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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第10部

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045話 ダブルデートと思い出作りと男の子





「わぁぁ!すごいすごい!!ねぇユーノくん、最初あれに乗ろう?」

「ちょっと なのは!はしゃぎすぎだよ!!」




「あ…えっと…アンク、どうしたの…かな?」



「…どうしてこうなったぁ…」



ここは海鳴市から少し離れたところにあるかなり大規模な海沿いの遊園地。
その規模は某ネズミ王国と1、2を争う大きさである。
今日は日曜日なので親子や友達、カップルなど…とにかく人で溢れていた。

もちろんアンクはこの誘いに反対したが、フェイトが泣きそうになり、その場にいた全員から反発、おまけにアイス禁止令が発行されそうになり、渋々フェイトの誘いを承諾した。


ちなみにあとの2枚はエイミィからの提案で なのは とユーノの二人に渡された。
…本人曰く、「もう見てられない!!アンク、なんとかして!!」…とのことらしい。


(全く、こういう場所は好きになれねぇってのに…)


アンクは不機嫌だった。…と、いうのも事実上、強制参加だったので本人は全くといって乗り気ではなかったのである。


「ねぇアンク、最初なにしようか?」

「あぁ?…て、おい」

「ん?なに、アンク」

「なに?…じゃねぇよ。この手はなんだ?」


いつのまにかフェイトはアンクの手を握って歩いていた。
…第三者からみればカップル…と、いうより年の離れた兄妹である。


「おい、邪魔だから離せ」

「だ、だめだよ!!……思い出作りなんだから…」

「ん?最後なんて言ったんだ?」

「別に…なんでもない…」


アンクは仕方なく、そのままフェイトと手を繋ぎながら歩くことにした。
ちなみに なのは とユーノはいつのまにか手を繋ぎ、なのは はユーノを強引に引っ張り色々なアトラクションを見ながら走りまわっていた。


「ふふっ!なのは楽しそう!」

「あぁ…(だが、そんなことより…)」


アンクはじっと二人を観察した。
次第にその表情は硬くなっていく…。


(あのガキ共…本当にお互いを求める『欲望』が全くみえないなぁ…。あのフェレット、おそらくだがこの先色々と苦労する人生が待っているだろうな)


そんな中、4人はこの遊園地で最大のアトラクションであるジェットコースターの前に立っていた。
標高数百メートルの高さを誇り、過激度はかなり高いであろう。
4人は列に並び、数十分たった頃、ようやく自分達の順番が回ってきた。

なのは とユーノはジェットコースターの一番前に座り、フェイトとアンクはその後ろの席に座った。


「にゃはは!ユーノくん楽しみだね!!」

「…なのは…怖くないの?」

「え、なんで?…もしかしてユーノくん…」

「ッ!!?ち、違うよ!!それはない!!」




「ア…アンク…やっぱり…降りない…かな?」

「あぁ!?お前ビビってんのか!?…てかお前ら戦闘時はいっつも空飛んでるだろうがッ!!」

「あ、あれとこれは別!…うぅぅ…」


フェイトは予想以上に怖かったらしく、恐怖心のあまりアンクの手を握った。
アンクは離そうとしたが、その握られた手の握力が凄まじくフェイト自身も必死だったため
仕方なく握られたままにした。


「ったく、しょうがないガキだな…」

「…ご、ごめんねアンク。ありが……ッ!!!!」


その瞬間!
ジェットコースターは勢いよく発進した!!

まさか最初からいきなり全力で出るなんて誰もが予想していなく、そのジェットコースターに乗っていた者達の悲鳴が遊園地中に響いた。

ジェットコースターは勢いよく坂を駆け上がり、そのままさらにスピードを上げ急降下し、上下左右反対になったり、グルグルまわったり…と、てんやわんやだった。


「きゃぁぁぁ!!すっごぉぉぉぉいッ!!!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!!!」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!助けて!!いやぁ!!!!止めてぇぇッ!!!!アンクぅぅぅぅッ!!!!」

「おいガキッ!!!!うっせぇぞ!!てか握力強すぎだ!!それにそのセリフ止めろぉッ!!!!」


そんな事が続き、やっとジェットコースターは発射位置へと戻った。

なのは は、なにかすっきりしたような笑顔でその場から去り、ユーノとフェイトはぐったりした表情でそれに続き、アンクはすこぶる不機嫌でその後に続いた。









………


「じゃあ次はあれ!皆、早く行こう!!」

「なのは…あれって…」

「うん!お化け屋敷!!」


なのは が指差した先にあったのは、かなり本格的に作られたお化け屋敷だった。
出口から何人も泣きながら出てくる人達が見えたため、その恐ろしさはトップレベル級らしい。


「え~っと…2人一組なんだね。ユーノくん、一緒に行こう!!」

「えっちょっ…な、なのは!ま、まだ……」


なのは は強引にユーノを連れてそのお化け屋敷に入っていった。
少し時間が経った頃、ようやくフェイトとアンクの順番がまわってきた。






「ねぇアンク、お化け屋敷って何?」

「あ?お前、知らないで入ったのか!?」

「うん、でも面白そうだったし、ねぇアンク。そもそも何が怖いの?」

「あぁ…そうだな…」


アンクは誰もいない事を見計らい、フェイトの目の前でグリード態に変身した。


『こういうのがお前たち人間を驚かすんだよ』

「え?アンクは怖くないよ」

『いや…そういう意味じゃねぇよ…』


その時、フェイトの目の前に白い着物を着て前髪を垂らした女が現れた!
その女は身体の所々から血が滲み出て見ている側が痛々しかった。

アンクは瞬時に人間態へと戻り、自分の正体を隠した。


「おぉ、意外にリアルじゃねぇか…ん?ガキ、どうした?」





「あぁ…た、大変!アンク、すぐに救急車呼んで!!」

「お、おいガキ…」

「バルディッシュ!壁突き破ってすぐここから脱出しよう!!」
『Yes, sir』

「おい、ちょっと待て!」

「サンダー…」

「待てって言ってるだろうがぁ!!!!」






「レイジィッ!!!!!!!!」











………



「もうお前とは絶対お化け屋敷に入らねぇからな!!!!」

「ご、ごめんなさい…」


あのあと、フェイトから放たれたサンダーレイジをアンクが庇い、なんとか大損害になることだけは防げた。もちろんそこの管理人達に二人はこっぴどく叱られてしまった。

二人はそこから少し離れたベンチに座っていた。
そんな中、遠くに見覚えのある2人の人影が見えた。

なのは とユーノだ。


「ふ…ふぇ…、ユーノくん…怖かったよ…」

「なのは…もう外だよ。大丈夫、僕がいるから」

「ほ…本当に?」

「うん、なのは が落ち着くまでずっとそばにいるから」

「うん…ありがとう」

「それにしても、フェイトとアンクさんどこ行っちゃったんだろう?」












「おい、行くぞガキ」

「え、でもあの二人私達のこと探しているよ?」

「あれでいぃんだよ、ほら、行くぞ」

「…?う、うん」








そのままアンクとフェイトは二人で行動を始めた。