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ルック・湊(ルク主)

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回想



レックナートにも告げずに塔を出たルックであったが、その前に一度彼女とは喋っていた。

「どうしても行くというのですか?私がとめても・・・?」

そして何やら沸き起こった波動はルックの手前でかき消える。

「待ち焦がれていた・・・時が来ました。僕を止めることなど出来ません。不完全なる門の紋章では。」
「・・・。」
「僕の心の中には、世界に対する憎しみがあります。それは・・・レックナート様、あなたも含めての事です・・・。」

そしてルックはレックナートに背を向けた。

「それがあなたの望みなのですか?」
「・・・・・・。」
「ルック・・・本当は・・・あなたは・・・」

レックナートが何か言いかけているのも聞かずにルックはその部屋を出た。そしてその後最後に会いたいと思っていた湊の元へ行き、それからセラを伴ってハルモニアへと来たのであった。
ルックはそしてヒクサクに謁見した。今までもたびたびハルモニアへは仮面をつけた状態で仕事で訪れており仮面の神官将となるのは簡単なものであった。
そしてその際、ハルモニアに出入りしていた際に出会っていたアルベルトというシルバーバーグ家の赤毛の男と、アルベルトによって召喚されたユーバーをもひきつれ、グラスランドにやって来ていた。

「さあ、さっそく始めようじゃないか。」

大空洞の前でユーバーが言った。

「あ・・・あぁ・・・・・・・・・。」

仮面をつけたルックはすこし俯き気味でうなづいた。

「どうした?今さら躊躇している訳ではあるまいな?ここまできて、やめるだなんてことを言うようなら・・・。」
「ユーバー、どういう意味ですか?」

俯いているルックを見てからセラが言った。

「お前の思っているような意味さ。」
「もしそうなら・・・私が相手をしますよ。」

薄笑いを浮かべているユーバに対して、セラはゴミ屑でも見るかのような目を向けた。そこにアルベルトが近寄り口を開いた。

「言い争いをしているほどの時間はない。我々の行動には、分刻みの精密さとスピードが必要となる。」

そこへ俯いていたルックが近づく。

「すまなかった、ユーバー。考え事をしていただけさ。僕の決心にゆらぎはないよ。五行の紋章をこの手に集め・・・この忌まわしき真の風の紋章を破壊する。それが鎖に繋がれた運命断ち切る唯一の方法だからね。」
「ルック様・・・。私はあなたの進む道をただ辿るだけです。」

セラがルックをじっと見て言った。するとユーバーが大空洞の入り口にくるり、と体を向けて言う。

「わたしの願いは、ただ・・・・・・この心の痛みを癒す混沌のみ。それがあり続ける限り、わたしはお前の盟友であり続ける。」
「では、行こうか。これが、戦いの炎の最初の花火だ。」

アルベルトが言った。
そして大空洞に入ってからアルベルトがまた口を開いた。

「確認する。この先にリザートクランの長であるゼポンの部屋がある。ユーバーはそこで定められた仕事をしてもらう。我々は、途中で結界を張って罠を作る。」
「ああ、まかせておけ。」

ユーバーがニヤリとして言った。

「ルック様・・・。我々はここに結界を張り、もう一方の出口で罠を張ります。」

するとセラがロッドを振る。

「これでいいはずです。」
「まやかしの術か。俺は元の道へ戻ればいいんだな。」

ユーバーが聞いた。セラは頷く。

「えぇ・・・。ここから、追手は幻影を追いかける事になります。」
「じゃあいって来るさ。ゼポンには昔の恨みもあるしな。」

そしてユーバーは中へと向かって行った。三人は表へまた出る。

「ここの結界も張り終わりました。時間がなかった為、完全という訳ではありませんがある程度の時間ならば、彼らには幻影の騎士団の姿が見えるはずです。」

セラが言った。アルベルトも口を開く。

「くれぐれも、彼らを殺さぬようにお願いします。“目撃者”がいなくなっては、元も子もない。」
「あぁ。セラ、魔法での攻撃でも、彼らには剣での攻撃に見えるのかい?」
「ええ。・・・ただし、傷口は隠せませんので火や雷ではなく、風の紋章をお使い下さい。」
「では、わたしは先に行きます。偵察に、情報操作に・・・やるべき事は多いし、戦闘は専門ではありませんので。」
「あぁ・・・。」

そしてアルベルトが去ってから、セラがルックを見て言った。

「ルック様・・・本当によろしいのですね・・・。」
「決心はした・・・そう言ったはずだぞ。」
「分かりました。」
「これが、アルベルトが言うように、戦乱を巻き起こす、最初の炎だとしても、僕には、それを受け止める覚悟がある。」

そしてやってきた最初の下級兵士達を風魔法で倒す。
その者達も、次に来た上級兵士達と、なぜかいる傭兵らしき人間達も、どうやらルックとセラが見えておらず、ゼクセンの騎士団がいるようにしか見えていないようである。
彼らも風の紋章で倒すと、セラがそろそろ時間だと言った。

「これはどういう事だ?ゼクセン騎士団のやり方ではあるまい?」

落ち着いた感じの傭兵がそう言ってきたが、2人はそれには答えず歩き去った。

これで・・・もう後戻りはできない。
だが、ずっと考えていた事。後戻りするつもりも、ないが。

この世界を・・・。

その為には気にしてはいけない。それにより巻き込まれ倒れる人達の事を。そして死していく人達の事を。気にしては、いけないんだ。

湊・・・。
もう既に君に会いたくてしかたがない。
情けないね、僕は。
湊。
きっと、もう、二度と会えない。
大好きな湊。
最後に一度しか言えなかった。
愛してる、と。
君へすべて注ぎたいと思っていた。だけれども。すまない。

僕は。



そして次にカラヤへと一行は向かう。
カラヤを焼き払い、村の戦士を倒す。

「これぐらいでいいのか?」

ユーバーが幾人かを倒した後でアルベルトに聞いた。

「ああ、そうだな。わたしの読みでは、そろそろゼクセンの先行隊が来るはずです。セラはどこに行ったんだ。呼び戻さなくてはいけないな。」
「分かった。ここはまかせて、お前達は集合地点に行ってきてくれ。」
「分かりました、ルック様。それでは行ってまいりますが、お気をつけ下さい。」

アルベルトが言っている間にユーバーが手をのばし、黄色く光る異空間の扉を開いた。2人は地面へと消える。

「・・・戦乱の炎か・・・。」

しばらく辺りを黙って眺めたあと、ルックがつぶやいていると、その横を矢が飛んでいく。
ルックは振り返り、飛んできた方へと歩いていくと、そこには震えている青年と小さな少女がいた。

「なんだ・・・子供・・・。」
「く、来るな!!化け物め!!お、お、俺は、カラヤのせ、戦士、い、一人前の、せ、戦士だ!!み、みんなは俺を、お、臆病だと言ったけど、俺だって、む、村を、皆を、守るんだっ!!」

ルックは手をあげた。風を呼び、それを青年にあてる。青年はその風にはじかれた。

「っひっ」
「う、うわあああん。」

青年はおびえ、少女は激しく泣き出す。ルックはまた手をあげた。

「・・・次は・・・当てるぞ・・・。」

すると青年はなんとか立ち上がり、少女の手をひいて逃げていった。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ