ルック・湊(ルク主)
破壊
「て、既に戦いになってる!どうします?詩遠さん?」
「んー基本的にはハルモニアに肩入れするつもりはまったくもってないからチシャ側手伝ってあげたい気持ちはあるけどねぇ。でもやっぱ俺らが戦いに参加するのはだめだと思うよ?」
「そうですよねぇ・・・やっぱ。じゃあどうしよ、ちょっと隠れて見てましょうか・・・あ、あのブドウ畑の隅だと気づかれないかも。気配消したらなんとか。」
そして2人は傍観を決め込む事にした。
村の方を見るとダック村で出会ったクリス達がチシャ側に付いて戦っているようである。
「わーやっぱあのクリスさんて女性、強い!綺麗で強いとかカッコいいなー。」
「だねえ、うん、俺も嫌いじゃないよ。」
「むしろ好き、でしょ?詩遠さんなんかすごい肉食系な目で見てます!」
「失礼な。て、あ。」
「あ。」
どうでもいい事をそっと話していると、村の入り口にヒューゴ達が見たこともない3人と、1人なんか見た事あるような女性と一緒にやってきた。
一人は少しカラフルな服装のおじさん。もう一人はやたらデカく獣のフードを被っている男、そして何やら同盟軍にいたシドを彷彿とさせるような怪しげな雰囲気満載のウィングホードの青年。女性はメガネをかけていて・・・。
「なんかまた一層カヲスな集団になってるね・・・?ていうかあの女性・・・。」
「はい!そしてあひるさんー!軍曹かっこいい!あー・・・女の人、うん、そうなのかなぁ。」
ヒューゴ達は行く手を阻む、ルビークからハルモニアの援軍であろう虫と虫使い達を倒して行った。その後なぜか大声で自分達の存在を知らしめている。
「援軍と思わせる訳、か。まあ、ハルモニアも兵を無駄使いしてまでは、なんだろうね。」
詩遠がそれを見て呟いているうちに、ハルモニア兵達は引いていった。
そのまま村の方にヒューゴ達が向かった後、なぜかクリス達といざこざをおかしていた。
「・・・敵同士、だから?」
「んーそれとはなんかまた別で、ヒューゴはクリスに対して思う所がありそうだけどね?残念ながら口の動きも見えないなぁ。」
その後クリス達は木こりのような雰囲気を出している女性達と一緒に村を出て行った。
「どこ行ったんだろー、ちょっと気になるけど・・・」
「んーそうだね、でも今はこっちのが気になるよね?」
2人が気にしている状況。
アルベルトとユーバーがこの村になぜかやって来ていた。それに気づいてヒューゴ達が村の入り口にやってくる。
「おかしいと思って様子を見に来てみれば、お前か、シーザー。久しぶりだな。アップル女史もお変わりなく。」
アルベルトがそう口を開いた。
「あ、やっぱり。あの人アップルだったんだね!大人になったなぁ。」
「だねぇ。確かに。なかなか落ち着いた感じだよね?」
2人がまたどうでもいい事をコソっと話しているとアップルがここには何をしに?と聞いていた。
「偵察、ですよ。それにこちらにも言う事を聞かないわがままが1人いてね。」
アルベルトがそう言って、ユーバーをチラリ、と見る。ユーバーが口を開いた。
「先の戦いで、ずいぶんと目立った女戦士がいたようだな。一つ、技を試させてもらいたいな。・・・見たところ姿がないようだが。どうした、臆病風にでも吹かれて逃げ出したか。」
するとヒューゴが前に出てくる。俺が相手だ、と。
「ふん、力無き者をいたぶるのもいいが今はそんな気分ではないのでな。」
その後、だが結局2人はやりあい、そしてヒューゴはまた負けてしまっていた。
「むー、ユーバーもちょっとは手加減したらいいのに!」
「んー、まぁ所詮人外だしね?ムリでしょ。殺さなかっただけマシかも、ね?・・・あ、2人が行ってしまうみたいだよ?どうする?」
「こっちもきっとまたハルモニアが再度兵増やしてやってきそうだし気になるけど・・・とりあえずユーバー達も何かする気だろうし、気配、追います。」
「え?誰の?」
「あ、ユーバーの。えっとね、ユーバーも真の紋章、持ってるみたいなんですよ。別に使う気もない割に特に隠す気もないみたい。」
「そうなの?へえ、知らなかったよ、さすが湊。じゃあ、行こうか?」
「はい。えーと・・・んー・・・多分ユーバーだけ別のとこ行った。アルベルトはあれかな、ルックと合流でもしたのかな・・・?詳しくは分かんないですけど、とりあえず追えるのはユーバーだけなんで。」
そして2人はまたクプトの森に入っていった。
「こんな道、あったかな・・・?」
「んー多分結界が貼ってあったんだろうね?そのせいで普通は道に迷ったりするんだろう。」
そのまま念の為気配を消したまま進むと、ユーバーと、そしてクリス達がいるのが見えた。こっそり隠れて様子をうかがう。
どうやらユーバーはこの先にある村に、水の封印球の気配をかぎつけ、やってきた様子である。“死体から聞き出す術も持っている”などと物騒な事を言ったのち戦闘になっていたが、さすがに6人相手だと厳しかったようである。
ユーバーはとりあえず撤退するようであったが、“場所は覚えた”と言っていた。
2人はチラリ、と目を合わせると、ユーバーが消える前にそれとなく気配をあからさまにした。
ユーバーがふとこちら側を見たが、そのまま消える。
「・・・後でルックとかひきつれて来るつもりかなー?水って言ってましたよね?前に見た、あのごつい男性と関係あるのかな?」
「んー。もしかしたらあの中途半端な宿し方からすると、紋章の半身をこの村に納めてる、とか?」
「ああなるほどー。・・・ねえ詩遠さん。ルックはけっこう必死で真の五行の紋章を狙ってるようだけど・・・狙ってどうするのかな?」
「そうだねぇ・・・。ルビークで言ってた百万の命を奪う事になっても変えたい運命。そして紋章が見せる、人の生きるすべのない紋章が支配した未来。・・・ねえ湊。真の紋章をね、何らかの方法で破壊したら、どういう事になるだろうね?」
「え?・・・そりゃあきっとものすごいエネルギーが・・・・・・ああ・・・。」
湊が思い至ったように黙りこむ。それから少し俯いた顔をあげ、詩遠に言った。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ