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のび太のBIOHAZARD『ENDLESS FEAR』

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AREA10『幹部』


カマドウマの生物兵器の死体の傍にいる真理奈に巌は言う。
「やったな、真理奈」
 巌がそう言うと、真理奈が言う。
「いやぁ、ちょっと運が良かっただけだって」
 真理奈がそう言ったがのび太が言う。
「いや、あの機転は凄いよ」
 のび太がそう言うと、どこからともなく声が聞こえてきた。
「あの『センシティブ』をこうも簡単に撃破するとはな。どうやら、お前を過小評価し過ぎていたようだ」
 その声は部屋の奥から聞こえてきた。その声の主は、部屋の奥に何時の間にかいた。
「誰だ!」
 巌がそう言いながら、その人物に『ブローニングHP』を向けた。すると、その人物は、余裕たっぷりの態度で、言う。
「そんな物騒な物を簡単に向けないでくれよ。まぁいい。自己紹介が遅れたな。俺の名は、狩谷信彦だ」
 狩谷信彦と名乗ったその人物は、銃を向けられているにも関わらず、表情一つ変えずにそう言った。すると、巌が言う。
「此処にいるって事は、ナムオアダフモ機関の幹部クラスの奴だな。銃を向けられているのに、余裕たっぷりな態度をしているのがいい証拠だ」
 巌がそう言うと、狩谷は言う。
「だとしたら?」
 狩谷がそう言うと、巌は言う。
「お前達の目的は何だ! 何の為にバイオハザードを起こした!」
 巌がそう叫ぶと、狩谷は応える。
「それは言えんな。企業秘密だ」
 狩谷がそう言うと、巌が言う。
「ふざけている場合か?」
 巌がそう言うと、狩谷は言う。
「まだ解っていないのか? 現在優位に立っているのは我々の方だ。素直に引いた方が身の為だぞ」
 狩谷がそう言うと、巌が言う。
「それで脅しのつもりか? それともギャグか? 全く笑えんがな」
 巌がそう言ったが、狩谷は表情一つ変えずに言う。
「ただの事実さ。それにお前達にこう言っているのは参謀長官の意思ではない、この俺の優しささ。このまま進めば、お前たちは死ぬ事になるぞ」
 狩谷がそう言うと、巌は言う。
「俺はそんなに聞き分けがよくないんでね」
 巌がそう言うと、狩谷は言う。
「ふん、そうか……」
 狩谷は後ろを向きながらそう言った。すると、近くにあった長テーブルを巌達に向かって蹴り飛ばした。巌はジャンプして、飛んでくる長テーブルを避け、のび太はしゃがんで、飛んでくる長テーブルを避けた。すると、狩谷は、織恵に急接近し、織恵を蹴り飛ばした。
「うわっ!」
 織恵は数メートル吹っ飛ばされ、壁に激突した。すると、巌は、狩谷に向けて、『ブローニングHP』を数発撃った。しかし、狩谷はいとも簡単に、飛んでくる銃弾を避けた。そして、巌に急接近し、右手で巌の銃を持っている手を掴み、左手で銃を叩き落した。そして、右肘で、巌の胸部を攻撃した。その衝撃で、巌は吹っ飛ばされた。
「ぐっ!」
 巌は軽く声を挙げ、長テーブルが並んでいる所に吹っ飛ばされた。のび太は、狩谷が攻撃した隙に銃撃したが、それさえも避けられた。狩谷はのび太に攻撃すると思われたが、今度は側宙で真理奈の方に接近し、真理奈を蹴り飛ばした。
「真理奈ちゃん!」
 のび太はそう叫び、更に銃撃したが、銃弾は全て避けられた。すると、狩谷はのび太に言う。
「遂に、お前一人になったな。ドラ様が一目置くお前の実力を見せてもらおうか」
 狩谷はそう言うと、のび太に向かって行った。のび太は、走って向かってくる狩谷にハンドガンを連射した。狙いは的確だったが、弾丸は全て避けられた。やがて、狩谷はのび太のすぐ目の前まで来た。そして、のび太の頭部に左フックを仕掛ける。のび太は、その攻撃を、頭を低くして避けた。狩谷は続いて、
のび太にキックを放った。のび太はその攻撃を、左方向に前転回避を行って避けた。のび太はなんとか攻撃を避け、体勢を立て直し、再び銃撃した。狩谷はのび太の銃撃を潜り抜け、のび太に肘打ちを仕掛けた。のび太は、軽くバックステップをしつつ、銃撃をした。狩谷は頭を反らし、弾丸を避けようとしたが、弾丸は右肩に掠った。しかし、狩谷はすかさず左手でのび太に殴りかかってきた。のび太は、右手で何とかガードしたが、右手に持っていた『ベレッタM92FS』を叩き落された。そして、数メートル飛ばされた。その瞬間にのび太は、左腿のホルスターに掛けてある『ベレッタM92FS』を左手で取り出し、狩谷の左腕に向かって発砲した。弾丸は、見事に命中し、弾丸が命中した狩谷は怯んだ。
のび太は、着地して体勢を整え、左手に装備していた、『ベレッタM92FS』を3連射した。3つの弾丸は全て、怯んでいる狩谷の左腕に命中した。
「へえ、中々やるな。流石はドラ様の眼鏡にかなうだけの事はある」
 狩谷はそう言った。弾丸が4発命中しているにも拘(かかわ)らず、狩谷は、先程とほぼ同じ語調だった。
「…お前達はドラえもんの結成した部隊なのか?」
 のび太が狩谷にそう訊いた。すると、狩谷は応える。
「まぁな、第三特殊部隊、別称、『特殊精鋭部隊』だ。第一特殊部隊と第二特殊部隊の雑魚共とは一緒にするなよ」
 狩谷はそう言った。すると、のび太は言う。
「『ナムオアダフモ機関』で研究しているヴァリアントウィルスとは何だ?『特殊精鋭部隊』と関係があるのか?」
 のび太がそう言うと、狩谷は言う。
「V-ウィルスを知ってるか。どこまで知ってるかは解らんが、大した情報収集能力だ」
 狩谷がそう言うと、突然何かのコール音が鳴り響いた。すると、狩谷は、懐から通信機を取り出し、耳につけた。そして話し出した。
「狩谷だがどうした?…………ああ、ちょっとした前戯だ。そう怒るな。………判った。今戻る」
 狩谷は誰かと電話しているようだが、のび太には、電話口からの声が聞こえないので、話が途切れ途切れにしか聞こえなかった。やがて、狩谷は通話を切り、のび太に言う。
「どうやら、上からの呼び出しのようだ。遊びは終わりだな」
 狩谷がそう言うと、狩谷は突然のび太の目の前から消えた。のび太はもしやと思い、扉の方を振り向いた。すると、扉が開いていた。
「……逃げられたか」
 のび太はそう呟いた。すると、どこからか声がした。
「何とか凌いだのか?」
 声のする方を見ると、巌が立ち上がっていた。どうやら、のび太に話しかけたのは巌だったようだ。
「ええ、逃げられましたけど」
 のび太はそう返事した。すると巌は言う。
「生きてただけましさ。しかし、俺とした事がしくじっちまったな」
 巌はそう言った。すると、のび太が言う。
「あ、真理奈ちゃんと渡井さんは大丈夫かな?!」
 のび太がそう言うと、巌が織恵の傍に駆け寄り、のび太は真理奈の傍に駆け寄った。二人とも特に目立った外傷は無く、大事には至らなかった。
「良かった、みんな無事で」
 のび太がそう呟いた。すると、巌が言う。
「しかし、のび太よくあのスピードに反応できたな」
 巌がそう言うと、のび太は応える。
「いや、夢中だっただけですよ。完全に反応できた訳じゃありませんでしたし」
 のび太はそう言った。すると、『最高会議室』にある唯一つの扉から、数人の人が入ってきた。
「お、のび太じゃねぇか。無事だったかよ?」
 そう言ったのはジャイアンだった。ジャイアンの他に、スネ夫と迅と聖奈と燐と玲もいた。
「皆そろってどうしたの?」