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Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~

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Episode2.他世界からの訪問者



「ヴァルキリー中隊、只今帰還しました!」

 甲板で俺達の帰還を待っていてくれたのは数多くの海兵達。皆が姿勢を正し、敬礼の意を称してくれている。そんな初めて見る美しい光景に思わず見とれてしまう。

 前の世界で俺とシルビアを待っていてくれたのは俺達二人のオペレーターのみ。それ以外の人間は大抵俺達を侮蔑の視線で見てくる。人を殺し生にすがりつく俺達には当然の視線なのかもしれない。前の世界ではそれを当然と思い生き、そしてそれを当たり前のように受け入れていた。

 だが此方の世界は違う。命を賭け戦い抜いた戦士達を皆で迎えている。その視線には侮蔑などといった負の感情は含まれておらず、皆が敬意の意を示している事が分かる。

 確かにヴァルキリー中隊が戦ってきた相手は人ではなく、俺達の知り得ない異形の生物だった。その事柄は確かに大きく影響してくるだろう。だが人が人に敬意を示す事は容易ではない。この光景だけでいかに戦場に出るものの覚悟が凄まじいものかを受け取る事が出来た。

「皆お疲れ様。宗像達は休んでていいわよ。私はそこの二機にパイロットと話しがあるから」

「了解!」

 香月の命令を受けたヴァルキリー中隊は速やかにハンガーに移動。甲板からその姿を消す。甲板に残されたのは黒と白の巨人。俺とシルビアだ。

 ヴァルキリー中隊の皆が機体をハンガーに移動させたのを海兵達は見送ると俺達に視線を少しだけ向け、興味の視線で此方を見ながらも皆何も言わずに船内に戻っていった。これで甲板に残ったのは文字通り俺達二人と香月副司令のみ。

 その事を確認した俺とシルビアはハッチを開口。ハッチが開くと同時に下に降りたロープを支えに甲板に足を下ろした。

「へぇー。まだ若いのね」

 紫色の髪につり上がった瞳。見た目は少しばかりきついが綺麗な事に代わりはない。衣服を見る限り何かしろの研究員のようにも見える。そしてその背中に隠れるように存在していた小さな少女。紫色の髪の毛に…兎の耳?

「改めて自己紹介するわね。私は横浜基地の副司令、香月 夕呼よ夕呼で構わないわ。こっちの小さいのは社 霞」

「初めまして…」

 香月の後ろから姿を表し、俺達二人に大して小さく挨拶をしてくれた。と思ったらまた香月の後ろに戻ってしまった。…嫌われてるのか?

「ブラック・グリントのパイロット。ライナ・グラウスだ。宜しく頼む」

「ホワイト・グリントのパイロット。シルビア・オルレインです。宜しくお願いします」

 シルビアの外見は機体の名前と動揺真っ白な髪を腰まで伸ばしている。今までパートナーをやってきた俺が言うのもなんだが、此奴はかなり綺麗な女だ。正確は少々絡みづらいが。

 自分の外見を言うのもなんだが、俺も機体の名前の通り黒色の髪だ。長さは…まぁ中間、と言った所だろう。

「まどろっこしいのは嫌いだから単刀直入に聞かせてもらうけど。貴方たちこの世界の住人じゃないわよね?」

 いきなり核心をつかれた事に多少の驚きがあるものの俺はそこまで慌てる事がなかった。その理由はいまいち分からないが、その理由を無理やり上げるとするならば、最初の通信の時から分かっていたのかもしれない。この香月と言う女は俺達が違う世界からやってきた存在だと分かっている、と言う事を。

「俺達も現状がいまいち理解出来ていないが…恐らくはそうだろう。しかし、何故分かった?」

「んー話すと長くなるんだけど。やっぱり決めてはあんたたち二人の機体かしらね。あの逸脱した機動性に圧倒的な火力。そしてこの世界では普及していないレーザー兵器。この世界にない技術を幾つも用いている。ちょっとあんたたちと似通った奴を知っているからすぐに分かったわ」

 俺達と似通った…つまりは異世界から来たと言う事なのだろうか?もしそうならば会いたいものだな。

「無理よ。そいつの存在は既にこの世界から消えている。勿論皆の記憶からもね」

「記憶?なら何故あなたはそいつの事を覚えている?」

「これも話すと長くなるんだけど。簡単に言うならこの子のおかげ」

 香月はそう言うと隣で控えていた社、と言う名の少女の頭の上に手を乗っけた。

 この少女のおかげ、と言うからには何かしろの特殊な技能でもあるのだろう。最もこの少女が特殊な技能を身に付けていようが俺達には関係のない話だが。

「俺達と似通った人間と関わっていたならこの質問に答えられる筈だ。俺達二人は元の世界に帰れるのか?」

 このまま甲板でぐだぐだと話のも面倒なので早速本題に入らせてもらう。

 俺達二人にとって最も重要なのは此処であり、それ以外に重要な事などあまりない。もし元の世界に帰れないと言うならば俺はこの世界で生きるのみ。オペレーターの存在は確かに苦しいものがあるが、既に起きてしまった事なのだから割り切るしかないだろう。

 シルビアもその程度の覚悟は出来ている筈。

 伊達に俺達二人はいくつもの戦場を二人でくぐり抜けて来ている訳じゃない。

「結論から言えば帰れるには帰れる。でも問題があるのよ」

「問題?」

「そ。貴方たち二人があいつと同じなら、貴方達をこの世界に連れてきた原因を排除しないといけない。もし、貴方たち二人を此方の世界に連れてきた原因を排除しないで元の世界に帰った場合は此方の世界の因果がそちらの世界に流れ込んでしまう可能性もある。要するに、元の世界には帰れるけど、原因を排除しないと貴方たちの世界は悲惨になると言う事」

「悲惨な事…か」

 この世界の状況が今どのようなものかは知らない。だが俺達が住んでいた世界とて、いいものではない。寧ろ人間と言う種族の絶滅は目前まで迫ってきている状態だ。そんな状態に追い込まれて居ても人間同士で争っているのだからな。醜く歪んだ世界だ。

 この女の言っている事はイマイチ理解できなかったが、つまるところ此方の世界で起きた事象が俺のいた世界でも起きる可能性があると言う事だろう。

 つまり先程まで戦っていた異形の生物が前の世界に現れる可能性がある、と。

 それはそれでいいのかもしれない。醜く人間同士で争っている中に異形の生物と言う新しい敵が生まれる。そうする事によって、理想論だが人間は一つに固まる事が出来るかもしれない。

 そこで協力と言う手段を選ばず、滅びるようならばそれはそれでいいだろう。既にあの世界の人間は着実に滅びの道を進んでいるのだから。

 それが遅いか、早いかの違いしかない。

「俺達二人をこの世界に導いた原因をさがすか…ほぼ不可能に近いだろうな」

「常識的に考えればそうね。最も世界同士を渡ってる時点で常識なんて通用してないけど」

「俺はこの世界で生きる事にしよう。やることは根本的に変わりないんだ。シルビアはどうする?」

「私は貴方についていきます」

「そうか…フィオナの事はいいのか?」

 フィオナとはシルビアのオペレーターであり、俺以上に付き合いの長いシルビアの友人だ。否、友人と言うよりは既に家族に近い関係だったのかもしれない。

 家族と言う言葉を知らない俺が語るのもなんだが…二人の信頼はそんな俺が言ってしまう程に厚く結ばれていたものがあった。

「…」
作品名:Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~ 作家名:灰音