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Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~

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Episode5.凄乃皇



「どうにかG元素を貴方たちの機体に流用できそうよ」

「本当か!?」

 これで唯一懸念していた心配事がなくなりそうだ。

 俺にはG元素とやらがどのようなものかは分からないが、それでACが動くのならば何でもいいだろう。

 G元素事態には限りがある、と香月は言っていた。俺達はそのG元素を確保しにHIVEを制圧する。俺達がHIVEを制圧することは香月にとっても好都合。

 確かにHIVE制圧は並大抵の実力では出来ないだろう。だが、俺とシルビアにはACと言うこの世界にはない技術、つまりは機動性を持った機体を有している。何も俺達二人だけでHIVEを制圧出来ると言っている訳ではないが、それでも俺達二人のACの存在はHIVE制圧に大きく関わることになるだろう。

 その事を香月も分かっているからこそG元素という希少なエネルギーを俺達に提供してくれているのだが。

 そうなれば俺達は結果を示さなければならない。

 只期待されるだけの存在ではなく、香月の望むように俺達はHIVEを制圧しなければならない。失敗は許されない立場であり、そしてHIVE制圧の失敗が許されない世界なんだ。

「まぁ…機体の構造は結構変わる事になるわね。機動性とかはそのまま維持する方向になるけど、貴方が書いた資料に記載されてあったPAとAA。あの構造は大きく変わる事になるわ」

 PAとは簡単に言えばエネルギーシールドのようなものであり、AAはエネルギー波、とでも言っておけばいいだろう。

「どういった風になる?」

「恐らく凄乃皇の構造をそのまま流用することになるわね」

「凄乃皇?」

「あぁ、貴方たちは知らないんだっけ。これが凄乃皇の資料よ」

 香月から手渡された資料にシルビアと共に目を移す。

 OOユニットの専用機?OOユニットとやらが分からないが今は置いておこう。

 全高は戦術機の約6.5倍に及び、ムアコックレヒテ型抗重力機関を備えており、そこから発生する重力場で機動制御及びBETAのレーザー兵器を無効化する事が出来る。

 これだけの記述でも充分に驚くべきことであるが、何より俺達を驚かせたのは次の文章。

 重力制御の際に生じる莫大な余剰電力を利用した荷電粒子砲による攻撃でハイヴを殲滅する。

 荷電粒子砲なるものがこの世界にあるとは思わなかった…。重力を操作し、荷電粒子砲を備えた機体、凄乃皇。その性能は記述をみるだけでなら充分すぎる程の性能を有していた。

「この凄乃皇からACに転用する技術は何になるんだ?」

「ML型抗重力機関と荷電粒子砲かしらねぇ。簡単に言えば凄乃皇の見どころをACに移すって訳」

「な!?」

 香月の言っている事はこう言う意味なのだろう。

 PAの変わりにML型抗重力機関。AAの変わりに荷電粒子砲。

 意味合いは合ってるかもしれないが、ACの機動性を損なわずに、この二つの構造を取り入れる事が出来れば、それは一体どれ程の戦力増加になると言うのか。

 本当にそれが出来るのであれば間違いなく俺達の機体がHIVE制圧に置ける可能性になるだろう。

「でも問題が一つあってね、その資料にOOユニットってあるでしょ?それがないと凄乃皇を動かす事はできないのよ」

「どうすればいいんだ?」

「貴方たちに出来る事はないわよ。只今からその頭を調べさせてくれればいいだけ。それであの機体に凄乃皇を取り込む事が出来るかが別れる」

 頭を調べる。その言葉に思わず身が固まってしまう。

 俺達二人の体は普通の人間のそれではない。簡単に言ってしまえば改造人間だ。AC適正をより高めるために脳を弄られ、体を弄られた。

 そういった事もあり俺とシルビアは体を調べられる事を強く拒否している。

 拒否しているのだが…今回は場合が場合だ。俺達の我儘でHIVE制圧が難しくなる、なんて事になればたまったものじゃない。

 …。

「私は構いません」

「シルビア…」

 シルビアの覚悟が決まった瞳を見た瞬間に俺もどうするべきかを決めた。

「俺も構わない」

 そんな俺達二人を見て香月は小さく笑みを零す。

「ふふ。それじゃあ付いてきなさい」

 席を立ち上がり扉の方に向かう香月の後について行く。

「そこまで気を張らなくていいわよ。別に弄る訳じゃないんだから」

 そんな香月の後ろ姿に一矢の不安を感じながら。

作品名:Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~ 作家名:灰音