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第三章




中央へと向かったエドワードの心休まる時間は0に等しかった。
中央までの汽車では金髪を黒髪に変えて、変装してなんとか誤魔化した。
だが、中央に入る時には一人一人チェックをされ身長や年が近いと思われる人物は女でも厳しくチェックされた。
エドワードは案の定バレてしまった。

それからは逃走の日々だった。
必死に情報を集めつつ、ロイに近づけないかと思っているエドワードだったが、
迫り来る炎から逃げるだけで精一杯だった。


「はぁっはぁっはぁっ・・・っ・・・」


そして3軒目の宿が燃やされ、
やっとの思いで追っ手を撒いたエドワードだったが今回は肩を負傷していた。
肩の痛みからから、心の痛みからか、涙が止まらなかった。


「・・・・どうしたら・・いいんだよっ・・くそっ・・」


肩からは出血し続けていた。
その肩を撃ちぬいたのは他でもない鷹の目、リザ・ホークアイ。
そしてその横に立っていたロイはためらいなく自分の居る方向に向かって指を鳴らした。

逃げようとする道には何人もの見知った顔の軍人達。
エドワードは決して攻撃はしかけず、防御だけで逃げまわった。


大佐・・・・俺の話を聞いてくれ
俺を思い出してくれっ・・・


くそっ・・・・




「大丈夫?」

物陰に潜み、しゃがみこんでいたエドワードの頭上から声がかかり驚いて顔をあげる。
そこに立っていた人物にエドワードはさらに驚く。



「・・・・・グレ・・イ・・シアさん」

「・・ごめんなさい、何処かでお会いしました?」

「・・っ・・・いいえ、」

分かっていても、何処かで期待してしまう。
もしかしたら覚えているのではないか?
もしかしたら思い出すのではないか?

しかし、現実は無情にも「誰?」という顔を向けられる。
だが、今となってはその程度ならば、と思う。

想い人から「お前を殺す」という目を向けられることと比べれば、

これぐらい。


これぐらい・・・



「怪我してるのね、家へいらっしゃい。」

「ぇ・・・?」

「子供は黙って大人の言うこと聞くものよ。」

「・・・・・・・・!!」


ロイの親友であるヒューズの妻、グレイシアに半ば無理矢理連れられ、
エドワードはよく覚えているその家へと向かった。
家の場所も外も中も記憶と変わらなかった。
そのことにエドワードは少し泣きそうになった。

グレイシアは救急箱を持ってくると肩の治療を始めた。


「私の夫は軍人だったから、こういうの慣れてるのよ。」

「・・そう・・なんですか。」


「はい、終しまい。」

「ありがとうございます。」

「良いのよ。お茶入れるわね。」


「あっあのっ!!!」

「何かしら?」



「・・あの、ヒューズ中・・佐は・・」

「・・・・。」


エドワードは一番恐れていることを聞いた。
エドワードは軍人連続殺人犯ということになっている。
そして今まで集めてきた情報でエドワードが殺したことになっている軍人は全てホムンクルスに関わった人。
あの戦いに加わった人・・・エルリック兄弟に関わった人達なのだ。

そして、少し前に見た復讐に満ちたロイの顔。
それが今エドワードに向けられている。

ロイにそんな顔をさせる原因――
それはマース・ヒューズ以外には考えられなかった。


エドワードは怖かった。
知るのを恐れていた。

でも、知らなければいけないと思った――



「死んだわ。殺されてしまったの。」

「・・・・・だ・・れに?」




「エドワード・エルリック。」




「・・・・っ・・・・・!!!!!!!!!」


やっぱり―――
俺じゃないのに―――


でも・・・確かに原因は俺・・か、



「でも、私は信じてないわ。」



「・・・・・・ぇ・・」


「あなたには無理よ。」

「・・・・っ!!?・・」



「エドワード・エルリック君、なんでしょう?」


作品名:past 前編 作家名:おこた