【どうぶつの森】さくら珈琲
19.つねきち
怪しすぎる。
役場の前に、昨日まではなかったはずの緑色のテントが立っている。
買い物帰りのわたし、とまと、ヴィスはそれを見つけた。
「なんですかぁ、これ?」
―――なんだろう……。
相当大きなテントだ。怪しいとは思いつつも、何なのか見当もつかない。
新住人の家? ずいぶん個性的だなぁ。
―――すいませーん。
まずはノックしようと思ったけれど、テントだから叩く扉がない。だから外から声をかけた。
「……なんですか?」
中から、少し高めの男性の声がした。少しいら立っているみたいだった。
「入っていいですかぁー?」
とまとが尋ねると、チッという音が聞こえた。
「何を寝言言うてるんですかねぇ? ここは合言葉が必要なんですよ、わかります? 『三歩、歩けば?』」
―――……え? 『二歩下がる』?
わたしは、かの有名なことわざを言ったが、中の誰かは大きくため息をついただけだった。
「話になりまへんわぁ」
作品名:【どうぶつの森】さくら珈琲 作家名:夕暮本舗