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Weird sisters story

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Clotho 6




部屋のドアをくぐれば、そこには先程と寸分違わない格好のままOS開発に勤しむ上官の姿が在った。
「少し休憩なされては」
「あぁ、そうだな…これが終われば」
レイは顔を顰める。
これ、とは即ち、今彼のデスク上にあるMSデータファイルしめて5機分。
ザフト技術開発部門が揃い、3年がかりで開発したそのデータを全て完成させるとなると、どう考えてもあと半年はかかりそうな勢いだ。
諦めたように傍のテーブルにデータディスク、ファイル等を並べる。
資料室から許可を貰い持ってきたものだ。
「っと、レイ」
「これですか?」
聞かれるまでもなく過去のデータサンプルを手に差し出す。
驚いたような顔がそこにはあった。
「…よくわかったな」
「こういう仕事は慣れていますので」
納得したような声を上げて、アスランはそれを受け取った。
カタカタと、キーを叩く音だけが響く中、ふとアスランが思いついたように零した。
「テストパイロットはいるのか?」
MS開発する上で最も微調整の必要な最終段階。それに不可欠なテスト演習の為のパイロットだ。
「専属は今のところ居ません。割り当てますか?」
「そうだな…セカンドステージはどれも個性が強い機体だから…なるべくなら総合的なポテンシャルの持ち主を当てた方が良い」
その方が調整しやすいしな、と続ける。
「では私の方で探してみます」
アスランは言葉ではなく微笑で是と答えた。
パソコンを立ち上げ、規範データを入力する。
それに最も近い人物が一番適しているという事だが。
「……………」
一番上に弾き出された人物に、一瞬心臓が跳ねた。
一度強く唇を引き結び、そしてアスランに向き直った。
「リストアップしますか?」
「いや、最適任者だけのデータでいい。このままではファイル容量が大きすぎて手に追えなくなる」
レイの瞳が自然、細められる。
指はそのデータをディスクに引き下ろし、アスランへと手渡した。
彼はそれを受け取ると今己が使っているパソコンとは別のもので起動させた。
横目でチェックしながらOSのプログラムは止めない。
聊か器用だとレイが感心していると、ふとその指が止まった。
「……………」
「どうしました?」
「…いや、」
なんでもない、と零す。
それでも尚、アスランの瞳はシン・アスカについてのデータを見据えていた。





工廠内では少しばかり騒ぎが起こっていた。
まだ最終フェイズまで程遠かったデータがほぼ完成に近い状態にまでなっており、更に今からテスト演習するという。
アスラン・ザラの想像以上の能率に、チーフを始め整備部門は動揺の色を隠せないままに準備を続けている。
ヨウランは急に渡されたデータをOSに書き写している人物に声をかけた。
「H136からJ56までの配線コード表、知ってるか?」
「そんなの知るわけないじゃん…」
「だよなぁ」
はぁー、と大袈裟に溜息をつくと、目の前の機械から電子音が鳴る。
「あぁっ!ったくもー、また最初からだ」
ヴィーノは彼に似合わず少しばかり苛々したようにキーを叩き続けている。
「お前なに?X23S?」
「…X56S」
「56S!?インパルスじゃねーか!あの超複雑な!」
「そうなんだよぉ……」
涙目で訴えるヴィーノだが、上から下された担当整備は絶対だ。
仕方なく再びOSに取り掛かるヴィーノを憐れんだように嘆いていると、視界の端に格納庫ここでは見慣れない真紅の制服が目に入る。
呆けたようにそれを確かめ、知っている人物だとわかると声を上げた。
「おいシン!どうしたんだお前、こんなとこで……」
だけどその人は厳しい表情で前を睨みつけるように過ぎ去っていく。
こちらの声も届いてないようだ。
「なんだ…アイツ」
「珍しいね。シンが一人でココに来るなんてさ」
「そうだな…大抵レイにくっ付いてるもんな…」
「…にしても」
「あの方向って…」
二人は同時に顔を見合わせて、そして声を揃えた。
「「テストパイロットっ!?」」





「シン・アスカ、出頭致しました」
「あぁ、来たか。急に呼び出して済まなかった。俺はこのSシリーズの」
「言わなくたって知ってますよ、アスラン・ザラ」
一度、きょとん、とした顔になる。
対してシンはあからさまに睨んでいた。
そんな様子にアスランは差し出そうとしていた右手を止めた。
どうせ握り返してはくれないだろう。
しかしいくら急に呼び出したからと行って、そこまで怒る理由がわからないのだが。
「じゃあ早速だがこれから演習に入ってもらう。そこの…」
「レイは、」
「…は?」
「レイは、何処にいるんですか」
「レイ…?」
ギュッと拳を握り締め、泣きそうな程真剣に問いかけてくる。
その様に面食らいつつも口を開く。
「レイは今、パナマ交戦のミーティング中だが」
「……そ、ですか」
彼は肩の荷が下りたようにそっと息をついた。
その瞳には先程よりもどこか寂しさが滲んでいて。
顔を上げてアスランの正面を見据えた。
「失礼致しました。早く始めましょう。指示を…お願いします」
アスランはその瞳の色を、ただぼんやりと見つめていた。


作品名:Weird sisters story 作家名:ハゼロ