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金色の双璧 【連続モノ】

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Scene2 39.千日戦争



-1-


 ―――まったくもって、納得がいかん!

 アイオリアはドスドスと地を鳴らすように、大股で自宮をうろついていた。はたから見れば、まるで檻の中で右に左にと行き来する獅子の姿そのものであった。
 仮にこのとき、十二宮の誰かが通り過ぎたとしても、ぶつぶつと独り言を呟きながら、怒気を孕むアイオリアを見て、声をかけようとする者は恐らくいなかっただろう。
 声をかけるものがいるとすれば、そういった人の心の機微を感知しても、まったく意に介さないシャカか、さらに煽るようなことを言って楽しむであろうムウぐらいだ。その他のメンバーはきっと不気味がって誰も声をかけたりはしない。とばっちりを喰らうのは皆避けたいのだ。
 だが、幸いにもこのときは十二宮に詰めていたのが獅子宮から遠く離れた位置にいるシオン教皇とカミュに双子たち、そしてシャカだけであったのだ。誰も八つ当たりされることなくアイオリア以外は平穏な夜を過ごしているようだった。
 当のアイオリアといえば夜間にもかかわらず、夕方起きた『あること』を未だに悶々と思い、その捌け口を求めて壁と戦っていたのである。
 元来、口達者なほうではないアイオリア。
 別段、頭の回転が悪いとかいうわけではなく、本質的には瞬間湯沸かし器のような気性の激しさであることを心得ていたことから、それではいけないと、なるべく相手の言わんとしていることに耳を傾け、その意図を汲み取ろうと努力するようになった。
 その結果、思ったことを言い出す機会を失し、気がつけば上手く言い包められてしまうようになったのだ。その時は「わかった」つもりのアイオリアだが、結局自分の意見など一切聞き入れられず、無視されているという事実が後々になって沸き起こり、やっぱり「納得がいかない」となるわけである。
 そして、今回。
 あまりの衝撃的な突然の申し出によって、完全にアイオリアはショートしてしまったのだ。渦巻く内面の怒りを押さえ込もうと、現在戦っているわけだが、その原因となったのはシャカの一言であった。

作品名:金色の双璧 【連続モノ】 作家名:千珠