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『仮面ライダーW』-Another Memory-

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Episode:4『別れ』







【「【ジョーカーエクストリーム】」】

マスカレイド・ドーパントが際限なく現れる空間へと、マキシマムドライブを叩き込んだ結果、爆発と共にマスカレイド・ドーパントは出現しなくなった。

その後、残りのマスカレイド・ドーパントを瞬殺した速人は、遠巻きに見ていた数人の野次馬がこちらへ来る前に、牛丼屋のビルに飛び上がり、幾つかのビルを跨いでから変身を解除していた。





「さあ、落ち着いた所で幾つか聞かせて貰えるか?」

何故、テレビの中でしか存在しない"本物"のドーパントが出てきたのか。
何故、奴等は実体を持っているのに、仮面ライダーWに限っては、メモリやドライバー等のアイテムのみで、翔太郎やフリップは意識体の様な存在でしか無いのか。

奴等の目的は?
今後も出現するのか?
今後の翔太郎やフリップは?

疑問は山ほどある。

【あーそうだな…、何から話したら良いやら】

【君は何が聞きたい?】

翔太郎がどうした物か…と思案していると、フリップが逆に速人に質問をしてきた。

「まず…、二人の事を知りたい。翔太郎もフリップも、何で精神体の様な存在なんだ?どうして俺に、仮面ライダーの力を与えてくれるんだ?」

速人は不思議だった。
二人の事は闘う前にも少しだけ聞いていたが。

(二人はコピー情報生命体…だったか?たしか一時…とも言っていた筈だ。それの意味が今一理解出来ない)

【ふむ、さっきも言った通り、僕と翔太郎は本人のコピー、つまり本来は存在しない情報の生命体だ。その為、役目が終れば消える運命にある。それは解るかい?】

「………解る。でもどうしてそんなややこしくて遠回りな事をしてるんだ?本体が来れない理由があるのか?」

本当は二人はそれで良いのか?
消えると解っているけど納得してるのか?

とも聞きたいが、それは二人の問題であって、速人から先に問うことではない。
基本速人は善人であるが、あえて他人の事情にまで首を突っ込む程おせっかいでも無かった。

【そりゃ普通そんな簡単に次元の壁なんか超えられねぇよ。俺達は、財団Xが開発した次元を超える装置を何とか手に入れて、一度は壁に飛び込んだんだが、結果は見ての通りさ】

【翔太郎の言葉に補足を入れるけど、"見ての通りさ"の部分はね、僕達の本体は弾き出されて超える事は叶わなかったが、その時にWの各ガイヤメモリ、ダブルドライバー、そして僕達のアストラル情報体が"コピー"されて次元を超えたんだ】

「えっ?」

(ちょっとまて、翔太郎やフリップだけでなく、各ガイヤメモリもコピーなのか?)

【君の不安も解るよ。だが安心してくれたまえ。コピーとは言っても、僕達情報生命体の様に不安定な代物じゃない。それは向こうの僕とも検証済みさ。ここにある物は全て本物と同一の物として安定している】

【フリップはある事情で、向こうの世界に残った自分と話が出来るからな】

(それは解る。ある事情って言うのは、恐らくフリップが元々…)

【おぉっと、そこまでだ。その事情を知っているなら…皆まで言わなくても、解るだろ?】

【翔太郎、家族の事は僕はもうそれほど気にはしていないから大丈夫だって、何回も言ってるだろ?しかし、彼の記憶はとても面白い。架空として描かれてるこちらの世界の僕達と、こんなにも符合する点が多いとはね。更に言うならば、彼の記憶に残されている多種に渡る仮面ライダー達は…】

「まあ、それについては今後調べるとして、次の質問をして良いか?」

フィリップの考察が止まらなくなりそうだ。
速人はタイミングを間違えずに話を変えた。

【おぉ!お前意外とフリップの扱いに長けてるな。俺でも無理なのに】

それは翔太郎がダメなだけか、そう言う仕様なんじゃないか?
と思ったが、口に出さない。

【そうそう、翔太郎がダメなだけさ】

【以外に黒いなお前】

ああ、思っただけでも駄目なんだっけ。
速人は反省する。

「そ、それより、今後ドーパント達はまた現れるのか?そして、奴らの目的はなんだんだ?」

話が変な方向へ行きそうなので、慌てて次の質問をする。

【まあ、それに付いては俺等も今一わかんね】

【まだキワードが不足しているからね】

「それじゃ別の質問、二人は何時までいれる?」

【……】
【……、すまん。多分もうリミットだ】

(え?)

フィリップが沈黙し、翔太郎の済まなそうな思考が伝わってくる。

【速人を巻き込んじまってワリィと思ってる。だけど、多分Wの力を使えるのは速人だけだ。こっちきて一週間探しまわってそれが解った】

【僕達に残された時間は後一分。最後に言うよ?君は仮面ライダーWだ】

フィリップの言葉で全てが分かる俺は………。

「解った。何処まででき……いや、この世界を荒らすものは俺が打ち倒す」

【へっ、そう言うと思ったぜ。色々とまだ教えたい事はあるが、後は任せたぜ!相棒】
【そうだね。もしまた来れる可能性があるのなら、その時は必ず来るよ、あ・い・ぼ・う】

それを最後に、翔太郎とフィリップの存在を感じられ無くなった。