【どうぶつの森】さくら珈琲
25.ヴィスとドラド
11月の初め。もう秋と言えるかも怪しいくらい、寒くなってきた。
朝、ふとんから出たくない日も増えてくる。
あーあ、今日はとまとみたいに昼まで寝てようかな。日曜日だし。というか、わたしが毎日朝ごはんをつくる義務もないし。よし、決めた。何が何でも、今日は寝てやる。
誰にも邪魔させるものか。わたしは寝返りを打ちながら、にんまりと笑ってささやかな決意をした。
「さくらー! さーくーらー!!」
部屋の向こうからリクの声が聞こえる。リクだけではなく、みんながどたばた走っているようだった。
えーい、うるさい。
わたしは無視してもう一度寝返りを打つ。
「さくらってば!!」
ドアを激しい音を立てて開けられた。
家族が増えてから、すっかりこの家にはプライベートというものがなくなった。ルームシェアというのは、こういうのが困る。
わたしは寝ぐせを手でとき直しながら、不機嫌さを思いっきり出しながら言った。
―――なんなの……タマゴなら昨日補充しといたから、テキトーに作っといてよ。
「大変なんだ」
後ろにいたヴィスが、今まで見たことないほど深刻な表情で言った。
普段、魚を釣り上げたとき以外ポーカーフェイスの彼だ。これはただ事じゃない。
「池が埋め立てられるかもしれないんだ」
作品名:【どうぶつの森】さくら珈琲 作家名:夕暮本舗