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ルック・湊(ルク主)

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宿泊



「なんか暗いよね?」
「・・・あんた、もういい加減帰れば?」

先ほどから今にも降りそうな空を窓を見上げて詩遠が言えば、ルックがさもうっとおしげに答えた。

「えー何それ、ルッくん冷たい。」
「気持ち悪いんだよ、その言い方。そしてルッくん、言うな。そしてこの場所を集いの場にするな。」
「えー。いいじゃん。それにさー、前の時はさー、お前、じいさん達に乗っ取られてただろ?良かったじゃない、マイ石板状態になって。」
「・・・乗っ取られてたとか人聞きの悪い事言うな。アレは別に、違う。それにマイ石板て、何。そしてアレは、その、石板に興味あるってんで、なんていうか、アレだ、貸してやってた、的な・・・。」
「で、所在なさげにウロウロしてた訳だ。ふふ、可愛いねぇ、ルッきゅん。」
「う、うるさい!ていうか、気持ち悪い。更にろくでもない呼び方するな、そして帰れ。」
「えー、酷いな・・・あ、湊。」

詩遠がニッコリと反論しようとした時、湊が2人に気づいてやって来た。

「あ、詩遠さん!こんにちはー。あれ?迎えに行ってないですよね?いつ来られてたんです?」
「ああ、今朝?今日はする事もなくて暇だったんで。」
「・・・いつもだろうが、このニート英雄。」
「湊ー、さっきからルッくんがいじめてくる!」

ジロリと睨んで呟いたルックに、詩遠は一瞬ニコリとした後で湊に対してさも悲しげに言い放った。

「え、だめじゃん、ルック。親友は大事にしないと!」
「ちょ、人聞きの悪い事言わないでくれる?って、湊。親友、違う。断じて違う。」

詩遠に言ったあとで、ルックは湊に対して大真面目に否定した。

「えー?そうなの?でも仲、いいじゃん。なんていうか、見た目どっちも素敵なのに、中身どうなの?ってとこ、よく似てるし。」

湊がとても可愛らしい笑顔でニッコリと言った。

「・・・何気にひどい言いようだよね?」
「・・・こういう子なんだよ。」

ニッコリしたまま詩遠がルックにボソリと言うと、ルックも呆れたように答えた。

「あ、湊様!!すごい雨、降ってきましたっ!!」
「え?そうなの!?大変!じゃあ洗濯物、やっぱ急いで取り込まないとね!!」

湊に声を掛けながらパタパタと走っていく女性にそう言って、湊も向かいかけた。詩遠がその湊に聞いた。

「え?洗濯、もの?」
「あ、はい。今日ちょっと洗濯ものが多かったみたいでー。天気、悪いし、どうかなーって言ってたとこだったんですよー。じゃあ、僕も取り込むの手伝いに行くんで、失礼します!」
「あ、待って。俺も手伝うよ。ルックは後で頼みたい事出来そうだから、それまで大人しくしてて。そこ、動かない事!!」
「ちょっ」

ルックが口をはさむ隙間を与えず、詩遠も走って湊のそばまで来た。

「え?そんな、詩遠さんに手伝ってもらうなんて!」
「いいからいいから。君だってここの軍主だっていうのに、ね?」

ほんとなんていうか、気さくというか。まあ、そういうところも可愛いけどね?

「でも・・・」
「ほら、言ってるうちに着いたよ、ここでしょ?ああ、気にしないで。そうだな、じゃあ後でお願い、聞いてくれる?」
「え?あ、はい!じゃあ、喜んで!ありがとうございます!」

2階にある、レストラン向かいの大きなガラス張りの出入り口から外に出る。そうして何回か移動して、無事、洗濯ものをとりこんだ。

「あー、でも乾いてないねー・・・。そんなに濡れなかったけど。」

湊が女性達に言っている間に、詩遠が鬱陶しがっているルックを連れてきた。

「じゃあ、ルッくん、これ、乾かしてよ。」
「はあ!?動くなって、まさかこれの為!?」
「え?そうだけど?ムダに魔力使われてもね。ていうか、言われた通り、動かないでいてくれる君が素敵だよ。」
「そうだけど、じゃないよ!そして気持ち悪いからやめろ。今、動かなかった事を心底後悔してるよ!僕は乾燥機でもなんでもないんだからね!まったくいい加減にしなよね、またこんな事させる気!?」
「え、またって?」

湊が首をかしげる。

「このバカ、前の解放戦争の時も僕を扇風機代わりにしたんだ・・・。」
「だってさー、前のあの砦。窓ないとか、ほんとあり得ないよね?おかげでじめじめ、じめじめ!冬の寒さもたいがいだったけど、ほんと湿気とかさぁ、鬱陶しかったよ。」
「僕の方が何倍も鬱陶しかったんだからね!」
「そんな事言いながら、いつも風、送ってくれたじゃないー。」
「うるさい!そうでもしないと、あんたしつこかっただろ!」
「そんな事言いながらもやってくれるルッきゅん、好きよー。」
「気持ち悪いって言ってるだろ!!」
「っぷ。」

思わず噴き出した湊を、ルックはジロリと見る。

「何。」
「えーだって。ほんと仲いいなぁって思って。」
「そうでしょー。」
「良くない!」

詩遠はニッコリと、ルックは怒ったようにそれに答える。
そして文句を言いながらも風を送るルック。

「ふふ、やっぱルックって優しい。」
「だよ、ねぇ。ああ、湊。」

熱い視線を送っている湊に、詩遠がニッコリと言った。

「はい?」
「さっきのお願いなんだけど。」
「ああ!はい、なんでしょう。」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ