぇ!!!」

そんなリリィに嬉しそうに、“いやぁ。”などと言っているマルロの横に、コウユウも立ちはだかった。

「てめぇ吸血鬼!!灯竜山の三兄弟に手を出したのが運のつきだ!!その首、たたき落としてやるぜぇ!」
「・・・いつまでも子供のお遊びにつきあってはいられません。いい加減にしてもらいましょうか。」

そう言って、ネクロードは手をあげた。コウユウらの周りに紫色の雷のようなものが落ちる。

「そろそろヤバいな、行くぞ。」

そう言って今まで見ていたビクトールが言い、湊らは部屋の真ん中まで進んで行った。

「じゃまするぜ。」

湊らがやってくると、ネクロードはストーンゴーレムを倒してここまでやってきた事に驚きつつも、人質を盾にしようとした。
だが結界が働き、ネクロードは先へ進めなくなった。

「マリィ家がこの日の為に代々、研究を重ねてきた結界です。これで“現し身の秘法”は使えませんよ。」

そう言いながらカーンが入ってきた。ネクロードが結界をふきとばそうと月の紋章を使おうとした時、今度はシエラが入って来る。

「我が月の紋章よ、そのいまわしき力をしばし封じ眠りにつけ。」

そしてたじろいでいるネクロードに、ビクトールが嬉しそうに言った。

「さあて、言ってやる。言ってやるぞ。“やい!!ネクロード!!年貢の納め時だぜ!!”くーぅ、よっしゃあ!!この時がくるのを、どれだけ待った事か!!!」
「おのれぇ・・・こんなところで潰えてたまるものかぁ!!わたしは!わたしは!!永遠を生きるのだぁ!!!」

その際に、湊が普段は宿していない土の紋章を唱えた。

『守りの天がい』

これで1回だけは全体魔法がはじける。と、詩遠がニッコリとしながら口を開いた。

「えー、なんの為に?バカバカしいよね?だって永遠に生きてもやることってつまらない事しかしてないじゃない?情けないよね。」
「っぐ?」

詩遠の小言にネクロードが動きをとめ、その際にナナミの棍でボコボコと殴られた。

「っくそ、なんだ?今のは。」

そう言っている隙にカーンやシエラから魔法攻撃を喰らい、ビクトールからは重い一撃を喰らう。

「っくそっ。」

ネクロードにはかなり強力な魔法攻撃があったが、先ほど湊が土の魔法を唱えているのを見ていた(いや、むしろ湊を見ていた)ので、魔法攻撃は諦め、ニヤリとしてからコウモリの姿になった。
そうしてナナミの血を吸うのかと思いきや、湊の血を吸いにきた。

「ちょ、な、なんで!?僕男なんだけど!?」

先ほどは小言を言う詩遠に呆れて出遅れたルックだが、今の光景を見てキレた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ