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ルック・湊(ルク主)

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因縁



リザードクランの居住地は本当に洞窟の中に作られているようであった。薄暗くはあるが気温も適切で意外なほど快適である。
宿の部屋もきちんと個室になっており悪くない。
だが。

「お前らは!」

その声を聞いて振り向いたとたん、確定は出来ないが多分そうだろうな、と思い詩遠も湊も今すぐ別の場所に行きたくなった。

「何しに来た!何が目的だ。」
「・・・えっと・・・もしかしなくても・・・ルシアさん、だよ、ね?」

湊が一応ニコリとして目の前にやってきた女性に聞いた。その女性は格好は黒を基調とした民族衣装を着ており髪は金髪を肩より少し上でそろえており、一見誰か分からなかったが、肌の浅黒さや瞳の色、そして何よりも雰囲気が当時湊を暗殺に来たかの少女を彷彿とさせた。

「あ、ああそうだ。それよりも質問に答えろ。返答によってはここでお前らを倒す。」
「相変わらずだね?俺らがあなたに倒される、とでも?」

ニッコリとしている割にはとげのある言い方で詩遠が口を開く。

「何!?」
「ちょ、詩遠さん!えっとごめんなさい、ルシアさん。僕らは別にあなたがたと何らやりあうつもりはないよ。普通に、ただの観光だったんだ。まさかあなたがたがここにいるとか知らなかったし、先ほどの何やら戦いについても何がなんやらさっぱり。」

湊のもの言いに、ルシアの剣幕は少しおだやかになったがまだ疑わしそうな顔をしている。詩遠はとりあえず黙っている事にした。

「僕はもう王を退任してるしね?知らない?」
「ああ、そういえばそうだったな。・・・だがなぜこんな時期に観光などど・・・?」
「こんな時期?逆に僕が知りたいよ。こんな時期って、何?僕がまだデュナンにいた頃のそちらの情勢は先の戦いがあったものの、確か休戦へと話が動いているという噂だったんだけど。」

困ったように湊が言うと、ルシアはまずい事を言ったと思ったのか、口を閉じ、目をそらした。

「あー僕らには聞いてきておきながら、自分は口を閉ざすんだ、ずるいずるい!」
「う、うるさい。お前、見た目どころか中身もまだ子供なのか!?」

そうルシアに言われ、詩遠がプッと噴き出す。

「あ、詩遠さんまで何笑ってるんですか!僕は子供じゃないよ!まったくもう!とりあえずルシアさん。別に僕らはもう、あなたがたの敵でもなんでもないよ。グラスランドの民達はなぜかデュナンやティントなどががこちらの土地を狙っていると思われているようだけど、少なくともデュナンは狙っていない。僕はそんな事望んでなかったし、今後も少なくとも僕の目が黒い内はそんな事はありえない。」
「・・・。」
「今回の争いはまたゼクセン連邦との、かな。ルシアさん、僕らはただの一旅人だよ。ゼクセンにもグラスランドにも何の影響もない。」
「影響。だがお前らは真の紋章の継承者だ。お前らが少しでも動けば何かが変わるであろうと私は思っている。それほどまでに真の紋章は強く、そして恐ろしいものだ。」
「・・・うん・・・そうだろう、ね・・・。でも僕らはゼクセンの味方になるつもりもないし、逆に言うとグラスランドの味方になるつもりもない。こう言えば少しは安心してくれる?」
「・・・分かった。」

ルシアは降参したのか、ため息をついて頷いた。湊はニッコリとする。

「良かった。で、なぜ先ほどみたいな戦いがまた?その戦いの為にわざわざカラヤクランの人達もここに来たの?何やら大勢いるものね。」
「・・・いや。・・・確かに休戦協定はなされていたはずだった。だがその間にゼクセンの鉄頭達は手薄になったこのリザードクランを襲い、そして族長を暗殺したんだ。だからそれを知ったリザードクランの者が協定中であったがその場に攻め入って来た。当然だろう。すると鉄頭達は撤退するが為に我がカラヤクランを焼き討ちにした。しかも関係のない村の非戦闘員までをも・・・。我々は居住地をも犯されここに避難するしかなかった。それだけでは飽き足らず、先ほどまたゼクセンの騎士団どもが“力を見せつける為”とやらでこちらを襲ってきた訳だ。こちらが武器をとらない理由など何もない。」
「・・・それはまた・・・。でも・・・なぜだろう・・・そんな事をする理由が・・・?」
「そんなもの、このグラスランドのクランを侵略し占領する為であろう?」
「・・・。」

確かにそうかもしれない。だが、それほどまでにして手に入れようとしているなら、先ほどのような戦い方はしないのでは、と詩遠も湊も思った。力を見せつける必要がないではないか。ここまで来たのであれば、そのまま攻めいればいいだけの話だ、本当に侵略するつもりであるなら。だいたい先の戦いでも勝利していたというのに休戦を受け入れていたはずである。
だがまあゼクセンが何を考えているかなどと分かるはずもない。ただ、なんともすっきりしなかった。

「・・・母さん?知り合い?」

そこに声が聞こえた。振り向くと先ほど遺跡の中にいた少年とダックが立っていた。

「・・・え?母、さん・・・?」

湊がつぶやく。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ