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ベン・トー~if story~ vol.3

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11部 告げられる想い


旅行2日目。
俺達は朝食を終えて再び街に出ていた。
「今日の目的地はまずは金閣寺と銀閣寺ね」
鈴村が言って俺達はまず金閣寺へ向かう。
金閣に到着して見学を一通り済ませた後、銀閣にも向かってそちらの見学も済ませた。
その後、女子達が和菓子屋を見つけたので一旦休憩することにした。俺は団子とお茶を頼む。
「あ…これ、美味しい!」
「これも美味しいわ。茜、食べっこしようよ」
「いいよ。夕美のはどう?」
「これも美味しいよ」
女子達がキャッキャと話している。ほんと女子って甘いものが好きだよな。
「先輩も甘いもの好きなのかな…?」
知らず、口に出してしまっていた。
「彼女のこと、考えてんのか?」
それを藤澤に聞かれていたようで、そのようなことを言ってきた。
「ん、まぁな。お土産も買わなきゃいけないし」
「ったく、彼女持ちはいいねほんと。そういうことで悩めてさ」
「だからいつも言ってるだろ。お前も早く彼女作ればいいって」
恋愛には意外と奥手なんだよな。言い寄ってくる女子は沢山いるってのに。
「簡単に言うなよ。そりゃ可愛い娘も言い寄ってくる。けどな、簡単に選んで飽きたら捨てるみたいな取っ替え引っ替えが出来るわけないだろ」
「まぁな。それは相手にも失礼だ」
そして誠実な面もある。選ばれた女子は幸せにしてもらえるだろう。
「それに俺にだって…」
藤澤が言いかけたところで、女子が行くよと声をかけてきた。俺たちは立ち上がって後に続く。藤澤に何を言いかけたか聞いたが、結局教えてくれなかった。
次に向かったのは京都タワーだ。展望台に上り、望遠鏡を使うなどしてそれぞれに京都の風景を楽しんだ。
たっぷり見た後、一階でお土産選びをした。俺は家と先輩にお菓子を買うことにした。先輩にメールしたところ八つ橋でもいいと返ってきたので季節限定の八つ橋と普通の八つ橋を購入した。それからご飯に合いそうな漬物はないかと来たのでそれもついでに買っておいた。
そして京都駅内で軽く昼食を済ませてから向かったのは時代劇村だった。
時代劇村ではある程度纏まって見て回ってコスプレ衣装を着たあと、自由行動とすることに決まった。
「ちょ、藤澤君。そ、そのちょんまげ…!」
「な、何だよ。何かおかしいかよ!?」
「そ、そうじゃなくて…ふふ、あんまり似合ってるから…!」
鈴村だけでなく稲村まで笑うくらいだ。藤澤のちょんまげは俺から見てもかなり似合っていた。
「藤澤、ほんと似合ってるぞ」
「そ、そうか…」
と、そんな風に話してると倉敷が声をかけてきた。
「藤島君…ど、どうかな?」
倉敷は他の二人と同様に着物を着用していた。風流な華の模様をあしらってある。
「ああ、似合ってるよ」
「ほ、ほんと?」
「嘘言ってどうするんだよ」
「だよね。あ、ふ、藤島君のも似合ってるよ」
「そうか?ありがとう」
ちなみに俺の格好はといえば新撰組。藤澤は武士の格好だ。
「さてさて、じゃあここからは自由行動ね」
鈴村が場を仕切って言う。
「とりあえずは1時間後にここに集合ね。夕美、藤澤君、行くわよ」
「って、またこの組み合わせかよ!」
ツッコミを入れながら藤澤は女子二人と行ってしまった。またしても俺と倉敷の二人組になる。
「行っちゃったな…」
「う、うん…」
「俺たちも行くか」
「そうしよう」
俺達は歩きながら様々な店を見て回った。
しばらく歩いた後、休憩がてらちょっとした広場に行って椅子に腰かける。
「疲れたか?」
「ううん、大丈夫」
「……」
「……」
しばらく沈黙が続く。やがて倉敷が口を開いた。
「あ、あのね。藤島君…」
「ん?」
「藤島君ってさ、その…好きな人とか、いる?」
「好きな人?」
「うん。それか気になる人とか」
「んー、いるよ」
「えっ、そうなの?」
「うん。けど急にどうしたんだ?」
「あ、あー…えっとね」
少し間を開けた後、コホンと1つ咳払いをしてから倉敷は口を開いた。
「私ね…。…………えっと、………その…」
「………」
1つ、大きく息を吸って、
「…好きです、藤島君。付き合ってください」
倉敷は俺にそう告げた。
「…え?好き?倉敷が、俺を…?」
あまりに突然で混乱してしまった。今まで友達としてしか見ていなかった彼女から、まさかこんな言葉を聞くことになるなんて。
「うん。大好き」
「い、いつからなんだ?」
「意識しだしたのは先々月くらいから。その前から少しずつ気になりだしてたよ」
「そう、か」
先々月といえば俺が槍水先輩と付き合い始めた頃だ。
「初めてだった。誰かをこんなに好きになるなんて。だから自分でも戸惑って、とりあえず今のままを維持しようって頑張ってたの」
「……」
俺は…、
「あ、あのね、すぐに答えは…」
「倉敷」
「え?」
俺はこの子に残酷な宣告をしなくちゃいけない。
「告白してくれたのは嬉しい。だけど…」
「え?……っ!」
気付いてしまったみたいだ。
「俺は…」
「言わないで!」
「……」
「もう、わかったから」
「倉敷…」
「好きな人、別にいるんでしょ?」
「ああ。…っていうかもう、その人とは付き合ってるんだ」
「……」
「……」
沈黙が流れる。空気とはこんなにも重かっただろうか。
「…そっかぁ。残念だなぁ。せっかく好きになれる人が見つかったのに」
「倉敷…その、ごめん」
「謝らないでよ。余計、惨めに…なっちゃう、じゃない…」
そう言う倉敷の眼からは大粒の涙が溢れていた。
「……」
「ひっく…えぐ…うぅ…うわぁぁぁん!」
そしてそのまま泣き出した。周りの人達は俺達を何事かと見ながら通り過ぎていく。
そんな時、鈴村達が偶然にやってきた。
「藤島君!弥生に何したの!?」
「い、いや俺は…」
「弥生ちゃん、大丈夫?」
稲村が倉敷をなだめる。鈴村は俺にずいっと近寄って訊いてきた。
「……」
「……」
黙る俺を鈴村が睨み付けてくる。
「藤島、ちょっとあっちに見たいもんがあるんだけど」
「え?うわっ!」
突然藤澤がそう言い出したかと思えば、俺達の言葉を待たず俺を引っ張って適当な場所へ連れていく。
俺は引かれるまま藤澤についていった。

「何かあったんだろ?」
「あ、ああ。よく気付いたな」
「そりゃな。あの明るくて活発な倉敷がそうそう泣くとは考えられねぇからな」
「そうか、そうだよな…」
「で、何があったんだよ?」
「実は…」
俺は倉敷に告白されたことを話した。
「なるほど、倉敷がねぇ。おい、藤島」
「ん?ぶべっ!?」
藤澤の方を向くと同時、頬を殴られた。
「何すんだよ!」
「いやぁ、世界って不平等だなと思って」
「痛ってぇ…割と本気だったろ」
「まぁな。それと、ちょっとばっか嫉妬の分も入ってる」
「嫉妬?」
訳がわからなかった。
「何で嫉妬すんだよ?」
「お前、倉敷に好かれてたんだろ?」
「ああ。って、まさか?」
「そうだ。俺は倉敷が気になってた」
「お前にそんな相手は当分出来そうにないと思ってたんだけどな。いつからだよ?」
「こっちの台詞だ、バカ野郎。入学してから倉敷ってさ、ちょくちょく俺らに絡んで来ただろ?あいつ自身はお前が目当てだったんだろうけど、俺も倉敷と話すうちにあいつのことが気になり出したんだ」
「そして気付いたら好きになってたってことか」
作品名:ベン・トー~if story~ vol.3 作家名:Dakuto