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FORCE of LOVE

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Prologue(豪炎寺)


 世界を救う、なんて銘打たれた短く厳しい戦いを終えた後、地上最強のストライカーと称えられた俺達は酷くすんなりと別れて、それぞれの戻るべき場所へと帰っていった。さようならさえろくに交わしはせず、あいつはただ曖昧に、また、とだけ言い残して背を向け、俺も引き留めることはせずそれを見送って。本当は言いたいこともやりたいこともまだまだたくさんあったのだけれど、有無を言わさぬあいつの態度に、ぼんやりと、しかし張り裂けそうな激しい寂しさだけが残って、一人で勝手に、置き去りにされた気分になった。
 周囲からは、仲間なんだからいつまでも心は繋がっているだなんて慰められたが、正直なところ俺はもうあいつを友人だなんて思ってはいなくて、近くに置いて同じことをしてサッカーをして笑わせて触れられなければ満足できないと感じる程、その認識はいつしか人には言えないくすんだものに変わっていた。それはあまりに下世話な感情なので俺は最後まであいつに押し付けることが出来ず、伝えることも、気付かれることもなく胸の内に募りに積もって、遂には爆発し、何かが切れて抑えのきかなくなった俺は公衆電話という旧時代の遺物にありったけの小銭をぶち込んでボタンを叩いた。
『…あれ、豪炎寺くん』
 俺の切迫した感情には全く不釣り合いだった吹雪の声は、未だに耳の中に籠っているかのように思い出され、それより鮮明に覚えているのは、長い沈黙と響く吐息と、勢いだけで口走った俺の言葉。
『なんだか妙に声が遠いね』
「…東京と北海道だからな」
『…そっか』
「元気、か」
『元気だよ。まあこっちは大雪だけどね』
「雪か」
『うん、毎日降り通しだよ』
「…なあ、吹雪」
『うん』
「いつになったら」
『うん?』
「いつになったらまたお前とサッカー出来る」
 叩き切るように受話器が置かれた。二年前の、高校一年の冬のことだ。
 嫌われたかと怯えていた俺に吹雪が嬉しそうな声で『携帯買った。豪炎寺くんも買ってよ』と電話を掛けてきたのはそれから三日後のことである。