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IS  バニシングトルーパー 003-004

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stage-3.5 罰ゲーム




 「ふっ……すっきりしたぜ。サンキューな、クリス」
 髪の毛を拭きながら、タオル一枚の姿で一夏はシャワー室から出て、部屋の主――クリスに礼を言った。
 「構わんよ。女子と一緒の部屋だと、いろいろ不便だろう。シャワーくらい何時でも貸すよ」
 ベッドの上で横臥して、ノートパソコンを覗いてたクリスが振り返って返事をした。
 部屋を見回すと、隅の方には数個未開封のダンボールが積まれているが、他のスペースはお菓子とDVDの箱で埋め尽くされていた。
 「お菓子は好きに食べていいぞ。だが机の上のプリントは見るな」
 「プリント?」
 「ハースタル機関への報告書だ。一応仕事だから、報告書を書く義務がある」
 「何を報告するの?」
 学園生活を一々報告する必要があるのか、と一夏の頭に疑問が浮かべた。
 「たとえば、二日前セシリアと戦った経緯とか、ブルー・ティアーズの戦闘能力評価とか、エクスバインの使用経緯とか」
 「へえ~ていうか、何時からオルコットのこと、名前で呼ぶようになったの?」
 「昨日だよ。向こうからそう呼んで欲しいと言ってきたのでな。まあ俺としては構わんが」
 「昨日も今日も、朝一緒に食堂に来たのだろう。休み時間もよく一緒に居るし、もしかして付き合ってるじゃないかって、本音たちが言ってたぜ?」
 「それはないな。俺は金髪女が苦手だ」
 「そうなの?」
 「ああ、因みに俺の好みは黒長髪だ。さらに黒ストッキング着用ならパラダイスだ」
 「…拘っているな」
 「当たり前だ」

 「しかし、羨ましいよ、個室の部屋なんて。何で俺をこの部屋にしなかったのだろう」
 新しいTシャツを着替えながら、一夏が愚痴を零した。
 「ここは予備の教員泊まり用部屋だ。なるべく生徒に使わせたくなかっただろう」
 「そうか?男女を一つの部屋にするよりマシだと思うが」
 「相手は篠ノ之だろう?幼馴染だから、やり易いだろう」
 「何を馬鹿な。毎日叩かれるか、怒られるかの二択だぜ」
 「やれやれ。女の扱いなっていないな」
 
 「くそっ!俺もこの部屋に住みたいぜ~!」
 クリスの隣ベッドにダイブして、日ごろの憂さを晴らすように大声で叫ぶ一夏。だがそんな一夏に、クリスは真実を突きつけた。
 「……知ってた?対向の部屋に住んでるのは織斑先生だぞ」
 「げっ、マジで?」
 「ああ、先日夜更をしてたら、怒られたよ」
 「……それなら箒の方がまたマシか」
 「そういうことだ、一夏」
 一夏の肩を叩いて、ジュースを手元に置く。やれやれと、身を起こしてジュースを開封する一夏を見て、クリスが聞いてきた。
 「そう言えば、練習の方はどうなんだ」
 「……剣道しかやってねえよ。本当にそれでいいのか不安だぜ」
 「なに、セシリアは接近戦が弱い。間合いに入ったら勝機は十分にある」
 「……入ったらな。というか専用機を用意するとか言って、未だに届かないとかどうよ」
 「そればかりは仕方ないよ。愚痴るより練習しろ」
 「わかってる。あと二日しかないけど、精一杯やってやるさ」
 「おっ、頑張れ。因みに俺は日曜日に最近評判の中華屋に行く予定だ」
 「貴様!!」

 一夏がクリスに襲い掛かろうとしている時に、ドアをノックする声が聞こえた。
 「はい~」
 ベッドから起きて、クリスがドアのノブに手をかけた。
 「こんばんわですわ、クリスさん」
 そこに立っていたのは、金髪お嬢様、セシリア・オルコットだった。
 「ああ、セシリアか。何か用か?」
 「あっ、はい。その、もう夕食の時間ですので、お誘いにきましたわ」
 微笑んだ顔を赤く染めて、潤いのある青い瞳でセシリアがクリスを見据えた。
 「そうか、もうこんな時間か」
 クリスが携帯で時間を確認する。確かに晩飯の時間だった。
 「お前はどうする?」
 振り返って、クリスは部屋の中にいる一夏に問いだ。
 「あら、織斑さん、いらしゃったの」
 セシリアが部屋の中を覗いた。
 「ああ、こんばんわ。俺は部屋に戻るよ。夕食お前らでいってくれ」
 服装を整えた一夏も部屋の中から出てきた。
 「そうか。じゃセシリア、行こうか」
 「はい!」
 嬉しそうに、セシリアの顔に笑みが咲いた。

 「織斑さんは二人で何を話してらしゃったのですか?」
 食堂へ道で、セシリアがクリスに聞いてきた。
 「うん……セシリアを完膚なく倒す方法、かな?」
 頭を傾いて、意地悪そうな笑みで見つめてくるクリスに、セシリアは思わず胸にきゅっと来た。
 「も、もう~!クリスさんは意地悪ですわね。でもわたくしも何時までもクリスさんに負けたままで居るつもりありませんわよ。クラス代表選出戦では、雪辱させて頂きますわ」
 「ほう……数日の練習で俺に勝つつもりか?本番のとき、俺も一夏も専用機を使うぞ」
 「それでも、負けませんわよ!」
 セシリアの自信が満ちた言葉は、もう先日のような傲慢さを感じない。それを気付いたクリスの頭の中に、一つ邪悪な考えを浮かべた。
 
 「なら、もしセシリアが負けたら、バニーガールの服を着てもらおうか」
 「はい?!」
 セシリアが驚きの声を上げる。
 「バニーガールだよ。知らないの?ほら、あのウサギ耳の……」
 「知ってますわよ!何でバニーガールですの?ま、まさかクリスさんはその……」
 セシリアが立ち止って、上目遣いでクリスを見上げた。
 「クリスさんはその……バニーガールが、す、好きですの?」
 「うん」
 「肯定しましたわ!」
 「じゃ、そういうことで。早く食堂行こう、飯を喰って部屋に戻って早く服を注文しないと」
 「ま、待ってください!」
 早足で食堂へ向おうとしているクリスを、セシリアが慌てて呼び止めた。
 「なに?」
 「わ、わたくしにだけ罰ゲームだなんて、不公平ですわ!」
 「なぜ?どうせお前は負けないだろう?」
 「そ、それはそうですが、バ、バニーガールはさすがに……もう~!クリスさんは意地悪です!わたくしに罰ゲームがあるなら、クリスさんにも何かを賭けてくださいまし!」
 「俺が?そうだな……もしセシリアが俺に勝ったら、美味しい店の料理を奢ってやる、というのはどうだ?」
 「それ、本当ですの?!」
 クリスの言葉に反応して、もの凄い勢いでクリスを迫ってきたセシリアは、歓喜のあまりに声が震えていた。
 「あっ、ああ。本当だよ。勝てたらね」
 セシリアの勢いで思わず後ろへ下げてしまったクリスは、自分の条件を強調した。
 「はい!約束ですわよ!」
 キラキラした目で、嬉しそうに笑うセシリアだった。