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【Livly】誰も知らない物語

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転生


「ここにいたんだ」

サファイアは、出会ったときよりも何倍も体が膨れ上がっており、至るところに本人のものか、それとも他の誰のものかわからない血がべったりとついていた。
今も口の端からやはり何かわからないものを垂れ下げている。
おぞましいモンスターの姿。
しかしルチルはそれをとても愛おしそうに見つめて、微笑んだ。

「ここでぼくらは出会ったんだもんね。キミはとても綺麗で、ぼくはともだちになりたいって思ったんだ」

じわじわとサファイアに近づいていくが、警戒する彼女はもうルチルが誰かもわからない。
サファイアはルチルを突き飛ばした。
ビーカーを死守するルチルは激しく転がった。

「ぼくね、ずっと寂しかったんだ。毎日が寂しくて寂しくて、そんなときにキミが現れた」

サファイアと出会ってから、喜びばかりではなかった。
もしかしたら幸福以上に悲しみの方が多かったかもしれない。
それでもルチルは出会わなければ良かったなど思うことはなかった。

「ねえぼくら、またいっしょに暮らせるよね?だいじょうぶだよ、サファイア。だいじょうぶだから」

今度は、ルチルも迷いなく近づいていった。
サファイアはうなり声を上げた。
ルチルは気づく。
彼女の瞳から、涙が溢れている。
泣くというのは、感情があるということだった。生きているということだ。
サファイアは完全には壊れていない。だからルチルも、覚悟を決めた。

もう何も怖くない。




「だいすきだよ、サファイア」

そう言い終えると、ルチルは急いでビーカーの中身を口に含んだ。
そのまま、サファイアを抱きしめる。その間にサファイアの爪は何度も、ルチルを裂いた。
しかしそれさえ気にせず、やがて口をこじ開けさせると、その液体を彼女に注ぎ込む。
ルチルの心臓が貫かれた。



サファイアは、薬を飲んだ。