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僕の可愛い人ですから

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いつか、きっと、絶対



夜の色に染まった窓がガタンと揺れた。
外は粉雪まじりの強い風が吹いているのだ。
「雪見酒だにゃ〜」
シュラは缶ビールを手に持って自室の窓から外を眺める。着ているのは、寝間着にしている華やかで丈の短い浴衣である。
ほろ酔いで顔が少し赤い。
いい気分だ。
ふと。
コンコンと部屋のドアがノックされる音がした。
続けて。
「雪男です」
そう名乗る声がドアの向こうから聞こえてきた。
シュラは振り向き、返事をする。
「はーい、どうぞ〜」
それとともに、缶ビール片手に移動する。
雪男が部屋に入ってきた。
その姿を観察しつつ、シュラは近づいていく。
そして、ニヤリと笑う。
「雪男だけに、雪をつれてきたんだな」
「はあ?」
「身体に雪がついてるぞ」
雪の中やってきた証拠が、雪男の黒髪や黒いコート、そしてメガネにまで残っている。
ただし、雪はもう溶けて水滴になっているが。
「ああ、傘をさしていても吹きつけてきますから」
「あの風だからにゃ〜」
そう陽気な声で言うと、シュラは踵を返した。
部屋のもっと暖かいところに雪男を誘導するためである。そんなことは口には出さないけれど。
シュラは軽やかな足取りでソファまで行き、無造作に腰をおろした。
しばらくして、隣に雪男がやってきて座った。コートはここに来るまでのあいだに脱いだらしい。
「またお酒を飲んでいるんですね」
「雪見酒だ」
「雪が降ってなくても飲んでるでしょう」
シュラはビールを飲み干し、カラになった缶をテーブルに置いた。
それから、雪男をからかうように見る。
「あんなに吹雪いてる中やってくるなんて、おまえは酔狂だよな〜」
雪男は高等部男子寮の旧館で暮らしているので、シュラが寝起きしているこの部屋に来るためには、いったん外に出なければならない。
「……いいかげん、僕の努力を認めてほしいものです」
そう雪男は言ったあと、頭をほんの少しだけ左右に振った。
「いや、今のは恩着せがましくて、アンフェアだ。正確に言うと、ついでがあったんです」
「ついで?」
「はい。ここに来るまえに検査を受けてきました」
作品名:僕の可愛い人ですから 作家名:hujio