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ルック・湊(ルク主)

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怪我



「お前が湊・・・。真の紋章を受け継ぐもの・・・。呪われし子・・・。我が憎悪の元凶・・・我が悪夢の元凶・・・。」

湊ら同盟軍はグリンヒル解放の為に、初めてこちらから王国軍に撃って出ていた。
ハウザーの軍が防御を務め、キバの軍がグリンヒルに突撃する。
ハウザーの軍側では、ジョウイ、クルガン、シードの部隊と交戦していた。だが、途中で王国軍は妙な事に撤退していく。
キバの軍側では、グリンヒルを守るユーバーとルシアの軍と交戦した。ユーバーの能力がかなり高かった為、苦戦しつつもなんとか突破した。だがグリンヒルの市門が固く、同盟軍は攻めあぐねていた。
なので湊を含めた小隊で、かつてグリンヒルを脱した際に使った抜け道を使って侵入し、中から門を開ける事となった。途中ルシアを筆頭としたカラヤ軍に行く手を阻まれた。交戦中ルシアが言っており分かったのは、どうやらカラヤの民は、過去にいつも都市同盟の戦いのとばっちりを受け、虐げられていたという事。そしてルシアの父が、テレーズの父とマチルダのゴルドーによって毒殺されていたという事だった。
テレーズはルシアに、“この戦いが終わったら、毒殺の件の真偽を調査し、真実であれば公表し謝罪する”と告げ、そしてその間に交戦に敗れたルシアは沈黙した。
湊らはそのルシア達を後に、ようやくうグリンヒル市内へ侵入した訳であった。
そしてその市内では、市民達も武器を手に取り戦っていた。そこに湊らも加わり突き進み、ようやくめざす市門まで来た時に、冒頭のセリフが聞こえ、そして目の前にユーバーが現れたのであった。

「我がしもべ・・・悪夢より現れし別天地の化け物により、この世界から消え去れ!!」

まったく意味の分からない事を呟いていたかと思うと、ユーバーは呪文を唱えだし、魔獣ボーンドラゴンを召喚し、湊らと戦わせた。
かなりHPの高いモンスターであったが、盾と破魔を宿している湊、そして風を宿しているルックの前ではさほど強敵ではなかった。また、シーナが宿す土の紋章でドラゴンが放ってくる強力な魔法は度々封じられた。
特にルックが放つ“切り裂き”はかなりドラゴンの弱点であったようで、あっという間に倒すことが出来た。

「まだ・・・力が足らぬか・・・。湊よ・・・真の紋章を受け継ぐ者よ・・・戦いの炎を消すのは、た易くないぞ・・・」

激しい憎悪を浮かべたまま、ユーバーはそう呟いた後で消えた。
そして見た目も不気味なボーンドラゴンを倒すと、王国兵は次々と逃げて行った。
市民達はグリンヒルが再び都市同盟の手に戻った事に歓喜している。そして開けた門からキバ達も入ってき、次々に湊達のもとへ近づいてきた。
市民達はそして口々に、テレーズが約束を守り、我々の元に戻ってきた、と言って喜びあっていた。

「良かったよね、ほんとに。・・・ルック?」

そんな様子をニコニコと見ていた湊がルックを振り返ると、なぜかルックは消えたユーバーの方をもの言いたげにジッと見ていた。

「・・・ルック・・・?」
「・・・ん?何。」
「・・・あ、ううん。グリンヒル、良かったね、て・・・」

その時フィッチャーが慌てた様子で現れ、シュウからの伝令だと言ってすぐに同盟軍の城に戻るように言ってきた。
とりあえずグリンヒル防衛の為の隊を残して、湊らは急いで城に戻る。
2階の広間に行くと、シュウと一緒にいたクラウスが口を開いた。

「湊殿、大変です。マチルダ騎士団がハイランドに降伏しました。」
「え・・・グリンヒルを攻略していた間に・・・?」

するとアップルも口を開く。

「我々がグリンヒルに軍を出している間、王国軍は全軍の2/3を率いて騎士団領に侵略したようです。」
「しかし、ミューズの国境には、ジョウイをはじめ、クルガンもシードもいたんだぜ。いつの間に?」

ビクトールが疑問を口にする。するとクラウスが答えた。

「将がおとりで、兵のみがマチルダに向かった。そういうことだったようです・・・。軍師レオン・シルバーバーグ1人が王国軍を率いて、マチルダに向かった。それに対し、ゴルドーは和解を申し入れたとのことです。騎士団の自治権は残すが、その代わり王国軍に協力するということですが、実質的には戦わずして、その配下に入ったという事になりますね。」

するとそこにいたマイクロトフが憤り舌打ちをした。

「っちっ、ゴルドーの奴!!どこまで騎士団の顔に泥を塗れば気が済むんだ!!」

湊は茫然とその話を聞いていた。そしてシュウはといえば、その間ずっと何やら考えているのか、黙ったままであった。
アップルが言う。

「湊さん、シュウ兄さん、すぐにでもミューズに攻め入りましょう。今ならば王国軍のほとんどはマチルダにあり、とってかえしても、遠征で疲れています。」

何やらすっきりしない湊は、シュウの方を見た。

「・・・シュウさんの意見は?」
「・・・・・・。・・・そうだな・・・ためす価値はあると思う。湊殿を将軍、ハウザー将軍を副将、アップルを正軍師、クラウスを副軍師として、グリンヒルに向かうのが良いだろう。そこを拠点にすればミューズに攻め込み易いはずだ。俺とキバ将軍はここに残る。万が一、ここが落ちれば、同盟軍の戻る場所がなくなってしまうからな。」

それからシュウはアップルの前に立って言った。

「アップル。虚に実あり、実に虚ありだ・・・覚えておけ。」
「は・・・はい、兄さん・・・。」

そうしてまた、軍を出す事になった。深手を負った兵士は治療の為残るが、その他の軽い傷程度の兵士らは、そのまま、また出兵していく。
大勢の兵士が城から行進して出て行くのを見ながら、フリックが呟く。

「あと、どれだけかかるんだろうか・・・この戦争は・・・」

シリアスな雰囲気だったというのに、横に立っていたビクトールはフリックを見て言った。

「はっはっは、飽きてきたか?」
「ったく。さあ、な。しかし、最後まで見極めないとな。この国と、あいつらがどんな答えを得るのか。」
「もちろんよ。後はそれだけが楽しみさ。」

湊はそんな2人の会話はまったく聞こえない、先頭にいた。士気をあげる為だと、いつも湊は真っ先に進んで前を行く。
ただグリンヒルに着いた時、アップルに“兵を休ませ、策の細かい指示の為にしばらく時間が必要なので、それまで休んでいて欲しい”と言われた時、湊はルックに浚われるように部屋につれてこられた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ