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ハロウィンつめあわせ

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どうする?(柔蝮)



ハロウィンといえば魔界の住人が人間界に来やすくなる日。
そう宝生蝮は認識している。
祓魔師は皆、同じように考えているので、今夜は特に警備体制に力が入れられている。
蝮は正十字騎士團京都出張所の廊下を歩いていた。
さっきまで京の町の魔界との境界が薄いと思われている場所で仕事をしていたのが京都出張所に帰ってきて、ここでも仕事はあるのだが、ほんの少し休憩することになったのだ。
出張所の中のどこか落ち着ける場所で、ほっとひと息つきたい。
そう思って歩いていると、廊下になにかが落ちているのに気づいた。
蝮はそれを拾いあげる。
カラフルな紙に包まれた飴だ。
なんとなく、それを持ったまま進んでいき、廊下を曲がる。
少し先に、よく知っている者がいた。
窓から外を眺めている。
志摩柔造だ。
その姿を見て、蝮はピンときた。
「志摩」
こちらのほうを向いた柔造に、蝮は無表情で話しかける。
「これ落としたやろ」
飴を差しだした。
すると、柔造は明るく答える。
「ああ、せや」
笑顔を蝮に向けて、さらに続ける。
「どっかで子供に会うたら、やろうと思て」
「……どうせそんなことやろと思たわ」
しかし、蝮は顔に笑みを浮かべることなく言葉を返した。
柔造は子供が好きだ。
だから、今日はハロウィンなので子供を喜ばせるために菓子を持ち歩いているのだろう。
持っているのは落とした飴ひとつだけではないだろうと、蝮は推測する。
眼のまえの祓魔師らしい格好には菓子がいくつも隠されているのだろう。
「明陀は仏教やのに、なんでキリスト教のお祭りなんか」
「それを言うなら、ケルトやろ」
さらっと柔造は訂正した。
たしかにハロウィンの起源はキリスト教ではなくケルトである。
「そ、そんなことぐらい、私もよう知ってるわ。もとはケルト人の行事やったんをキリスト教が」
「まあまあ、ええやないか。みんなで楽しめる行事なんやから」
柔造は大らかだ。
志摩家の次男として生まれたが、十六年まえに長男が亡くなったので、それ以来、長男のような扱いだ。
弟たちがまだ幼いころは、その面倒をよく見ていた。
親しみやすくて、頼もしい、そんな印象が柔造にはある。
だから、柔造は多くの人に好かれる。
「そういえば」
ふと思い出したことを、蝮はそのまま口にする。
「何日かまえ、携帯で、だれかから、ハロウィンの日に会おて誘われてたやろ」
「ああ、アレ、聞いてたんか」
「別に聞こ思て聞いたんやないわ。大きな声で話してたから、耳に入っただけやわ」
蝮の頭にはそのときの光景がよみがえっていた。
この京都出張所でのことだ。
今のように休憩中、たまたま柔造を見かけた。
柔造は携帯電話でだれかと話していた。
ハロウィンは仕事やから、無理やわ。
そう携帯電話に向かって告げる柔造の声が聞こえてきたのだった。
「せっかくの楽しめる行事やのに、断るんは残念やったやろ」
電話の相手が男だったのか女だったのか、わからなかった。
柔造は友達が多いし、それに、女性にモテる。
「まあ、私にはどうでもええことやけど」
蝮は素っ気なく言った。
本当にどうでもいいことだ。
それなのに、どうして自分は言ってしまったのだろう。
蝮は後悔し、話を終わらせて立ち去りたくなった。
だが、まだ自分の手のひらの上には飴がある。
「これ、返すわ。はよ受け取ってや」
蝮は飴を持っているほうの手を柔造のほうにやる。
しかし。
「蝮」
柔造は飴を受け取らずに言う。
「今年のクリスマス、空いてへんか?」
作品名:ハロウィンつめあわせ 作家名:hujio